アルファベット株、15％上昇　初の配当発表　広告収入は減速見通しか

グーグルなどを傘下に持つアルファベットが25日の取引時間終了後に発表した2024年1-3月期決算は広告事業とクラウド事業の成長が加速する好決算だった。同時にアルファベットとして初めての配当金支払いも発表した。25日の時間外取引ではアルファベットの株価は一時、15％上昇した。アルファベットは今後も人工知能（AI）サービスの提供基盤となっているクラウド事業への投資を進めしつつ、利益率も拡大させると意欲的だ。ただし大黒柱の広告事業については成長が鈍化する見通しもにじませている。

【関連記事】アルファベット、株価維持なるか？　23日決算　広告収入減速見通し（2024年7月16日）

アルファベットの1-3月期決算は広告とクラウドともに好調

アルファベットの1-3月期決算は総収入が前年同期比15.4％増の805.39億ドル、1株当たり利益（EPS）が61.5％増の1.89ドルだった。LSEGがまとめた直前の事前予想は、総収入が785.91億ドル、1株当たり利益が1.51ドル。発表された結果はいずれも予想を上回った。

アルファベットの総収入の4分の3を稼ぎ出す広告事業の収入は13.0％増で、10-12月期の実績（11.0％増）を上回った。また、クラウド事業の収入は28.4％増となり、10-12月期（25.7％）から加速している。アルファベットはこれまで広告事業かクラウド事業のいずれかが不振とみなされて株価急落を招いていただけに、1-3月期の結果は投資家の不満を打ち消す好決算だったといえる。

アルファベット初の配当実施で株価は一時15％高に

さらにアルファベットは1-3月期決算と同時に、1株当たり0.20ドルの配当を6月17日に支払うことも発表した。今後も四半期ごとに配当を払う方針だとしている。配当実施はSNS大手のメタ・プラットフォームズ（META）も2月の10-12月期決算発表時に公表し、株価を大きく押し上げていた。

こうした好決算と配当実施は投資家に歓迎された。アルファベットの株価（GOOGL）は25日の時間外取引で一時、181ドル台後半をつけた。25日の終値（157.95ドル）との比較では約15％高にあたる水準だ。その後は174ドル台で推移している。

広告事業の成長は4-6月期に減速する見通しか

アルファベットは今後の利益率の見通しについても自信をみせている。2024年は設備投資費用を大幅に積み増してAIサービスを強化する方針だが、ルース・ポラットCFOは25日の決算会見で、2024年の営業利益率は「2023年に比べて高くなる」との見通しを示した。1-3月期の設備投資額は約120億ドルで、今後の四半期も同等以上の投資を続けるという。

ただ、広告収入の見通しには不安もよぎっている。ポラット氏は広告事業の成長は2023年4-6月期から始まったアジア太平洋地域の小売業者からの広告需要の強さが背景にあると説明し、2024年4-6月期は「効果が一巡し始める」としている。今後、アルファベットの広告収入の伸び率が鈍化する可能性もありそうだ。