米国株、再び大揺れ S&P500反落 エヌビディアに中国で新たな逆風
S&P500は26日、4営業日ぶりに反落。エヌビディアの中国事業への不安が高まった。トランプ氏は自動車輸入への25%追加関税も発表している。

アメリカの株式市場の不安定な値動きが続いている。S&P500種株価指数の26日の終値は前日比1.12%安で、4営業日ぶりの反落。半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の株価が6%近く値下がりするなど、大手ハイテク株が足を引っ張った。エヌビディアをめぐっては26日、中国政府が導入した新規制が業績の逆風になる可能性があると報じられている。またドナルド・トランプ大統領は26日の取引時間終了後に輸入自動車に対する25%の追加関税を4月3日に発動すると発表。自動車産業のサプライチェーンが混乱する見通しが強まった。半導体と自動車という米国の重要産業への不安が高まる中、今後のS&P500の見通しをめぐっては、雇用や物価をめぐる経済指標の動向が材料視される可能性もありそうだ。
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アメリカのS&P500は1.12%安 4営業日ぶり反落
S&P500(SPX)の26日の終値は5712.20。S&P500はトランプ氏が相互関税での強硬姿勢を軟化させたことで見通しが明るくなっていたが、4営業日ぶりの反落となった。2月19日の最高値(6144.15)からの下落率は7.03%安まで広がっている。

エヌビディアは5.74%安で年初来15.29%下落 テスラも6営業日ぶり反落
S&P500を下押ししたのは大手ハイテク株だ。エヌビディアの株価(NVDA)は26日に前日比5.74%安となり、2024年末比での下落率は15.29%安まで拡大。米国政府の半導体輸出規制強化の見通し不透明感を背景とした株価不振が深まった。エヌビディアを含むマグニフィセント・セブンと呼ばれる大手ハイテク7社の株価は26日にすべて下落。電気自動車(EV)大手のテスラ(TSLA)は6営業日ぶり反落の5.58%安、アルファベット(GOOGL)は3.22%安となっている。


中国政府がエヌビディアの半導体の使用に制限か 省電力規制未達との報道
26日の株式市場で悪材料となったのはエヌビディアの業績への不安だ。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は26日、中国政府が2024年に導入した規制がエヌビディアの業績を下押しする可能性があると報道。エヌビディアが中国向けに開発した半導体H20が、中国の省電力規制をクリアできておらず、中国政府は中国国内で新たに建設されるデータセンターに対してH20を使わないよう求めているという。FTは現状では省電力規制は厳格には運用されておらず、H20の中国での販売に影響は出ていないとしているが、中国政府の対応次第でエヌビディアの中国事業にとっての脅威になるとも分析している。
エヌビディアをめぐっては2024年12月にも、中国政府が独占禁止法違反の疑いでエヌビディアの調査を始めたと報じられ、株価が下落した。トランプ氏が中国との対決姿勢を崩さない中、中国政府がエヌビディアの中国事業ににらみを利かせることでトランプ氏に圧力をかけている可能性もありそうだ。
トランプ氏は輸入自動車への25%追加関税発表 4月3日発動で供給網混乱見通し
こうした中、26日には米国の自動車産業をめぐる悪材料も出た。トランプ氏は26日の取引時間終了後に記者会見し、4月3日から米国が輸入する自動車に25%の関税を上乗せすると表明した。輸入自動車や部品が対象となるが、ホワイトハウスは、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づく自動車部品の輸入は当面は例外とし、メキシコとカナダで生産された完成車についても米国産の部品を使っている度合いが高ければ高いほど関税は低くなると説明している。
トランプ氏が自動車関税について発表するとの予定は26日の取引時間中に株式市場に伝わった。ゼネラル・モーターズ(GM)の株価は26日に前日比3.12%下落。トヨタ自動車の米国預託証券(ADR)での株価も1.93%安となっている。トランプ氏が自動車関税の大幅な上積みを決めたことで、自動車のサプライチェーンが混乱する見通しが強まったことが嫌気された。
米国経済の見通しは悪化か 新規失業保険申請件数やPCE物価指数に注目
S&P500の今後の見通しでは、半導体産業や自動車産業をめぐる逆風が米国経済に及ぼす影響にも注目が集まる。27日午前8時30分(日本時間27日午後9時30分)に発表される2024年10-12月期GDPの確定値や、同時刻に発表される週次の失業保険関連統計で消費や雇用が悪化している兆候が出れば、S&P500は下押しされそうだ。ブルームバーグがまとめた市場予想では、3月16-22日週の新規失業保険申請件数は22.5万件と見込まれている。

また、28日午前8時30分(日本時間28日午後9時30分)には2月の個人消費支出(PCE)物価指数も公表される。ブルームバーグによると、総合指数の伸び率は前年同月比2.5%で前月(1月)から横ばいになる見通し。食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は2.7%となり、前月(2.6%)よりも高くなると予想されている。米国経済の不透明感が意識される中で、物価上昇の上振れが感じられれば、やはりS&P500にとっては悪材料といえそうだ。

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