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マイクロソフト、クラウド再び減速見通し 30日決算 株価下落も

マイクロソフトの7-9月期決算はクラウド事業の成長が鈍化する見通しだ。クラウド強化のための設備投資は利益を圧迫する要因にもなりえる。

マイクロソフト、クラウド再び減速見通し 30日決算 株価下落も 出所:ブルームバーグ

マイクロソフトが30日の取引時間終了後に発表する2024年7-9月期決算はクラウド事業の成長が2四半期連続で減速すると見込まれている。クラウド事業は人工知能(AI)サービスの提供基盤で、投資家の注目度が高いだけに、予想通りの結果になれば成長性に対する不安を呼びそうだ。また、設備投資が利益を圧迫する状況も問題視される可能性がある。マイクロソフトの株価は前回の決算発表からほぼ横ばい状態が続いており、7-9月期決算発表で株価の今後の見通しに暗雲が漂うことも考えらえる。

【関連記事】マイクロソフト、株価3%超下落 設備投資増加見通し 実績は好決算(2024年10月31日)

マイクロソフトの2024年7-9月期決算は総収入の伸びが減速する見通し

マイクロソフトはアメリカ東部時間30日午後5時30分(日本時間31日午前6時30分)に決算会見を開く。ブルームバーグのまとめによると、マイクロソフトの7-9月期決算に関する事前予想は、総収入が前年同期比14.1%増の644.82億ドル、1株当たり利益(EPS)は4.0%増の3.11ドルが見込まれている。

予想通りになれば総収入の伸び率は4-6月期の15.2%増から減速。1株当たり利益も同様に、9.7%増から減速することになる。マイクロソフトの過去20回の四半期決算のうち、総収入が事前予想を超えられなかったのは2回。1株当たり利益では1回、市場予想を下回っている。

マイクロソフトの業績(総収入、1株当たり利益=EPS)の推移のグラフ

マイクロソフトの株価は前回決算発表からほぼ横ばい

マイクロソフトの株価(MSFT)の22日の終値は427.51ドルで、2023年末比で13.69%高。ただし2024年6月末との比較では4.35%安となっており、株価の値動きには下落基調が感じられる。前回(4-6月期)の決算発表があった7月30日を起点として考えた場合は1.09%高で、ほぼ横ばいといえる状況だ。

ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は31.55倍で、前回決算発表前の31倍程度から大きな変化はない。2020年以降の平均値(30.47倍)ともほぼ同じ水準といえる。アナリストが提示する目標株価の平均は500.24ドルで、現状よりは17%ほど高い水準。69人のアナリストのうち64人は買いを推奨、5人は維持を勧めている。

クラウド事業の成長率は13.31%の見通し 2四半期連続で減速か

マイクロソフトの決算で注目点となるのがクラウド事業の成長率だ。ブルームバーグのまとめでは7-9月期のクラウド事業の収入は274.89億ドルとみこまれ、前年同期比での伸び率は13.31%になる見通し。4-6月期の18.85%から大きく減速する形になりそうだ。クラウド事業は1-3月期は20.95%の伸び率だったことを考えれば、2四半期連続で成長が鈍化することになる。マイクロソフトはAIサービスへの需要が供給能力を上回っていると説明してきたが、こうした状況は成長の阻害要因といえる。

マイクロソフトのクラウド事業の収入と前年同月比伸び率の推移のグラフ

設備投資による利益圧迫が問題視されれば株価下落の要因に

こうした中、マイクロソフトは設備投資を積み重ね、クラウド事業の強化を進めている。結果として4-6月期の設備投資額は、総収入の29.4%にあたる190億ドルまで上昇した。2024年6月通期の設備投資額は総収入の22.7%にあたる557億ドルに達しているが、2025年6月期はさらに上積みされる見通しだという。今回の7-9月期決算発表では、こうした積極的な投資が利益を圧迫しているかどうかも焦点となる。

マイクロソフトの総収入と設備投資の推移のグラフ

マイクロソフトはAIブームの火付け役であるOpenAI(オープンAI)の大株主としてAIサービスの展開を進めてきた。しかしライバルのアマゾン・コム(AMZN)やアルファベット(GOOGL)に対する優位性が失われているとの指摘もある。マイクロソフトなどはAI関連投資を長期的な成長を見据えた布石と位置付けているものの、利益を犠牲にしていると判断されれば、株価の今後の見通しが暗くなる可能性がある。


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