TSMC、市場見通しに変化は? 17日決算 下方修正で半導体株下落も
TSMCが17日に行う1-3月期決算発表は市場見通しが焦点。トランプ氏の高関税による経済の見通し不透明感が半導体市場に及ぼす影響が注目される。

半導体受託製造で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が17日に行う2025年1-3月期決算発表は2025年の半導体関連市場の見通しに変化が出るかが焦点だ。TSMCは1月の前回決算発表で2025年の市場成長率を10%と予測していたが、その後、世界経済の見通しはアメリカのドナルド・トランプ大統領の高関税政策で大きく変化。TSMCが見通しを下方修正すれば、世界の半導体株の株価が下押しされる可能性もある。一方、TSMCが10日に発表した台湾ドルベースでの1-3月期の総収入は4割超の成長となったが、駆け込み需要が起きていたとも考えらえる。米中対立の激化は半導体企業の経営環境を不安定にしており、株価の動向にも影響を与えそうだ。
TSMCは17日に1-3月期決算を発表 台湾ドルベースの総収入は4割成長
TSMCは17日午後2時(日本時間17日午後3時)に1-3月期の決算会見を開く。ブルームバーグによると、TSMCの1-3月期に関する市場予想は、米ドルベースでの総収入が前年同期比33.5%増の251.96億ドルと見込まれている。またTSMCが米国で上場している米国預託証券(ADR)ベースでの1株当たり利益(EPS)は48.55%増の2.05ドルになる見通しだ。

こうした中、TSMCは10日、月次の台湾ドルベースでの総収入を発表。1-3月の総収入は8392.54億台湾ドルで前年同期比41.6%増となった。2024年10-12月期の38.8%増から成長が加速した形だ。総収入の実績はブルームバーグがまとめた市場予想(8309億台湾ドル)も上回っている。

TSMCの株価は最高値から3割安の水準 割安感は大きく高まる
TSMCのADRでの株価(TSM)は9日終値段階で158.75ドル。トランプ氏が9日に相互関税の一部を90日間停止したことで、TSMCの株価も前日比12.29%高と跳ね上がった。ただし9日終値は1月23日につけた最高値(224.62ドル)からは29.33%安の水準。トランプ氏の高関税政策が世界の経済活動を改めて混乱させる可能性が消えたわけではなく、TSMCの株価の見通しは依然として不透明だ。
ブルームバーグによると、TSMCの直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は17倍程度で、3か月前の2024年10-12月期決算会見前の23倍程度から大きく割安になっている。アナリストが提示する目標株価の平均は245.83ドルで、足元の水準よりも55%ほど高い。
TSMCによる半導体市場の成長率の見通しは? 10%からの下振れの有無が焦点
トランプ氏の高関税政策が世界の金融市場を揺らす中、TSMCの17日の決算会見では2025年の市場成長率の見通しが焦点となる。TSMCの魏哲家(シーシー・ウェイ)CEOは1月16日の前回決算会見で、組み立てや試験なども含めた半導体受託製造関連市場の2025年の成長率が10%になると言及。しかし顧客企業が半導体の供給計画を下方修正していれば、TSMCの市場予想も下振れする可能性がありそうだ。この場合、TSMCだけでなく、世界の半導体企業の株価に下押し圧力がかかることも考えられる。
TSMCは1年前にあたる2024年4月18日の決算会見では2024年の半導体市場の成長率を「約10%」と分析。3か月前に示した「10%以上」からの下方修正とみなされ、世界の半導体株を急落させている。

1-3月期の高成長は駆け込み需要の影響か 米中対立が経営環境を不安定に
また17日の決算会見ではTSMC自身の業績の見通しも注目される。魏氏は1月の会見で2025年の総収入について「20%台半ばに近い水準」での成長を見込んでいるとしていた。10日発表の1-3月期の台湾ドルベースでの総収入は40%を超える伸びとなったが、トランプ氏の高関税政策への警戒を背景とした米国企業からの駆け込み需要が起きていた可能性もあり、4月以降も高成長を維持できるかどうかは不確かだ。トランプ氏は4月2日に発表した相互関税では半導体などを例外扱いとしつつ、以前から半導体については個別関税を検討しているとしてきた。
また、米政府は1月13日に半導体輸出規制の見直し案を公表しており、意見募集期間は5月で終わる見通し。トランプ政権の判断次第で、米国から中国への半導体輸出などが難しくなる可能性もある。世界の産業構造を変えるとも目される人工知能(AI)の開発に不可欠な高性能半導体は、米中両国にとって政治的な重みを増しており、米中対立の行方がTSMCや世界各国の半導体企業の株価を左右することも考えられそうだ。
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