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米国株、急上昇 S&P500の見通しに明るさ トランプ氏が関税で軟化

S&P500は24日、今年3番目の上昇率を記録。トランプ氏が高関税政策で軟化姿勢を示したことが好感された。ただ、中国との対決姿勢は続いている。

米国株、急上昇 S&P500の見通しに明るさ トランプ関税不安後退 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場の見通しが明るさを増してきた。S&P500種株価指数の24日の終値は前週末比1.76%高となり、2025年に入って3番目の上昇率。株式市場での人工知能(AI)ブームを象徴する銘柄である半導体大手NVIDIA(エヌビディア)など大手ハイテク株もそろって値上がりしている。ドナルド・トランプ大統領が高関税政策について強硬姿勢を軟化させたことが好感されたためで、投資家心理の改善が進んだ。一方、トランプ氏の高関税政策の中身は依然不透明で、不安が完全に解消されたわけではない。実際、トランプ氏は中国製品への高関税はエスカレートさせており、S&P500の今後の見通しをめぐっては、トランプ氏の経済政策が経済活動に及ぼす影響への注目度も高まりそうだ。

アメリカのS&P500は1.76%高 2025年で3番目の上昇率

S&P500(SPX)の24日の終値は5767.56で、2月19日につけた最高値(6144.15)からは6.13%安。13日には最高値から10.13%安となり、「調整局面入り」の基準である10%安を超えたが、その後は上昇傾向となっている。24日の伸び率は、調整局面入り翌日にあたる14日の2.13%高と、12月消費者物価指数(CPI)の結果が好感された1月15日の1.83%高に次ぐ、2025年に入って3番目の大きさ。S&P500の見通しが明るくなってきたといえる。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

エヌビディアは3.15%高 テスラは11.93%高で最高値から42%安の水準に

24日は「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の株価もすべて上昇した。エヌビディアの株価(NVDA)は前週末比3.15%高の121.41ドルとなり、6営業日ぶりの高さに復帰。1月6日の最高値(149.43ドル)から18.75%安の水準まで戻している。また、電気自動車(EV)大手のテスラ(TSLA)も24日に11.93%高と急騰。一時は50%を超えていた2024年12月17日の最高値からの下落率を41.99%安まで縮めた。SNS大手のメタ・プラットフォームズ(META)は3.79%高で4営業日続伸。アマゾン・コム(AMZN)は3.59%高だった。

エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・コム、アルファベット、アップル、テスラ、マイクロソフトの株価の推移のグラフ

エヌビディア以外の半導体株ではアドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)が前週末比6.96%高。S&P500構成銘柄ではないものの、英半導体大手アーム・ホールディングスの株価(ARM)は4.85%高となっている。

エヌビディア、ブロードコム、アーム・ホールディングスなどの株価の推移のグラフ

トランプ氏が相互関税での強硬姿勢を軟化 「多くの国に猶予」

株式市場の見通しを改善させたのはトランプ氏が高関税政策をめぐる態度を変化させたことだ。ブルームバーグによると、トランプ氏は24日にホワイトハウスで記者団に対し、4月2日に発動する相互関税について「多くの国に猶予を与えるかもしれない」と述べた。トランプ氏は6日の議会演説で「他国が米国に課税するなら、我々も他国に課税する」と述べるなど強硬姿勢をとってきたが、今回の発言は例外扱いを受ける国や地域が出てくる可能性を示唆した形だ。

こうしたトランプ氏の発言を受けて、24日の金融市場では投資家心理が改善。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の24日の終値は17.48となり、2月20日(15.66)以来、約1か月ぶりの低さとなった。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど今後の値動きが激しくなることへの警戒が強いことを意味する。

VIX指数とS&P500の推移のグラフ

明るい見通しは中小型株にも広がった。中小型株の代表的な株価指数であるラッセル2000(RUT)は24日に前週末比2.55%高となり、トランプ氏の大統領選挙での勝利が確実になった2024年11月6日(5.84%高)以来の伸び率となった。

ラッセル2000とS&P500の推移のグラフ

自動車関税などは数日中に発表の見通し 中国との対決姿勢はエスカレート

ただ、トランプ氏は高関税政策の全体像を完全に明らかにしたわけではない。ブルームバーグによると、トランプ氏は24日、相互関税で態度を軟化させると同時に、自動車に対する関税は「今後数日中」に発表すると言及。木材や半導体に対する関税についても検討が進んでいることを示唆した。トランプ氏からの情報発信の内容次第で、S&P500の見通しが再び暗くなる可能性は残る。

実際、トランプ氏は24日、自身のSNSであるトゥルース・ソーシャルへの投稿で、ベネズエラから石油やガスを購入しているすべての国に対して25%の関税を課すと公表。4月2日に発動するとしている。ベネズエラからのエネルギー購入国には中国が含まれており、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、すでに発動されている20%関税に上乗せされる形で、中国製品には45%の追加関税が課されることになるという。

中国は米国の貿易相手国の中で、メキシコとカナダに次ぐ3番目に大きな貿易量がある。このため45%にも達した追加関税は、米国企業のサプライチェーンや価格設定行動に及ぼす影響が大きくなる懸念も拭えない。S&P500の今後の見通しをめぐっては、雇用や物価に関する経済指標に弱さがみられた場合、下落で反応するリスクもありそうだ。


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