エヌビディア、株価8%急落 成長減速見通し 予想超えでも市場冷静
エヌビディアは8-10月の総収入の成長が鈍化する見通しとなった。ファンCEOは高性能半導体の需要の強さを強調しているが、株価は下落している。
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半導体大手NVIDIA(エヌビディア)が28日の取引時間終了後に発表した2024年5-7月期決算は市場予想を超える内容だった。しかし同時に示した8-10月期の見通しは成長ペースの鈍化を感じさせ、人工知能(AI)関連の半導体需要の爆発的な増加の期待を薄める内容だった。一方、エヌビディアのジェンスン・ファンCEOは決算会見で、新製品への引き合いの強さなどを理由に今後の成長に自信をみせている。ただし投資家の高い期待に応えることはできなかったようで、エヌビディアの株価(NVDA)は28日の時間外取引で8%超下落している。
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エヌビディアは8-10月期の総収入が前期比一桁成長に
エヌビディアの5-7月期決算は総収入が前年同期比2.2倍の300.40億ドル。調整ベースの1株当たり利益(EPS)は2.5倍の0.68ドルだった。LSEGがまとめた直前の市場予想は総収入が287.00億ドル、1株当たり利益が0.64ドルだった。発表された結果はいずれも市場予想を超える好決算だったといえる。
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また、エヌビディアが示した8-10月期の見通しでは、総収入が325億ドルとされ、こちらも市場予想(317.69億ドル)を上回った。ただし伸び率は前年同期比79.4%増の水準で、5-7月期まで5四半期連続で続いた2倍超の成長ペースが鈍化する見通し。また前期比での伸び率は8.2%となり、7四半期ぶりの一桁成長となる。
ファンCEOは高性能半導体への需要の強さを強調
エヌビディアはAI開発やAIサービス展開に不可欠な高性能半導体で圧倒的なシェアを持つとされ、マイクロソフト(MSFT)など大手ハイテク企業の巨額のAI投資が成長の源泉になってきた。AI向け半導体を扱うエヌビディアのデータセンター部門の5-7月期の収入は前年同期比2.5倍の262.72億ドルとなり、総収入の87%を占めている。ただし大手ハイテク企業の決算発表後の株価の値動きからは、AIに関する設備投資の大きさが利益を圧迫することへの懸念も感じられ、エヌビディアにとっては需要の継続性に不安がある状態だ。
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こうした懸念に関し、ファン氏は28日の決算会見で、顧客企業は高性能半導体を導入すれば処理能力の高さや消費電力の小ささというメリットを享受でき、コストカットを実現できると強調。「(顧客企業の)データセンターは計算設備の先端化を全速力で進めている」とし、需要拡大見通しに自信をみせた。3月に発表したAI向け半導体システム「ブラックウェル」への引き合いも強く、2024年11月-2025年1月期には数十億ドルの収入につながる見込みだという。
アメリカ向けでの収入は前期比でマイナスに
ただしエヌビディアの5-7月期の決算内容には異変も感じられる。総収入を地域別でみると、アメリカが130.22億ドルとなり、前年同期比2.1倍。ただし前期比でみれば3.5%減で、2021年2-4月期以来13四半期ぶりの前期比マイナスとなった。一方、中国向けは36.67億ドルで前期比47.2%増となった。コレッタ・クレスCFOは決算会見で、地域別の内訳は代金の請求書の送付先に基づいており、最終的な顧客の所在地とは異なる場合があると説明した。
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エヌビディアの株価は時間外取引で8%超下落
こうした発表内容を受けて、エヌビディアの株価は28日の時間外取引で値下がり。一時、115ドル台をつけた。28日の終値(125.61ドル)との比較では8%を超える下落率だ。エヌビディアの株価は高い成長見通しが評価され、28日の終値時点で2023年末比2.5倍に達していた。しかし5-7月期の結果や8-10月期の見通しは投資家の納得を得ることはできなかったもようで、7月10日につけた最高値(134.91ドル)は遠のいている。
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