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米国株、上昇期待に脆さ S&P500揺らぐ 半導体株高の見通し焦点

S&P500は16日は反発。しかし前日に伝わったASMLの業績見通しは半導体株の勢いを削いだ。17日のTSMCの決算や9月小売売上高が相場を動かす可能性がある。

米国株、上昇期待に脆さ S&P500揺らぐ 半導体株高の持続性焦点 出所:Adobe Images

アメリカの株式市場で株価上昇期待の継続性が問われている。S&P500種株価指数の16日の終値は2営業日ぶりの反発。長期金利(10年物米国債利回り)の低下が追い風となって、中小型株の値上がりも大きくなった。ただ、前日にはオランダ半導体製造装置大手ASMLホールディングの業績見通しなどが波乱となってS&P500は値下がりしており、16日の反発には勢いの弱さも感じられる。こうした中、17日には半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC)の決算に加え、米国の9月小売売上高の発表も予定されている。半導体市場の先行きや軟着陸(ソフトランディング)シナリオの変化が、S&P500の今後の見通しを左右することも考えられる。

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アメリカのS&P500は反発 最高値には届かず

S&P500(SPX)の16日の終値は前日比0.47%高の5842.47。14日の最高値(5859.85)には届かなかったが、前日の0.76%安から盛り返した。LSEGによると、長期金利は16日のニューヨーク債券市場の終値で4.018%となっており、4日(3.981%)以来の低さとなっている。

S&P500とアメリカの長期金利の値動きの推移のグラフ

長期金利の低下は中小型株の上昇を後押しした。中小型株の代表的な株価指数であるラッセル2000(RUT)の16日の終値は前日比1.64%高の2286.68。S&P500の上昇率を大きく上回る勢いで、2021年11月25日(2331.46)以来、約2年11か月ぶりの高値に到達した。中小型株企業は資金調達を変動金利での借り入れに頼る程度が大きく、大型株よりも金利低下の恩恵を受けやすいとされている。

ラッセル2000とS&P500のグラフ

ASMLの2025年の業績見通しが悪材料に

ただ、S&P500の上昇には脆さも感じられる。15日の前日比0.76%安は、ASML(ASML)の2024年7-9月期決算発表資料で示された2025年の総収入の見通しが悪材料視され、半導体株の値下がりにつなったことなどが要因のひとつ。株高の背景にある人工知能(AI)ブームへの不信につながった。

ASMLは決算発表資料の中で、2025年の総収入は300億-350億ユーロになるとの見通しを示し、2022年に示した見通しの範囲の低い方の水準になると説明した。ASMLは2022年の投資家向けイベントで、2025年の総収入について300億-400億ユーロとの見通しを示していた。ASMLの決算は誤って予定より1日早い15日にウェブサイトにアップされるという思いがけない展開もあった。

エヌビディアは急落後に反発 迫力不足の感も

またブルームバーグは15日、米政府がエヌビディア(NVDA)などのAI開発・サービス向け最先端半導体について国別の輸出上限を設けることを検討しているとも報じている。中東湾岸諸国への輸出が念頭に置かれているという。

こうした中でも、16日の米国市場ではエヌビディアの株価が前日比3.13%高になるなど、AIブーム継続への期待は崩れていない。S&P500構成銘柄ではないものの、アーム・ホールディングス(ARM)も1.21%高となった。ただ、15日はエヌビディアが4.69%安、アームが6.89%安となっていただけに、16日の反発は迫力に欠けている。ASMLと同業の半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(AMAT)は15日の10.69%安に続き、16日も3.37%安と下落した。

エヌビディアなどアメリカ上場の主な半導体株の値動きの推移のグラフ

17日にはTSMC決算とアメリカ小売売上高の発表も予定

半導体株をめぐってはTSMC(TSM)が日本時間17日午後3時から決算会見を開く。魏哲家(シーシー・ウェイ)CEOが2025年の業績の見通しについて言及すれば、相場を動かす材料になる可能性がある。

また米国では17日午前8時30分(日本時間17日午後9時30分)に商務省が9月の小売売上高を発表する。ロイターがまとめた市場予想では前月比0.3%増となる見通し。自動車と自動車部品を除いたベースでは0.1%増になるとみられている。結果が市場予想を上回れば、物価上昇鎮静化と景気後退回避が両立される軟着陸が実現するとの期待がS&P500の見通しを明るくしそうだ。

アメリカの小売売上高の前月比伸び率の推移のグラフ

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