エヌビディア、株価1%超下落 成長減速見通し 輸出規制不安続く
エヌビディアの11-1月期決算発表は成長減速を示す内容。粗利益率低下や輸出規制強化への不安もあり、26日の時間外取引で株価は下落している。
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半導体大手NIVIDIA(エヌビディア)が26日の取引時間終了後に行った2024年11月-2025年1月期決算発表は成長減速を示す内容だった。2-4月期の総収入の伸び率は前年同期比65%増となる見通しで、成長ペースは1年前の4分の1以下に減速する。また、2-4月期は粗利益率も低下する見込みだ。26日の時間外取引ではエヌビディアの株価は1%超値下がりしている。またエヌビディアは決算発表に際し、米国政府が見据えている中国向け半導体輸出をめぐる規制強化への懸念も強調。ドナルド・トランプ政権の対応次第で業績が下押しされるリスクもくすぶっており、人工知能(AI)ブームを背景にした驚異的な成長は節目を迎えている。
エヌビディアの11-1月期決算は総収入と1株当たり利益ともに予想を超える
エヌビディアの11-1月期決算は総収入が前年同期比77.9%増の393.31億ドル、調整ベースの1株当たり利益(EPS)が72.5%増の0.89ドルだった。ブルームバーグがまとめた直前の市場予想は総収入は382.45億ドル、1株当たり利益は0.84ドル。発表された実績はいずれも市場予想を超えた。ただし総収入の予想超過率は2.84%で、2年前にあたる2022年11月-2023年1月期(0.52%)以来の小ささだった。
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2-4月期の見通しでは総収入が5四半期連続で減速へ 粗利益率も低下
また、エヌビディアが示した2-4月期の見通しでは、総収入が430億ドルになるとされた。前年同期比での伸び率は65.1%で、5四半期連続での成長減速となりそうだ。エヌビディアの総収入は1年前の2024年2-4月期は262.1%増という伸び率だったが、驚異的な成長は落ち着いてきた。
さらにエヌビディアは2-4月期について粗利益率が71%になるとの見通しを提示。2025年1月通期の75.5%から大きく下がる形になる。コレット・クレスCFOは26日の決算会見で、11-1月期から出荷が始まったAI開発向けの半導体システム「ブラックウェル」の販売が増えていることが粗利益率の低下につながっているとした。クレス氏は粗利益率について「おそらく今年の後半には70%台半ばになると予想している」と述べている。ブラックウェルの11-1月期の売上高は110億ドルだった。
エヌビディアの株価は時間外取引で1.5%下落 中国向け輸出規制強化も懸念材料
こうした決算発表の内容に投資家は満足しなかったようだ。エヌビディアの株価(NVDA)は26日の時間外取引で129ドル台前半まで下落。26日終値(131.28ドル)からは1.5%程度の値下がりだ。
またエヌビディアにはトランプ政権による半導体輸出規制強化という、見通しへの不安もくすぶる。エヌビディアは証券取引委員会(SEC)に提出した資料の中で、ジョー・バイデン前政権が1月13日に公表したAI開発向け高性能半導体に関する輸出規制見直し案に言及。現状の輸出規制がすでにエヌビディアの競争優位性を損ねている中で、さらに規制に変化が加われば「われわれの事業や行政にネガティブな影響を及ぼす」と指摘。規制対象となる半導体製品の在庫を売れなくなったり、交換用の対象外製品の開発ができなくなったりすることで、「エヌビディアが中国市場の全体もしくは一部から事実上排除される」と懸念を示した。
トランプ政権も、中国AI企業「DeepSeek(ディープシーク)」が脚光を浴びる中、エヌビディアの半導体の中国向け輸出への追加的な規制を検討しているもよう。エヌビディアの最先端の半導体が第三国を経由して中国に渡ることについても厳しい目が向けられる可能性がある。エヌビディアのSEC提出資料によると、11-1月期の中国市場での収入は55.34億ドルで、前期比2.2%増という小さな伸び。同時にシンガポールを含むその他市場での収入は12.0%減となった。逆に米国市場は34.7%増という大幅な伸びになっている。
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ファンCEOはAI関連の需要増加に自信 中国向けの比率は維持か
ジェンスン・ファンCEOは26日の決算会見で、AIの時代は始まったばかりだとして半導体への需要拡大が続くとの見通しを強調。2-4月期の中国市場については「総収入に占める比率は前四半期とほぼ同じになるだろう。輸出規制が始まる前の半分程度だ」と述べ、現状ではさらなる縮小は想定していないとの考えを示した。
ただ、エヌビディアの決算会見では、成長ペースの鈍化や粗利益率の低下、輸出規制のさらなる強化といった見通しへのマイナス材料も目立つ。驚異的な業績の向上が株価を1年で数倍にも押し上げるシナリオの再現は遠のいているといえそうだ。
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