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米国株に再波乱起きるか S&P500上昇継続 ハイテク決算見通し左右

アメリカのS&P500は6週連騰。半導体株安の波乱を乗り切った。しかし23日のテスラをはじめとする決算発表や中東情勢の混迷は波乱も予感させる。

米国株に再波乱起きるか S&P500上昇継続 見通しにハイテク決算 出所:Adobe Images

アメリカの株式市場で上昇期待がつながった。S&P500種株価指数の18日の終値は1週間前比で0.85%高。4日ぶりの最高値更新で、約11か月ぶりの6週連続上昇を果たした。週の半ばには半導体株に下落圧力がかかる波乱もあったが、米国経済の軟着陸(ソフトランディング)への期待を背景にして乗り切った形だ。ただし来週以降は電気自動車(EV)大手テスラをはじめとする大手ハイテク企業の2024年7-9月期決算発表が控えており、不確定要素は多い。S&P500の今後の見通しに対する投資家の警戒感は緩んでおらず、株式市場に再び波乱が起きる可能性もある。

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アメリカのS&P500は最高値更新で6週連続の上昇

S&P500(SPX)の18日の終値は5864.67。前日比では0.40%高と反発し、14日以来の最高値更新を果たした。6週連続の上昇は、2023年12月末までの9週連騰以来の長さだ。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

半導体株は大混乱を回避か エヌビディアは最高値へ接近 

米国の株式市場では15日に伝わったオランダの半導体製造装置大手ASMLホールディング(ASML)の2024年7-9月期決算発表の内容が重荷となって、半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)をはじめとする主要な半導体株がそろって下落する波乱があった。しかし17日に発表された台湾積体電路製造(TSMC、TSM)の7-9月期決算発表は成長見通しをつなぎ、半導体株の見通しに安心感を与えている。

こうした中、エヌビディアの株価は16日以降は3日続伸となって最高値付近にもどってきた。ASMLと同業のアプライド・マテリアルズ(AMAT)も18日は4日ぶりに反発している。4月にTSMCが2024年の半導体市場の見通しを引き下げ、世界の半導体株が急落した際のような大混乱は避けられたようだ。

エヌビディアなどアメリカの半導体株の株価の推移のグラフ

S&P500には米国経済の底堅さを示す経済指標という好材料もあった。17日に発表された9月小売売上高は市場予想を超える強さとなり、消費の堅調さを印象付ける内容。また同じ日に発表された6-12日週の新規失業保険申請者件数は市場予想を下回り、ハリケーンなどによる雇用情勢の悪化が懸念されたほどではなかったとの安心感につながった。一方、長期金利(10年物米国債利回り)は17日のニューヨーク市場の終値で4.096%をつけ、7月31日(4.105%)以来の高さとなった。金利上昇は株価への逆風といえる動きだが、株式市場では物価上昇鎮静化と景気後退回避を両立する軟着陸が実現することへの期待が上回っているようだ。

テスラは23日に決算発表 株式市場の混乱の要因にも

ただ、S&P500の今後の見通しをめぐっては、再び決算発表が波乱を起こす可能性がある。米国の株式市場では、23日にテスラ(TSLA)が7-9月期決算を発表。さらに29日にはアルファベット(GOOGL)、30日にはメタ・プラットフォームズ(META)とマイクロソフト(MSFT)の決算発表が続く。アマゾン・コム(AMZN)とアップル(AAPL)の決算発表は31日だ。7月にはテスラとアルファベットの4-6月期決算発表が悪材料となって大手ハイテク株の急落につながっただけに、S&P500の見通しが晴れ渡っているわけではない。

エヌビディア、テスラ、アップル、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・コム、アルファベット、マイクロソフトの株価の推移のグラフ

VIX指数は高止まり S&P500の今後の見通しへの不安消えず

また、混迷する中東情勢をめぐってはイスラエルが17日、イスラム組織ハマスのヤヒヤ・シンワル最高幹部を殺害したと発表。ハマス側もシンワル氏の死亡を認めた。ハマスを支援するイランはイスラエルへの非難を強めている。シンワル氏の死亡はハマスの弱体化につながる可能性があるが、イスラエルとイランの対立を激化させて混乱を増幅させる要因ともいえる。

米国経済や国際情勢をめぐる先行き不透明感は、投資家にとっては懸念材料だ。ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の18日の終値は18.03で、9月30日(16.73)以来の低さとなったものの、依然として高止まりともいえる。決算発表や中東情勢の進展が投資家心理を急変させれば、S&P500への下押し圧力が強まることも考えられそうだ。

VIXとS&P500の推移のグラフ

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