アーム、成長見通し上がらず 株価下落 ソフトバンクグループも
アームが6日に発表した10-12月期の業績見通しは市場予想を超えられず。AIブームで高まる期待に応えることの難しさを示した。
英半導体大手のアーム・ホールディングスがアメリカ東部時間6日の取引時間終了後に行った2024年7-9月期決算発表は投資家の期待に応えられなかった。なかでも10-12月期の見通しが市場予想を超えられなかったことが悪材料視され、時間外取引で株価は下落した。アームは人工知能(AI)ブームが追い風になっているだけに、投資家が求める成長の水準はいっそう高いともいえそうだ。アームの親会社である日本のソフトバンクグループの株価も7日の東京市場で下落している。
アームの2024年7-9月決算は低調ながらも市場予想超え
アームの7-9月期決算は、総収入が前年同期比4.7%増の8.44億ドルで、4-6月期の39.1%増から減速。また、調整ベースの1株当たり利益(EPS)は16.7%減の0.3ドルで、減益決算となった。ただ、ブルームバーグがまとめた市場予想の総収入8.10億ドルと、1株当たり利益0.26ドルは上回った。
アームの10-12月期の総収入の見通しは市場予想を超えられず
またアームは10-12月期の業績について総収入が9.2億-9.7億ドルの範囲に収まるとの見通しを示した。中間値の9.45億ドルは前年同期比14.7%増にあたる水準で、7-9月期から成長の勢いが回復することになる。ただし市場予想の9.50億ドルは下回っており、投資家にとっては不満の残る数字だった。一方、1株当たり利益について示された中間値で0.34ドルとの見通しは市場予想と一致。2025年3月通期の見通しは、総収入が38億-41億ドル、1株当たり利益が1.45-1.65ドルとされ、いずれも7月時点の内容が維持された。
アームの7-9月期の成長が4.7%にとどまった理由は、ライセンス収入が前年同期比14.9%減の3.30億ドルに終わったことだ。ライセンス収入はアームの技術を用いた半導体製造の契約を顧客企業と結ぶ際にアームが受け取る収入。ルネ・ハースCEOは決算会見で、1年前に非常に大きな契約があったことが減少の要因だと説明した。
一方、顧客企業がアームの技術を用いた半導体の製造で得た収益に応じてアームが受け取るロイヤリティ収入は7-9月期に前年同期比23.0%増の5.14億ドルとなった。ハース氏は顧客企業はAIの未来や普及に向けた投資を続けているとし、「われわれの長期的な成長の原動力は維持されたままだ」と話した。
アームの株価は時間外取引で下落 ソフトバンクグループも1.95%安
ただ、アームの成長力への期待が大きいだけに、10-12月期の業績見通しが投資家の予想を下回ったことは悪材料だったといえる。アームの株価(ARM)は6日の時間外取引を137ドル程度で終了。6日終値(144.68ドル)との比較では5%超の値下がりとなった。ブルームバーグによると、アームの株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は6日時点で78倍程度となっており、AIブームの立役者である半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)の39倍程度よりも大きく割高な水準となっている。また、ソフトバンクグループ(9984)の株価も7日に前日終値比1.95%安となった。
また、アームは決算会見の中で、クアルコムとの訴訟についても言及した。アームは2022年8月31日にクアルコムをデラウェア州の連邦地裁に提訴。裁判は12月に終了する予定となっている。ハース氏は決算会見で、現状では多くは話せないとしつつ、クアルコムに対して半導体ライセンスの取り消しを通告したことを明かした。アームが示している収入に関する業績見通しは「この訴訟で勝てないことを考慮している」と説明している。
アームは訴訟の中で、クアルコムが2021年にアームのライセンスを受けて半導体を開発していたヌビアを買収した後、アームの同意を得ずに開発を続けたとしている。クアルコム自身もヌビア買収前にアームからライセンスを受けているが、アームは第3者がアームの技術に基づいて開発した半導体の生産は認められないと主張している。
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