TSMC、成長見通しに強さ 今四半期予想超え 半導体株は勢いづかず
TSMCが示した10-12月期の成長見通しは市場予想を超える強さ。しかし東京株式市場での半導体株の上昇は勢いづいていない。
半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC)が17日に発表した2024年7-9月期決算は総収入と利益がいずれも市場予想を超えた。10-12月期の見通しも市場予想を超え、力強さが感じられている。TSMCは決算会見で2025年は「健全な年」になると説明しており、人工知能(AI)ブームを背景にした成長に引き続き自信をみせた形だ。17日の東京市場ではTSMCの決算が伝わった後、半導体株に買いが入ったが、勢いには乏しかった。半導体株をめぐってはオランダの半導体製造装置ASMLホールディングの業績見通しが市場を冷やしたばかりで、17日のアメリカの株式市場でも半導体株の上昇の勢いが削がれる可能性がある。
TSMCの10-12月期の総収入見通しは市場予想を超える強さ
TSMCの7-9月期の総収入は前年同期比36.03%増の235.04億ドル。アメリカで上場しているADRベースでの1株当たり利益(EPS)は50.39%増の1.94ドルだった。LSEGによると、決算発表直前の市場予想は総収入が230.75億ドル、1株当たり利益は1.77ドルで、発表された実績はいずれも市場予想を超えた。総収入の伸び率は4-6月期の32.82%を上回っており、成長が加速した形だ。
またTSMCは10-12月期の総収入について261億-269億ドルになるとの見通しを公表。市場で予想されていた248.36億ドルを大きく上回った。実際の決算が、見通し幅の中間値にあたる265億ドルで着地すれば、2024年通期の総収入は896.99億ドルとなり、前期比29.44%増となる。
AI関連需要は「非常に堅実」 2025年の成長は「健全」に
魏哲家(シーシー・ウェイ)CEOは17日の決算会見でAI関連の半導体需要について「非常に堅実だ」と述べ、需要の強さは今後も続いていくとの見通しを示した。また黄仁昭(ウェンデル・ファン)CFOは2024年の設備投資額は300億ドルを少し超える程度になるとし、2025年はさらに上積みされるとした。黄氏は2025年は「健全な年になる」としており、今後も需要拡大に応じるために投資を続けると説明している。
日本時間の17日午後2時30分にTSMCの決算が発表されると東京株式市場では、半導体検査装置のアドバンテスト(6857)や、英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)を子会社に持つソフトバンクグループ(9984)に買いが入った。半導体株は15日に伝わったASML(ASML)の2025年の業績見通しが市場の失望を買ったことなどから値下がり圧力がかかっていたが、TSMCの好決算は一定の安心材料となったようだ。
日本の半導体株には追い風 終値はマイナス圏に
ただ、アドバンテストの17日の終値は前日比0.61%安で、TSMCの好決算にも関わらず、勢いづいたわけではなかった。また、半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)は3.21%安という不振。TSMCの決算発表後に買いが入ったものの長くは続かなかった。ソフトバンクグループ以外の主要な半導体株は17日に値下がりしており、投資家心理を大きく改善させたわけではないようだ。
アメリカの株式市場でも、ASMLや東京エレクトロンと同業のアプライド・マテリアルズ(AMAT)は株価の下落が目立っている。17日の米国市場での取引でも半導体株の上昇が勢いづかないことも想定される。
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