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TSMC、業績見通しが予想超え 決算発表 半導体株下落止まるか

TSMCの4-6月期決算と見通しは予想を超える好決算。しかし半導体株は政治リスクにもさらされており、下落圧力が続く可能性もある。

TSMC、業績見通しが予想超え 決算発表 半導体株下落止まるか 出所:Adobe Images

半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC)が18日に発表した2024年4-6月期決算は半導体市場に安心感を与える内容だった。4-6月期の総収入と1株当たり利益(EPS)はともに市場予想を上回る数字。7-9月期の業績見通しも予想を超え、2024年の半導体市況については3か月前とほぼ同様の成長見通しを示した。ただし半導体株の値動きをめぐっては17日、アメリカの規制強化などをめぐる思惑から、大きな値下がりがみられたばかり。人工知能(AI)ブームを背景とした半導体需要の強さは確認されたものの、政治リスクという新たな課題が半導体株の下落圧力として働き続ける可能性がある。

【関連記事】TSMC、成長加速見通し示せるか 17日決算 半導体株に影響も(2024年10月10日)

TSMCの4-6月期決算は実績と7-9月期見通しが予想超え

TSMCの4-6月期の米ドルベースでの総収入は前年同期比32.8%増の208.22億ドル。アメリカで上場している米国預託証券(ADR)ベースでの1株当たり利益は29.8%増の1.48ドルだった。LSEGがまとめた直前の市場予想では、総収入は202.42億ドル、1株当たり利益は1.40ドルと見込まれていた。発表された結果はいずれも予想を上回る数字だ。

TSMCの業績(総収入、1株当たり利益=EPS)の推移のグラフ

また、TSMCは4-6月期の総収入について、224億-232億ドルの範囲を示した。中間値の228億ドルは前年同期比32%増にあたり、市場予想の226.69億ドルをわずかながらも上回っている。

さらにTSMCの魏哲家(シーシー・ウェイ)CEOは日本時間午後3時からの決算会見で、メモリを除く半導体市場の2024年の見通しについて「10%程度(about 10%)」の成長を見込んでいるとした。4月の決算会見で言及した「約10%(approximately 10%)」と、ほぼ同じ表現といえそうだ。魏氏は成長の要因としてAIサービスや高機能スマートフォン向けの需要が強いことを挙げている。TSMCの4-6月期の設備投資額は63.6億ドルで、前年同期比では22.2%減だが、1-3月期の57.7億ドルからは増えている。

TSMCの設備投資額の推移のグラフ

TSMCなど半導体株は政治リスクで急落

こうしたTSMCの決算発表は半導体株の見通しには安心材料となりそうだ。ただし、世界の株式市場では17日に大幅な半導体株の下落がみられたばかり。TSMCの株価(TSM)も前日比7.98%安となった。米国のバイデン政権が中国に対する先端半導体技術の提供をめぐる規制の強化を検討していると報じられたことや、11月の大統領選挙に向けて勢いづくドナルド・トランプ前大統領が台湾防衛への関与に懐疑的な見方を示したなどことが材料視された。

こうした流れを受けて、日本の株式市場では18日も半導体株が下落。半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)は前日比8.75%安となり、前日の7.46%安に続く大幅な下落。半導体検査装置のアドバンテスト(6857)も17日に2.56%安、18日に4.92%安となっている。

日米に上場する半導体株の値動きのグラフ

トランプ氏の演説が半導体株にも影響か

魏氏は決算会見でトランプ氏の発言に関連し、台湾外の生産拠点を拡充するかを問われ、「現行の計画の変更はない」と回答。米国のアリゾナ州と日本の熊本県での工場拡充と、欧州での工場建設以外には新たな計画はないとの立場を示した。ただ、トランプ氏はTSMCが米国の半導体産業を弱体化させたとの不満も示唆しており、今後、半導体のサプライチェーン(供給網)の見直しを追求することも考えらえる。

ウィスコンシン州で開かれている共和党大会では、18日夕方(日本時間19日朝)以降にトランプ氏の候補者指名受諾演説が予定されている。注目度が高まるトランプ氏の発言は、半導体株の見通しに影響する可能性がありそうだ。


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