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エヌビディア、株価下落の再来も 20日決算 今四半期見通しが焦点

エヌビディアの8-10月期決算は総収入が8割増の見通し。同時に示される今後の成長見通しが勢い不足と判断されれば、株価が下落するおそれがある。

エヌビディア、株価下落の再来も 20日決算 今四半期見通しが焦点 出所:Adobe Images

半導体大手NVIDIA(エヌビディア)が20日の取引時間終了後に行う2024年8-10月期決算発表は業績の今後の見通しが焦点だ。人工知能(AI)開発向け半導体で強みを持つエヌビディアは急成長がすでに一巡。8月の前回(5-7月期)決算発表では成長鈍化への懸念が悪材料となって株価下落のきっかけを作った。エヌビディアの株価はその後、回復しているものの、2024年11月-2025年1月期の見通しなどが勢い不足と判断されれば、再び株価の値下がりを招き、今後の見通しを暗くする可能性もありそうだ。

【関連記事】エヌビディア、株価急落後回復 成長は減速見通し 急騰期待は後退か(2024年11月21日)

エヌビディアの8-10月期決算は総収入が82%増の見通し

エヌビディアは米国東部時間20日午後4時20分(日本時間21日午前6時20分)に決算を発表。40分後の午後5時から決算会見を開く。ブルームバーグがまとめた8-10月期決算に関する事前予想では、総収入が前年同期比82.6%増の330.81億ドルになる見通し。調整ベースの1株当たり利益(EPS)は84.1%増の0.74ドルとなる見込みだ。エヌビディアは過去18回の四半期決算のうち、総収入と1株当たり利益でそれぞれ1回ずつ市場予想を超えられなかった。

エヌビディアの業績(総収入、1株当たり利益=EPS)の推移のグラフ

エヌビディアの株価は2023年末比で3倍に 大手ハイテク企業の設備投資が追い風

エヌビディアの株価(NVDA)の12日の終値は148.29ドルで、2023年末比で約3倍。2023年の1年間で3.4倍になった後も株価上昇が続いている。エヌビディアの高性能半導体はAI開発やAIサービスの展開に不可欠とされ、マイクロソフト(MSFT)をはじめとする大手ハイテク企業の巨額の設備投資が追い風になってきた。AI関連の半導体を手掛けるデータセンター部門の収入は5-7月期で262.72億ドルとなり、総収入の87%を占めるに至っている。

エヌビディアの部門別の収入の推移のグラフ

ブルームバーグによると、エヌビディアの直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は39.9倍。前回の決算発表直前の水準(39.1倍)とほぼ同じだ。アナリストが提示する目標株価の平均は152.92ドルで、現状よりも3%ほど高い水準。11月10日以降には180ドル台に引き上げる動きも目立っている。76人のアナリストのうち68人は買い、6人は維持、2人は売りを勧めている。

エヌビディアの好業績は一巡 11-1月期の総収入の見通しで成長性を示せるか

エヌビディアの株価上昇は2023年5月に行った決算発表で、5-7月期の総収入が前年同期比で6割超増えるとの見通しを示したことがきっかけ。その後の四半期決算では総収入が2-3.6倍になる好業績を繰り返し、投資家を驚かせてきた。しかし今年8月28日に発表した5-7月期決算からは成長が一巡する形となり、総収入の伸びは減速。さらにエヌビディアが示した8-10月期の見通しでは、総収入の前期比での伸び率が8.2%程度に留まり、投資家の失望を買った。翌29日の株価の終値は前日比6.38%安となっている。

エヌビディアの株価と予想PERと決算発表のタイミングのグラフ

このため20日の8-10月期決算発表では、総収入の伸びが市場予想を超えられるかが最初のハードル。市場予想はエヌビディア自身が示した見通しのほぼ上限にあたり、クリアできるかどうかが注目される。また、エヌビディアが示す11-1月期の総収入の見通しが市場で予想されている367億ドル程度を下回るなどして期待外れに終われば、再び株価が下落することも考えられる。半導体市場では米国の半導体関連の輸出規制強化を見越した中国企業の前倒し購入があったとみられており、今後は反動が生じる可能性があることも不安材料のひとつだ。

大手ハイテク企業の設備投資は増加する見通し エヌビディアの業績への効果は?

一方、エヌビディアの業績の追い風となってきた大手ハイテク企業のAI関連投資は2025年も増えそうだ。マイクロソフトは7月30日の決算会見で、2025年6月通期の設備投資額が前期比でプラスになるとの見通しに言及。その後、10月30日の決算会見で公表された7-9月期の設備投資の実績額は前年同期比78.6%増だった。10-12月期の設備投資額は7-9月期よりも大きくなるという

こうした大手ハイテク企業の設備投資がエヌビディアの業績に与えるプラス効果が大きくなることが分かれば、エヌビディアの株価の今後の見通しが上振れする可能性もありそうだ。


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