TSMC、半導体需要に自信　4-6月期も強気見通し　米国市場好感

半導体受託製造大手の台湾積体電路製造（TSMC）が18日に発表した2024年1-3月期決算は総収入と利益がともに市場予想を超える好決算だった。またTSMCは4-6月期の総収入の見通しでも市場の期待を上回る数字を提示し、半導体需要の強さに自信を示した。TSMCの発表を受けた18日のアメリカの株式市場では、時間外取引で半導体株が値上がりしている。

TSMCの2024年1-3月期決算は5四半期ぶりの増収増益

TSMCの1-3月期決算は米ドルベースでの総収入が前年同期比12.9％増の188.73億ドル。アメリカで上場している米国預託証券（ADR）ベースでの1株当たり利益（EPS）が5.34％増の1.38ドルだった。10-12月まで4四半期連続で続いてきた減収減益から抜け出し、5四半期ぶりの増収増益決算となった。LSEGがまとめた直前の市場予想は総収入が184.85億ドル、1株当たり利益が1.32ドル。発表された決算内容はいずれも市場予想を上回る好決算といえる。

TSMCは4-6月期の半導体需要の見通しに自信

またTSMCは決算会見の中で4-6月期の総収入の見通しについて196億-204億ドルとの範囲を示した。前年同期比伸び率では25.0-30.1％増にあたる水準だ。市場予想で見込まれていた193.93億ドルを上回る強気な数字だ。魏哲家（シーシー・ウェイ）CEOは決算会見で「需要は極めて強い」と言及し、総収入の拡大に期待を示した。また、TSMCは3日に発生した大規模地震で生じた生産の遅れはすぐに回復できるとした。

TSMCが需要拡大に自信をみせる背景には、人工知能（AI）サービスの普及が進むことへの期待がある。AI開発やAIサービスの展開には無数の計算を高速で処理できる半導体が大量に必要。AIへの関心が高まれば高まるほど、半導体への需要も高まる構図だ。ただ、TSMCは設備投資のペースを速めているわけではない。1-3月期の設備投資額は57.7億ドルで前年同期比42.0％減。総収入に占める設備投資額の割合は30.6％で、2023年通年の43.9％よりも低くなっている。

アメリカでは半導体株が値上がりして時間外取引開始

こうしたTSMCの決算を受けた18日の米国株式市場では半導体株が値上がりしてプレマーケットの時間外取引が始まった。TSMCの株価（TSM）は日本時間の18日午後6時30分段階で139ドル台後半で取引されている。前日の終値（139.03ドル）との比較では0.6％程度の値上がりだ。また、NVIDIA（エヌビディア、NVDA）の株価は851ドル台で取引され、こちらも前日の終値（840.35ドル）から1％超の上昇となっている。

TSMCの決算発表前の17日の米国の株式市場では半導体株が大きく下落していた。TSMCの発表内容に対する高評価が18日の米国市場で続けば、19日の東京株式市場での半導体株にとって追い風になりそうだ。