アーム、株価6%下落 今四半期見通し予想割れ AI需要には自信
アームの1-3月期の業績見通しは市場予想を下回った。AI関連需要の強さに自信は示しているが、成長加速の具体的な絵姿は示さず、株価は下落した。
![アーム、株価6%下落 今四半期見通し予想割れ AI需要には自信](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/uk/images/news-article-image-folder/Adobe_indices_10-08-2024.jpeg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
英半導体大手、アーム・ホールディングスが5日の取引時間終了後に行った2024年10-12月期決算発表は投資家の期待に応えられなかった。10-12月期の実績は市場予想を超えたものの、2025年1-3月期の見通しは予想に届かなかったためだ。アームの株価は5日の時間外取引で6%程度値下がりしている。一方、アームのルネ・ハースCEOは人工知能(AI)に関連した半導体需要の強さも強調しているが、投資家が思い描く成長ペースをしのぐことは容易ではないともいえそうだ。
アームの2024年10-12月期決算は市場予想を超える結果 総収入19.3%増
アームの10-12月期決算は、総収入が前年同期比19.3%増の9.83億ドルで、前四半期(7-9月期)の4.7%増から成長が加速。調整ベースの1株当たり利益(EPS)は25.8%増の0.39ドルで、前四半期の減益(16.7%減)から増益に転じた。ブルームバーグがまとめた直前の市場予想は、総収入が9.46億ドル、1株当たり利益が0.34ドル。発表された実績はいずれも予想を上回った。
![アーム・ホールディングスの業績(総収入、1株当たり利益=EPS)の推移のグラフ](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/ARM_202410-12_earnings_report_result_revenue_and_eps.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
1-3月期の業績見通しは市場予想に届かず 株価は時間外取引で6%下落
一方、アームが示した2025年1-3月期の業績見通しは期待外れだった。アームは1-3月期の総収入について11.75億-12.75億ドルになるとの範囲を提示。中央値の12.25億ドルは、市場予想の12.28億ドルを下回った。また2025年3月通期の総収入は39.40億-40.40億ドルとされ、約3か月前の前回決算発表時の見通し(38.00億-41.00億ドル)から中央値が0.40億ドル上がったものの、上限は引き下げられている。
こうしたアームの慎重な業績見通しは投資家を満足させられなかったようだ。アームの株価(ARM)は5日の時間外取引を162ドル程度で終えており、直前の終値(173.26ドル)との比較では6%超の値下がりとなった。
半導体による計算能力への需要増加を確信 ディープシークの登場も追い風か
一方、ハース氏はAI関連の半導体需要の強さを強調している。ハース氏は5日の決算会見で、AIの開発やサービスの進歩が半導体による計算能力に対する需要を高めることを「強く確信している」と述べ、アームの技術に対する需要も伸びるとの見方を示した。中国のAI開発企業「DeepSeek(ディープシーク)」が低コストで高性能のAIを開発したことも半導体産業にとって「素晴らしいことだ」と評価。低コストでのAI開発が可能になったとしても、現状の半導体による計算能力は必要とされる規模には全く到達していないとして、半導体需要が衰えるわけではないとしている。
ただ、アームは現時点では、成長が急激に加速するとみているわけでないようだ。ジェイソン・チャイルドCFOは5日の決算会見で、顧客企業がアームの技術を用いた半導体の製造で得た収益に応じて受け取るロイヤルティ収入について、2026年3月期は「20%台半ば」の成長になると言及。今回発表された10-12月期決算での成長率(23.4%)をやや上回る程度の水準だとみている。ロイヤルティ収入は、アームの技術の利用を顧客企業に認める際に受け取るライセンス収入と比べて変動が小さく、長期的な成長性を表す指標と位置付けられている。
![アーム・ホールディングスのライセンス収入とロイヤルティ収入の推移のグラフ](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/ARM_202410-12_earnings_report_result_lisencing_and_royalty.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
アームの株価は2023年末からの約13か月間で2.3倍になっており、AIブームの立役者である半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)の2.5倍に匹敵する伸びを見せてきた。この半面、株価の水準と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は80倍にも達しており、エヌビディアの28倍程度と比べて割高感が強い。アームの親会社であるソフトバンクグループ(9984)がオープンAIなどと表明した5000億ドルの投資を見据えるAIインフラプロジェクトなどの追い風がアームの業績に与える影響がはっきりするまでは、株価上昇の勢いが削がれる可能性がありそうだ。
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