アーム、総収入見通しは? 6日決算 米半導体大手との対立に不安も
アームが11月6日に発表する7-9月期決算は総収入の伸びが微増にとどまるもよう。10-12月期について強い見通しを示せるかが焦点になる。
英半導体大手のアーム・ホールディングスが11月6日の取引時間終了後に行う2024年7-9月期決算発表は10-12月期の成長見通しが焦点となりそうだ。アームは7-9月期の総収入が前年同期比で微増に留まる見通しだが、3か月前の決算会見では10月以降は底打ちすると分析していた。6日に示す業績見通しで、公約実現の道筋を示せるかが注目される。一方、アームはアメリカ半導体大手クアルコムとのライセンスをめぐる対立激化という不安材料もある。アームの業績は親会社のソフトバンクグループの株価も左右するだけに、ルネ・ハースCEOらによる説明が注目される。
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アームの2024年7-9月期決算は総収入が0.6%増にとどまる見通し
アームは米国東部時間6日午後5時(日本時間7日午前7時)に決算会見を開く。ブルームバーグのまとめによると、アームの7-9月決算に関する市場予想は、総収入が前年同期比0.6%増の8.10億ドルの見通し。調整ベースの1株当たり利益(EPS)は27.8%減の0.26ドルと見込まれている。アームは2023年9月14日に米ナスダック市場に米国預託証券(ADR)を上場。その後に発表した4回の四半期決算はいずれも、総収入と1株当たり利益が市場予想を超えている。
アームの株価は年初来で2.1倍に 7月の最高値からは後退
アームの株価(ARM)は10月29日の終値で157.17ドルで、2023年末比では約2.1倍に上昇。しかし7月10日につけた上場来高値(186.46ドル)からは15.71%安の水準だ。オランダ半導体製造装置大手ASMLホールディング(ASML)の7-9月期決算の不振ぶりが伝わった10月15日以降は2.87%安となっている。
ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は85.00倍で、前回(4-6月期)決算発表があった7月31日時点の86.85倍とほぼ同じ水準だ。ただ、人工知能(AI)ブームの立役者である半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)の41.69倍よりは大幅に割高だといえる。アナリストが提示する目標株価の平均は139.03ドルと低調だが、直近では195ドルまで引き上げる動きも出ている。42人のアナリストのうち24人は買い、15人は維持、3人は売りを勧めている。
アームの総収入は「7-9月期が底」 10-12月期の見通しに期待
アームの7-9月期に関して市場で予想されている、総収入が前年同期比0.6%増という水準は、アーム自身が示した業績見通しに沿った数字だ。アームは7月31日の4-6月期決算会見で7-9月期の総収入は7.8-8.3億ドル(中間値8.05億ドル)になるとの見通しを示していた。この際、ジェイソン・チャイルドCFOは総収入が伸び悩む理由について「ライセンスからの収入を計上するタイミング」を挙げ、7-9月期が総収入の底になると説明していた。アームの収入は、アームの技術を用いた半導体製造の契約を顧客企業と結ぶ際にアームが受け取るライセンス収入と、顧客企業がアームの技術を用いた半導体の製造で得た収益に応じて受け取るロイヤリティ収入に大別される。
このため今回の決算会見では10-12月期の総収入についてどのような見通しが示されるかが注目されそうだ。ブルームバーグのまとめでは、前年同期比15.40%高の9.51億ドルが予想されており、アームはこの数字を超える業績見通しを示すことが求められる。
クアルコムとの対立は不安要因 業績への影響についての言及は?
またアームをめぐっては顧客企業であるクアルコム(QCOM)との対立という不安材料もある。ブルームバーグは23日、アームがクアルコムに対して、半導体ライセンスを取り消すと通告したと報道。アームは、クアルコムが2021年に半導体企業ヌビアを買収した際、ヌビアがアームから受けていたライセンスをアームに無断でクアルコムに移譲したなどと主張しているという。
ライセンス契約をめぐる顧客との対立はアームの収入に影響を及ぼす懸念もあり、アームの23日の株価は前日比6.67%安となっていた。11月6日の7-9月期決算会見では、ハース氏がクアルコム問題の業績への影響に言及するかどうかも注目される。
アームは日本のソフトバンクグループ(9984)の子会社で、アームの株価の変動はソフトバンクグループの保有資産の評価に大きく影響する。アームの株価の今後の見通しは、日本の株式市場をも揺らす一因ともいえそうだ。
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