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米国株、中国発AIで激震 エヌビディア17%安 S&P500見通し急変

S&P500は2週間半ぶりの下落率。中国発AIが米国の半導体企業の優位性を揺るがすとの見方が影響した。大手ハイテク企業の株価は明暗が分かれている。

米国株、中国発AIで激震 エヌビディア17%安 S&P500見通し急変 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場が中国発の人工知能(AI)モデルへの不安に揺れた。S&P500種株価指数は27日の取引で2週間半ぶりの大きな下落率を記録。AIブームを牽引してきた半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の株価が17%の急落をみせたことが響いた。中国のAI開発企業「DeepSeek(ディープシーク)」の新モデルが低コストでの開発にも関わらず高性能を発揮したとのニュースが、米国を中心とする既存のAI関連企業の優位性を揺るがすとの見通しを呼んだからだ。一方、大手ハイテク株の一部は27日も値上がりしており、AIブームへの期待の根強さも感じられるが、半導体株をめぐる混乱は大きい。大手ハイテク企業の決算発表が間近に迫る中、S&P500の今後の見通しは各社が地力の強さを示せるかなどで左右されることも考えられそうだ。

【関連記事】米国株、見通し不安継続 S&P500反落 エヌビディアに規制強化か(2025年1月30日)

アメリカのS&P500は1.46%安 トランプ政権発足の勢いに冷や水

S&P500(SPX)の27日の終値は前週末比1.46%安の6012.28。下落率は2024年12月雇用統計の強さが金利の先高観を招いた10日(1.54%安)以来の大きさだ。S&P500はドナルド・トランプ大統領の就任を挟んで上昇基調となり、23日に最高値(6118.71)をつけていたが、一気に冷や水がかかった。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

エヌビディアは17%安 アーム・ホールディングスなど半導体株軒並み下落

S&P500の下落はエヌビディア(NVDA)の急落が引き起こした。エヌビディアの27日の終値は前週末比16.97%安の118.42ドル。ブルームバーグのデータによると、新型コロナウイルスの感染拡大への懸念が強まっていた2020年3月16日(18.45%安)以来の下落率となった。エヌビディアの株価は23日に147.22ドルをつけ、6日の最高値(149.43ドル)が迫っていたが、見通しが暗転したといえる。27日の取引ではブロードコム(AVGO)も17.40%安、半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(AMAT)も6.52%安となった。S&P500構成銘柄ではないものの、英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)も10.19%安となっている。

エヌビディア、アーム・ホールディングスなど半導体株の株価の推移のグラフ

中国発AIのディープ・シークは株式市場のAIブームを揺るがすか 低コストで高性能

米国上場の半導体株をそろって下落させたのはディープシークのAIモデルへの注目が高まったためだ。米CNBCは24日朝に、ディープシークのAIモデルが「シリコンバレーにパニックを引き起こしている」などと報道。SNSでは週末のうちに、ディープ・シークへの高い評価が拡散していた。ディープシークは中国への輸出が規制されているエヌビディアの最先端半導体を使うことなく、高性能のAIモデルを低コストで開発したとしており、エヌビディアをはじめとする既存の半導体企業の優位性が崩れるとの見通しが広がった。

ディープシークは2024年12月26日、「DeepSeek-V3」をオープンソースのAIモデルとして公開。技術報告書では、V3は一部の分野で、AIブームの火付け役である米国のオープンAIが5月13日に公表したAIモデル「GPT-4o」に匹敵する性能をみせたとしている。V3は、AIモデルを複数のサブ・ネットワークに分けて運用するMoE(Mixture of Experts)型の言語モデルで、AIの訓練にかかる計算量を大幅に減らすことができたという。

またディープ・シークは年明け1月20日には「DeepSeek-R1-Zero」と「DeepSeek-R1」も公表。R1-Zeroは人間による調整を必要としない自力学習型のAIモデルとして開発されたが、生成される文章が読みづらいといった問題が生じたため、学習の初期に小規模な調整を加えたバージョンとしてR1を開発したとしている。R1-ZeroとR1もやはりオープンソースのAIモデルとして公開されている。

メタ・プラットフォームズなど大手ハイテク株の一部は値上がり

一方、ディープ・シークが半導体株を揺らす中でも、27日の大手ハイテク株の値動きには底堅さも感じられた。29日に2024年10-12月期決算を発表するメタ・プラットフォームズMETA)は前週末比1.91%高。30日に決算を発表するアップルAAPL)も3.18%高となった。2月6日に決算発表を予定するアマゾン・コム(AMZN)は0.24%高だ。

エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、テスラ、アマゾン・コム、アルファベット、アップル、マイクロソフトの株価の推移ノグラフ

とはいえ、27日の取引ではメタと同じ29日に決算発表を行うマイクロソフトMSFT)が2.14%安。2月4日に決算を発表するアルファベット(GOOGL)も4.20%安となっており、大手ハイテク株への評価は分かれたといえる。電気自動車(EV)大手のテスラ(TSLA)も29日の決算発表を控え、2.32%安となった。

VIX指数は上昇 S&P500の今後の見通しへの投資家の不安高まる

投資家のは不安はウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の値動きにも表れた。シカゴ・オプション取引所によると、VIXの27日の終値は17.9で、前週末の14.85から大きく上昇した。S&P500の値動きが激しくなるとの見通しが強まっているようだ。

VIX指数とS&P500の推移のグラフ

ディープシークがもたらした衝撃は米国市場に先立つ27日の日本の株式市場も揺らしていた。アームの親会社であるソフトバンクグループ(9984)は前週末比8.32%安、29日に決算を発表する半導体検査装置のアドバンテスト6857)は8.61%安という大幅下落だ。2月6日に決算を発表する東京エレクトロン8035)も4.90%安だった。日本の半導体株は28日午前の取引でも値下がりしており、見通しの悪化は止まっていない。

日本の半導体株の値動きのグラフ

ディープ・シークが示した高性能AIを低価格で開発することができる可能性は、巨額のAI投資を行ってきた大手ハイテク企業に戦略の修正を迫る可能性がある。各社の決算発表では業績の力強さとともに、各社トップが決算会見などで語る戦略が注目されるとみられ、S&P500の今後の見通しにも大きく影響しそうだ。


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