マイクロソフト、株価下落 設備投資増加見通し嫌気 クラウド成長加速も
マイクロソフトの4-6月期決算は投資家の期待に応えられず。株価は一時8%下落したが、クラウド事業の成長加速への期待で買い戻しも入っている。
マイクロソフトが30日の取引時間終了後に発表した2024年4-6月期決算は投資家の期待に応えられなかった。注目されたクラウド事業の成長率は事前予想を下回る結果。さらに2025年6月通期の設備投資については増加するとの見通しが示された。人工知能(AI)サービスの展開にかかるコストの大きさが不安視される内容だったといえる。30日の時間外取引ではマイクロソフトの株価が一時、8%程度下落した。しかしマイクロソフトはクラウド事業の成長加速の見通しも示唆しており、株価は下げ幅を縮めている。
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マイクロソフトの4-6月期決算は総収入の伸び率が鈍化
マイクロソフトの4-6月期決算は総収入が前年同期比15.2%増の647.27億ドル、1株当たり利益(EPS)が9.7%増の2.95ドルだった。LSEGによると、直前の市場予想は総収入が643.88億ドル、1株当たり利益が2.92ドル。発表された結果はいずれも事前予想を上回る数字だった。
ただ、4-6月期の結果は好決算とは言い切れない。総収入の前年同期比伸び率は1-3月期の17.0%から低下。1株当たり利益の伸び率も1-3月期(20.0%)の半分以下になっている。なかでも1株あたり利益は2023年7-9月期から4四半期連続で2.9ドル台での横ばいとなっており、収益力の向上が進んでいない様子が感じられる。
クラウド事業の成長は減速 設備投資は増加見通し
また、AIサービスの提供基盤として成長が期待されているクラウド事業の収入は前年同期比18.9%増の285.15億ドル。市場予想の19.5%増を下回った。また、伸び率は1-3月期の21.0%にも届かず、4四半期ぶりの成長減速となっている。AIサービスへの需要がマイクロソフトの供給能力を上回っており、欧州の一部では6月の成長が想定よりもやや低くなるケースがあったという。
一方、マイクロソフトはAIサービスの拡充に向けた設備投資に積極的な見通しを示した。エイミー・フッドCFOは30日の決算会見で、「2025年6月通期の設備投資費用は2024年6月通期よりも多くなる見通しだ」と述べた。また、4-6月期の設備投資額(190億ドル)について、ほぼすべてがクラウドやAI関連だったと説明。このうち半分はデータセンターの建設やリースにかかる費用で、残る半分は主にサーバーに用いられる半導体にかかる費用という。サーバーに関連する投資は、AIサービスへの需要の見通しに応じて調整していると説明している。
マイクロソフトの株価は一時8%安 買い戻しも
こうした、総収入とクラウド事業の成長減速、ほぼ横ばいが続く1株当たり利益に、今後の設備投資増加見通しが加わった決算内容は、投資家からは好感されなかった。マイクロソフトの株価(MSFT)は30日の時間外取引で一時、389ドル程度まで下落。30日の終値(422.92ドル)との比較では約8%の値下がりとなった。ただ、その後は買い戻しも入り、2%台後半の下落率にあたる約410ドルで推移した。
マイクロソフト株が急落後に買い戻された理由には、決算会見の中でクラウド事業の成長加速の兆しが示されたことがある。フッド氏はAIサービスのAzure(アジュール)の成長は2025年1-6月期に「加速する」と説明。背景として、設備投資の結果としてAIサービスの供給能力が増すことを挙げた。サティヤ・ナデラCEOは世界各地で建設を進めるデータセンターは「次の十年とさらに先の成長を実現する長期的な資産だ」と述べている。
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