マイクロソフト、クラウド成長鈍化 株価下落 設備投資は減速見通し
マイクロソフトの10-12月期決算はクラウド事業の成長が鈍化。株価は下落した。一方、7月以降は設備投資の増加ペースが低下するとの見方も示した。
マイクロソフトが29日の取引時間終了後に発表した2024年10-12月期決算はクラウド事業の収入が市場予想を下回った。クラウドを通じて提供される人工知能(AI)サービスへの需要は強いものの、データセンターなどの設備不足が足かせとなった。29日の時間外取引ではマイクロソフトの株価は下落し、投資家の失望を招いたようだ。ただ、マイクロソフトは設備不足は解消に向かっているとも説明し、7月以降は設備投資の増加ペースが減速するとの見通しも示した。サティヤ・ナデラCEOはAIモデルの運用の効率化が進んでいることもアピールしており、低コストの開発で高性能を獲得したとされる中国のAI企業「DeepSeek(ディープシーク)」との競合に自信をのぞかせている。
マイクロソフトの2024年10-12月期決算は総収入の成長が減速
マイクロソフトの10-12月期決算は総収入が前年同期比12.3%増の696.32億ドルで、前四半期(7-9月期)の16.0%増から成長が減速。また1株当たり利益(EPS)は10.2%増の3.23ドルで、前四半期(10.4%増)から成長率がわずかながらも低くなった。ブルームバーグがまとめた直前の事前予想は、総収入が689.15億ドル、1株当たり利益が3.12ドル。発表された実績はいずれも市場予想を上回った。
クラウド事業の成長は市場予想を超えられず 設備投資額は急上昇
しかし投資家が注目するクラウド事業の実績は低調だった。10-12月期のクラウド事業の収入は255.44億ドルで、前年同期比18.7%増。前四半期の20.4%増から成長が鈍化し、市場予想の258.94億ドルも超えられなかった。エイミー・フッドCFOは29日の決算会見で、AIサービスへの需要について「われわれの供給能力を超える高さで推移している」と説明した。2025年1-3月期の収入は259億-262億ドルの範囲になるとしており、成長率は最大でも18%台前半に留まるようだ。
こうした中、マイクロソフトは設備投資を大きく積み増している。10-12月期の設備投資額は226億ドルで、前年同期比96.5%増。総収入に対する比率は32.5%にも達しており、利益の圧迫要因といえる。マイクロソフトは、AIブームの火付け役となった生成系AIサービス「ChatGPT」で知られるオープンAIの大株主としてAI開発やサービス展開の先頭に立ってきたが、それだけに設備投資負担も積み重なっているようだ。
クラウド事業の成長鈍化と設備投資負担増加を受けて、マイクロソフトの株価(MSFT)は29日の時間外取引を421ドル程度で終えた。直前の終値(442.33ドル)との比較では4.6%程度の値下がりだ。
7月以降の設備投資は減速見通し ナデラCEOはディープシークとの競合に自信
ただ、マイクロソフトは設備投資額の増加は今後、緩やかになっていくとの見通しも示している。フッド氏はデータセンターなどの増強を進めてきた結果、4-6月期までにはAIサービスへの需要と供給能力の大きさがほぼ一致すると言及。2026年6月通期の設備投資額の増加率は「2025年6月通期よりも小さくなる」との見方を示した。データセンターの土地や建物といった大型設備への投資の割合は小さくなっていくため、今後の設備投資額は総収入との関連が高くなるとも述べている。
大手ハイテク企業のAI戦略をめぐる環境はディープシークが低コストで高性能なAIを開発したとされることで大きく変化したが、ナデラ氏は競合関係への自信をみせた。決算会見では「ディープシークはいくつかの本当の革新を成し遂げた」としつつ、オープンAIもハードウェアやAIモデルのバージョンアップが行われるたびにAIサービスの効率を上げてきたと強調。マイクロソフトはすでにAI利用者の拡大と収益化に向けて動き出しているとし、AIサービスの先駆者としての強みに言及した。
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