アーム、成長見通しの上方修正は? 31日決算 混迷の半導体株に影も
アーム・ホールディングスの2024年4-6月期決算は総収入の見通しが焦点。期待外れに終われば、急騰してきた株価が下落するおそれも。
英半導体大手のアーム・ホールディングスが31日のアメリカの株式市場の取引終了後に行う2024年4-6月期決算発表では、通期の業績の見通しが上方修正されるかが焦点となりそうだ。5月の前回決算発表では、通期見通しが市場予想を下回り、株価は下落。その後、株価は急回復しているが、発表内容が改めて投資家の失望を招けば、株価が大きく値下がりする恐れもある。半導体株をめぐっては、米国の大統領選挙をめぐる思惑が下落圧力としてくすぶっており、混乱に拍車がかかる可能性もありそうだ。
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アームの4-6月期決算は総収入が34%増の見通し
アームは米国東部時間の31日午後5時(日本時間8月1日午前6時)に決算会見を開く。LSEGのデータによると、アームの4-6月期決算に関する市場予想は、総収入が前年同期比33.9%増の9.04億ドルの見通し。調整ベースの1株当たり利益(EPS)は0.34ドルの見込みだ。アームは2023年9月14日に米ナスダック市場に米国預託証券(ADR)を上場。その後に発表した3回の四半期決算はいずれも、総収入と1株当たり利益が予想を上回っている。
アームの株価(ARM)は公募価格の51ドルから上昇が続いており、今月10日には186.46ドルの上場来高値をつけている。23日の終値は171.70ドルで、2023年末比で約2.3倍の水準。人工知能(AI)ブームの立役者である米国の半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)の2.5倍に匹敵する勢いだ。
LSEGによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は98.90倍で、エヌビディアの37.96倍よりも大幅に割高といえる。アナリストが提示する目標株価の平均は123.90ドルと低調だが、6月下旬以降には200ドルに引き上げる動きも出ている。31人のアナリストのうち、5人は強い買い、11人は買い、13人は維持を推奨している。一方、1人は売り、残る1人は強い売りを勧めている。
アーム株は前回決算発表時に下落 通期の見通しが焦点
こうした中で発表されるアームの4-6月期決算では通期の見通しが注目される。アームは5月8日の1-3月期決算発表時、実績や4-6月期の見通しは市場予想を超えたものの、同時に示した2025年3月通期の総収入の見通し範囲の中間値(39.50億ドル)が市場予想割れ。8日の時間外取引では一時、株価が終値から約10%値下がりする場面もあり、投資家の高い期待に応えることの難しさを示した。足元の金融市場ではアームの通期の総収入は40.24億ドルとみられており、アームが見通しを上方修正して、このハードルをクリアできるかが焦点だ。
ただ、アームの株価は前回の決算発表後、すぐに上昇基調に戻った。エヌビディアの株価が2020年以降の4年半あまりで20倍超になっているのに対して、アームの株価は9月の上場から3倍強にしかなっていないことから、株式市場にはアーム株の上昇余地はまだまだ残っているとの見方もある。一方、アームの半導体の強みはスマートフォン向け市場で、エヌビディアのAI向け市場での強さとは色合いが異なるが、ルネ・ハースCEOはアームもAI普及に向けた流れが追い風になっていると強調している。
とはいえ、予想PERが100倍近くにも達しているアームの株価上昇が期待先行であることは否めない。しかも半導体株の上昇には脆さも目立つ。17日には、11月の大統領選挙で優位に立つ、ドナルド・トランプ前大統領が台湾防衛に懐疑的な見方を示したことが悪材料とみなされ、アームを含めた世界の半導体株が急落する事態に見舞われた。アームの31日の発表内容が市場予想を下回れば、改めて株価が下落し、トランプ氏の発言が火をつけた混乱が拡大する可能性も拭えない。
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