アルファベット株が下落 設備投資見通しを嫌気 広告収入は減速
アルファベットの2024年4-6月期決算は総収入の伸びが減速。高水準の設備投資も続く見通しで、時間外取引で株価は下落した。
アルファベットが23日の取引時間終了後に発表した2024年4-6月期決算は大黒柱である広告収入の伸びが減速した。また決算会見では今後も高い水準での設備投資が続くとされ、株式市場では収益性の悪化の可能性が意識されたようだ。アルファベットの株価は23日の時間外取引で2%超安となった。スンダー・ピチャイCEOは人工知能(AI)サービス普及に向けた先行投資の重要性を強調しているが、投資家の視線は利益の確保にも向けられている。
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アルファベットの4-6月期決算は総収入の伸び率が減速
アルファベットの4-6月期決算は総収入が前年同期比13.6%増の847.42億ドル、1株当たり利益(EPS)が31.3%増の1.89ドルだった。LSEGがまとめた直前の市場予想は、総収入が841.91億ドル、1株当たり利益が1.84ドルだった。アルファベットが発表した数値は、いずれも市場予想を上回る結果。ただ、1-3月期は総収入が15.4%増、1株当たり利益が61.5%増だっただけに、成長の勢いは鈍ったといえる。
アルファベットの総収入の伸びが減速した要因は、総収入の4分の3を稼ぎ出す広告事業の伸び悩みだ。4-6月期の広告事業の収入の伸び率は前年同期比11.1%増で、1-3月期(13.0%増)から減速。アジア太平洋地域の収入の伸び率が8.6%増にとどまり、1-3月期の13.8%から低下したことが響いた。アルファベットは4月の前回決算会見で、1年前から始まったアジア太平洋地域の小売事業者からの広告需要の増加が一巡し始めていると説明していた。
クラウド事業は高成長維持も設備投資はコスト要因
一方、AIサービスの提供基盤となるクラウド事業は高成長を続けている。4-6月期のクラウド事業の収入は前年同期比28.8%増の103.47億ドル。四半期決算として初めて100億ドル台に乗った。伸び率は1-3月期の28.4%増から、わずかながらも加速している。
ただ、クラウド事業の成長の裏側には巨額の設備投資というコスト要因がある。ルース・ポラットCFOは23日の決算会見で、4-6月期の設備投資額は130億ドルで、サーバーやデータセンターへの投資に向けられたと説明。2024年後半の四半期ベースでの設備投資額は「1-3月期の120億ドルとほぼ同程度か上回る金額」になるとの見通しを示した。なかでも7-9月期については、営業利益率の低下につながる可能を示唆した。
アルファベットの株価は時間外取引で2%超の下落
23日の時間外取引では、アルファベットの株価(GOOGL)は決算発表後に上昇したが、決算会見で設備投資への言及があると値下がりを始めた。最終的には179ドル程度で取引を終え、23日の終値(183.60ドル)からは2%超の下落となった。アルファベットは1月の決算発表で、「2024年の設備投資費用は2023年よりも著しく大きくなる」とした際も株価下落に見舞われていた。
ピチャイ氏は決算会見で、AI時代の幕開けといえる現在においては「過少投資のリスクは過剰投資のリスクよりも劇的に大きい」と述べ、積極的な投資を続ける考えを示した。ただ、リスクに見合った利益を生み出す道筋を示さなければ、今後、投資家の不満が高まっていくことも考えられそうだ。
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