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マイクロソフト、クラウド成長焦点 29日決算 設備投資は増加見通し

マイクロソフトの29日の10-12月期決算発表はクラウド事業の成長が焦点。AI関連の設備投資負担を正当化できるだけの勢いを示す必要がある。

マイクロソフト、クラウド成長焦点 29日決算 設備投資は増加見通し 出所:ブルームバーグ

マイクロソフトが29日に発表する2024年10-12月期決算はクラウド事業の成長を加速できるかが焦点だ。マイクロソフトの株価は人工知能(AI)関連の巨額の設備投資が悪材料視されて不振。10-12月期についても設備投資額が増える見通しで、投資家の納得を得るには、AI開発がクラウド事業の成長を勢いづかせるとの筋書きを示すことが求められる。ただ、クラウド事業の成長を達成できたとしても収入面での課題が注目される可能性もあり、株価の今後の見通しをめぐる不安は尽きない。

マイクロソフトの2024年10-12月期決算は総収入が11%増の見通し 成長は減速

マイクロソフトはアメリカ東部時間29日午後5時30分(日本時間30日午前7時30分)に決算会見を開く。ブルームバーグのまとめによると、マイクロソフトの10-12月期決算に関する事前予想は、総収入が前年同期比11.0%増の688.64億ドル、1株当たり利益(EPS)は6.8%増の3.13ドルが見込まれている。

マイクロソフトの業績(総収入、1株当たり利益=EPS)の推移のグラフ

予想通りになれば総収入の伸び率は7-9月期の16.0%増から減速。1株当たり利益も7-9月期の10.4%増から成長ベースが落ちることになる。マイクロソフトは直近21回の四半期決算のうち2回で、総収入が事前予想を超えられなかった。また1株当たり利益では1回、市場予想を下回っている。

マイクロソフトの株価は2024年は12%高どまり S&P500を下回る成績

マイクロソフトの株価(MSFT)は2024年に12.09%高にとどまり、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の中では最も悪い成績だった。S&P500種株価指数(SPX)の23.31%高を大きく下回っている。21日の終値は428.50ドルで、2024年末比で1.63%安だ。

ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は31倍程度で、前回決算(7-9月期)の発表があった2024年10月30日の32倍程度とほぼ同じだ。また、アナリストが提示する目標株価の平均は505ドル程度で、現状よりも18%ほど高い。70人のアナリストのうち64人は買いを推奨、6人は維持を勧めている。

マイクロソフトの株価と予想株価収益率(PER)の推移のグラフ

マイクロソフトは設備投資の大きさが悪材料に クラウド事業の成長がカギ

マイクロソフトの株価の値動きが冴えない要因は、設備投資負担の大きさが悪材料視されているからだ。7-9月期の設備投資額は200億ドルで、総収入との比較では30.5%にも達する高水準。さらに10-12月期の設備投資額については「前期比で増加する」との見通しが示されており、前回決算発表翌日の10月31日のマイクロソフトの株価は前日比6.05%安に沈んだ。株価はその後も回復せず、足元までの3か月で0.93%安となっている。

マイクロソフトの総収入と設備投資の推移のグラフ

こうした中でマイクロソフトが投資家の納得を得るためには、AIサービスの提供基盤として成長が期待されているクラウド事業で結果を出す必要がありそうだ。7-9月期のクラウド事業の収入は240.92億ドルで前年同期比20.38%増。ブルームバーグがまとめた市場予想では、10-12月期も同水準の成長が見込まれており、259億ドルの収入が予想されている。マイクロソフト自身はクラウド事業の10-12月期の収入について中間値で257億ドルとの見通しを示しており、市場予想を超えることが株価上昇に向けた最低限のハードルといえそうだ。

マイクロソフトのクラウド事業の収入と伸び率の推移のグラフ

AIサービスへの需要は堅調か クラウド事業の収益性が問われる可能性も

一方、マイクロソフトはこれまでAIサービスへの需要が供給能力を上回っているとも説明しており、クラウド事業の成長に向けた環境は整っているともいえる。マイクロソフトは、21日の取引時間終了後にドナルド・トランプ大統領らが発表したソフトバンクグループらによるAIインフラ共同事業「スターゲート・プロジェクト」のテクノロジーパートナーにもなっており、21日の時間外取引では株価が直前の終値から1%超上昇している。

ただ、クラウド事業の成長が達成された場合でも、次は利益の確保に注目が集まることも明らか。10-12月期決算で、クラウド事業の営業損益の伸び率が7-9月期の17.91%よりも低くなれば、悪材料視される可能性があり、巨額の設備投資の正当化に向けたハードルは高くなっていることも考えられる。


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