TSMC、成長加速予想 18日決算 市場見通しで半導体株に混乱も
TSMCの2024年4-6月期決算は成長が加速する予想。ただ、今後の業績や半導体市場の見通しが弱ければ、世界の半導体株に混乱も起こりえる。
半導体受託製造で世界最大の台湾積体電路製造(TSMC)が18日に発表する2024年4-6月期決算は、TSMCが世界の半導体市場の先行きについてどのような見通しを示すかが焦点だ。10日に発表された台湾ドルベースでの総収入では4-6月期の成長が加速。しかし18日に示す、今後の見通しが市場の期待に応えられなければ、世界の半導体株にとって悪材料となる可能性もある。実際、4月のTSMCの決算発表は世界の株式市場の波乱要因になっており、改めて株式市場にショックが走ることも考えられそうだ。
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TSMCの2024年4-6月期決算は成長が加速する見通し
TSMCは台湾時間の18日午後2時(日本時間18日午後3時)に決算会見を開く。LSEGのデータによると、TSMCの4-6月期決算に関する市場予想は、米ドルベースの総収入が前年同期比28.0%増の200.69億ドル。TSMCが毎月公表している台湾ドルベースでの総収入の集計では、TSMCの4-6月期の総収入は前年同期比40.1%増の6735億台湾ドルで、1-3月期の16.5%増から成長が加速しており、18日の決算発表でも好調な結果が確認されそうだ。
また、TSMCがアメリカで上場している米国預託証券(ADR)ベースでの1株当たり利益(EPS)は21.1%増の1.38ドルと見込まれている。TSMCは過去13回の四半期決算のうち3回で総収入が市場予想を超えられなかった。一方、1株当たり利益では13回すべてで市場予想を超えている。
TSMCの株価は年初来で83%上昇 AIブームが追い風
TSMCのADRでの株価(TSM)は10日の終値で191.05ドル。2023年末比では83.70%高で、上場来高値の更新が続いている。2023年通年での39.62%高を大幅に上回る勢いだ。スマートフォンや高性能コンピューターに用いられる半導体を製造するTSMCの顧客には、米国の半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)などが名を連ね、人工知能(AI)ブームを背景にした受注拡大への期待が膨らんでいる。
LSEGによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は26.11倍。前回の決算発表前の22倍程度から割高感が増している。一方、エヌビディアの42.17倍や、アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)の39.12倍との比較では割安とみることもできそうだ。アナリストが提示する目標株価の平均は175ドル程度だが、6月に入ってからは200ドル以上の水準まで引き上げる動きが相次いでいる。15人のアナリストのうち7人が強い買い、別の7人が買いを推奨。残り1人は維持を勧めている。
TSMC決算は7-9月期の業績や半導体市場の見通しが焦点
こうした中、18日の決算発表ではTSMCが7-9月期の総収入についてどのような見通しを示すかに注目が集まる。LSEGによると、金融市場で予想される7-9月期の総収入は前年同期比30.6%増にあたる225.58億ドル。決算発表で示される見通しがこの水準を超えれば、エヌビディアをはじめとする顧客企業が半導体生産に積極的であると受け止められ、TSMCはもちろん、世界の半導体株にとっての好材料になりそうだ。
ただ、4月18日の1-3月期決算会見は世界の半導体株を下落させた。TSMCの決算自体は1-3月期の実績と、4-6月期の見通しが市場予想を超える好決算。しかし魏哲家(シーシー・ウェイ)CEOは決算会見で、メモリを除く半導体市場の2024年の見通しについて「年率で約10%の成長」と言及。1月の会見時の「10%以上」から下方修正したとして株式市場で悪材料視された。翌19日にはTSMCの株価は3.46%安。エヌビディアの株価は10.00%安、英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)の株価は16.90%安となった。その後、世界の半導体株は5月のエヌビディアの決算発表を経て上昇が加速している。
ASMLの決算発表も半導体株の行方を左右か
また、半導体株の動向は、オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディング(ASML)が日本時間の17日午後2時に発表する、4-6月期決算発表で揺れ動く可能性もある。ASMLは半導体の回路の幅を数ナノメートルまで細くした最先端半導体の製造に必要なEUV露光装置で圧倒的なシェアを持ち、TSMCにも製品を供給している。
ASMLは4月17日に発表した1-3月期決算で、新規受注が市場予想を下回ったことが株価の悪材料となった。半導体株は世界の株式市場のけん引役となっているだけに、今後、ASML決算への注目度も高まりそうだ。
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