米国株、トランプ効果で見通し改善 S&P500最高値 エヌビディア回復
S&P500はトランプ氏就任後の3日続伸で最高値更新。AIブーム継続への期待が原動力だが、S&P500の割高感も高まっている。
アメリカの株式市場でドナルド・トランプ大統領への期待が続いている。S&P500種株価指数の23日の終値は6118.71。トランプ氏の就任翌日からの3日続伸で、約1か月半ぶりに最高値を更新した。半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の株価は約1か月ぶりの4日続伸となり、最高値が迫っている。トランプ氏は人工知能(AI)開発への積極姿勢をみせており、投資家にとっての安心材料となっているようだ。一方、大手ハイテク企業の決算発表が近づく中、引き続き、値動きには投資家の慎重姿勢も感じられる。期待先行の株価上昇は割高感にもつながっており、今後の見通しには不安も残っていそうだ。
アメリカのS&P500は3連騰 1か月半ぶりに最高値更新
S&P500(SPX)の23日の終値は前日比で0.53%高。トランプ氏の就任後の3営業日はすべて値上がりしており、この間の上昇率は2.04%に達した。S&P500は雇用統計の結果が好感された2024年12月6日を最後に、最高値更新から遠ざかっていたが、上昇の勢いが戻ったといえる。
エヌビディアは4連騰で10%超上昇 スターゲート・プロジェクトが追い風に
S&P500の見通し改善はAIブームの立役者であるエヌビディアの復調にも表れている。エヌビディアの株価(NVDA)の23日の終値は147.22ドルで、12月下旬以来の4営業日続伸。この間の上昇率は10.22%となり、6日につけた最高値(149.43ドル)が迫ってきた。エヌビディアの株価は13日発表の半導体輸出規制の見直し案が悪材料となって大きく値下がりしていたが、反発が続いている形だ。
半導体株をめぐってはトランプ氏が21日にソフトバンクグループ(9984)の孫正義社長らと記者会見し、AI開発拠点の建設などで米国内に4年間で5000億ドルの投資を計画する「スターゲート・プロジェクト」を発表。対話型生成系AIサービス「ChatGPT」で知られるオープンAIのほか、エヌビディアや、英半導体大手のアーム・ホールディングス、マイクロソフトなどがテクノロジーパートナーになったと明かされた。翌22日の株式市場では、エヌビディアが4.43%高、アーム(ARM)が15.93%高、マイクロソフト(MSFT)が4.13%高と急騰。このうちアームはS&P500構成銘柄ではないが、株式市場の見通しを明るくしている。
こうしたトランプ氏の大統領就任後の言動は投資家の不安を高めるには至っていない。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の23日の終値は15.02。トランプ氏就任への不安が高まっていた10日につけた19.54からは低下している。
テスラは3日続落 アップルも下落傾向から抜け出せず 決算発表に不安
ただ、大手ハイテク株の値動きには投資家の慎重姿勢も感じられる。電気自動車(EV)大手のテスラの株価(TSLA)は23日まで3日続落。29日の2024年10-12月期決算発表を控える中、期待先行で上昇してきた株価の見通しへの不安は強いようだ。またアップル(AAPL)もトランプ氏就任後の3営業日中、2営業日は下落している。30日の決算発表ではiPhone(アイフォン)の販売不振が悪材料視される可能性もあり、株価は下落傾向から抜け出せていない。
S&P500には割高感も 企業決算発表が今後の見通しを左右
企業業績改善の見通しが明確ではない中でのS&P500の上昇は割高感にもつながっている。ブルームバーグによると、S&P500の水準と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は23日時点で23.14倍となっており、2024年12月6日以来の高さになっている。
AIブーム継続への期待を高めたスターゲート・プロジェクトをめぐっては、トランプ氏との蜜月関係を構築したテスラのイーロン・マスクCEOが21日、「彼らは実際にはそんな資金を持っていない」とSNSのXに投稿して冷や水をかける一幕もあった。S&P500の今後の見通しは、大手ハイテク企業が決算発表でAIブームの持続性を証明できるかにもかかってきそうだ。
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