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アーム、総収入の大幅増加見通し示せるか 5日決算 中国AIは不安?

アームは2月5日に10-12月期決算を発表。1-3月期について高い成長率見通しを示せれば株価に上昇圧力がかかりそうだ。

アーム、総収入の大幅増加見通し示せるか 5日決算 中国AIは不安? 出所:Adobe Images

英半導体大手アーム・ホールディングスが2月5日に行う2024年10-12月期決算発表は今四半期(2025年1-3月期)の成長加速見通しを示せるかが焦点だ。株式市場では1-3月期の総収入は前年同期比で3割超の上昇が見込まれており、期待に応える見通しを示せば株価上昇につながる可能性もある。一方、アームの株価をめぐってはアメリカのドナルド・トランプ大統領も後押しする巨額の人工知能(AI)投資事業が追い風になる一方、中国発AIの「DeepSeek(ディープシーク)」への脚光は株価の下落要因となっている。5日の決算会見ではルネ・ハースCEOがディープシークの影響について言及するかどうかも注目されそうだ。

アームの2024年10-12月期決算は総収入が15%増の見通し 

アームは米国東部時間5日午後5時(日本時間6日午前7時)に決算会見を開く。ブルームバーグのまとめによると、アームの10-12月期決算に関する市場予想は、総収入が前年同期比15.0%増の9.48億ドルの見通し。調整ベースの1株当たり利益(EPS)は17.2%増の0.34ドルと見込まれている。アームは2023年9月14日に米ナスダック市場に米国預託証券(ADR)を上場。その後に発表した5回の四半期決算はいずれも、総収入と1株当たり利益が市場予想を超えている。

アームの業績(総収入、1株当たり利益=EPS)の推移のグラフ

アームの株価は2024年に64%高 上場来高値更新は7月が最後

アームの株価(ARM)は2024年に64.16%高となった。2025年1月28日の終値は149.47ドルで、2024年末比で21.17%高だ。とはいえ、7月10日に上場来高値(186.46ドル)をつけた後は記録更新から遠ざかっている。11月6日に行った前回(7-9月期)の決算発表では、業績の見通しが投資家の期待に応えられず、株価の勢いは増さなかった。

ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は28日時点で約74倍で、前回決算発表当日の79倍程度から割高感が和らいだ。一方、AIブームの立役者である半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)の33倍よりは大幅に割高で、期待先行の株価とみることもできる。アナリストが提示する目標株価の平均は148ドル程度で、現状の株価と同水準。44人のアナリストのうち26人は買いを勧める一方、14人は維持、4人は売りを推奨している。

アーム・ホールディングスの株価と予想株価収益率(PER)の推移のグラフ

アームは5000億ドル投資計画が追い風 中国AIディープシークは株価下落要因に

アームの株価はこのところ大きな値動きにさらされてきた。トランプ氏がアームの親会社であるソフトバンクグループ(9984)の孫正義社長らと5000億ドルのAI関連投資を発表した翌日の22日には、アームの株価は前日比15.93%高と急騰。一方、低コストと高性能を両立したとされるディープシークのAIが材料視された27日は前週末比10.19%安となっている。28日の終値は約3か月前の前回決算発表当日から3.31%高にとどまっており、値動きは冴えない。

アームの株価不振の背景には成長ペースに対する投資家の不満がありそうだ。市場で予想されている10-12月期の総収入の伸び(前年同月比15.0%増)は、7-9月期の4.7%は大きく上回るものの、4-6月期の39.1%増からは大きく見劣りする。アームが5日に発表する実績が予想を上回ったとしても、投資家の期待は高まらない可能性がある。

焦点は2025年1-3月期の見通し 市場予想を超えれば株価上昇も

このため株式市場の関心はアームが2025年1-3月期の総収入について示す見通しに集まりそうだ。ブルームバーグのまとめでは、1-3月期の総収入は前年同期比32.4%増の12.29億ドルが見込まれており、アームが予想を超える数字を示して投資家を驚かせば、株価に上昇圧力がかかることも考えらえる。

アームの収入は、アームの技術を用いた半導体製造の契約を顧客企業と結ぶ際にアームが受け取るライセンス収入と、顧客企業がアームの技術を用いた半導体の製造で得た収益に応じて受け取るロイヤルティ収入に大別される。このうちライセンス収入は大型の契約が締結されるタイミングでブレが生じるため、7-9月期は前年同期比14.9%減と不振だった。一方、ロイヤルティ収入は7-9月期も23.0%増という高水準を維持しており、アームは「長期的な成長の原動力は維持されている」と説明している。

アーム・ホールデイングスのライセンス収入とロイヤルティ収入の推移のグラフ

ただ、AIや半導体をめぐる関連企業の経営環境はディープシークの存在感が増していけば大きく変化する可能性がある。ディープシークが示した低コストで高性能なAIを開発できる可能性を踏まえ、ハース氏が5日の決算会見で示す戦略も株価の今後の見通しを左右しそうだ。


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