日経平均、全面大幅安 半導体株の見通し急転 S&P500は大台割れ
中東情勢やTSMCの決算発表で投資家心理が悪化。日経平均はコロナ禍以来の下落幅を記録し、S&P500も5000を割り込んだ。
日経平均株価の下落が加速している。19日の終値は1週間前比で2455.20円安。新型コロナウイルス感染拡大への危機感が高まっていた2020年3月中旬以来の下落幅で、225銘柄の9割超が値下がりした。中東情勢悪化で強まったリスク回避姿勢が逆風になった。また、相場の追い風になるとも期待された台湾積体電路製造(TSMC)の2024年1-3月期決算発表では、TSMCが半導体市場の見通しを引き下げたことが悪材料になる結果。世界の半導体株が急落する事態を招いている。アメリカの株式市場ではS&P500が5000の大台を割り込んでおり、投資家の不安は拡大しているようだ。
日経平均は1週間で2455円の値下がり
日経平均(N225)の19日の終値は3万7068.35円。2月14日以来の3万7000円台で、3月22日につけた最高値(4万0888.43円)からの下落率は9.34%に達した。1週間での下落幅は新型コロナの世界的な感染拡大への懸念が強まり、過去最大の下落幅を記録した2020年3月9-13日週(3318.70円安)以来の大きさ。225銘柄中211銘柄が下落する全面安だった。前週末の13日にイランがイスラエルに攻撃を加えたうえ、日本時間の19日午前にイスラエルがイランにミサイル攻撃を行ったと報じられたことが投資家のリスク回避姿勢を強めた。
また、18日のTSMCの決算発表も相場の起爆剤にはならなかった。発表内容は1-3月期の結果と4-6月期の見通しが市場予想を超える好決算だったが、半導体市場の見通しが引き下げられたことが嫌気されたためだ。魏哲家(シーシー・ウェイ)CEOは決算会見で、メモリを除く世界の半導体市場の2024年の見通しについて「年率で約10%の成長」と言及。1月時点の「10%以上」から見通しを引き下げた。
東京エレクトロンなど半導体株が大幅安で見通し悪化
こうした中、日本の株式市場では半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)が1週間で15.11%下落。日経平均を585円押し下げた。また、半導体検査装置のレーザーテック(6920)も20.67%安となっている。前週の株式市場では東京エレクトロンは5.98%高、レーザーテックは9.51%高となって日経平均を押し上げていただけに、今回の急落で改めて今後の見通しが悪くなったといえそうだ。
テスラなど大手ハイテク企業の決算がS&P500に影響も
こうした中、米国では大手ハイテク企業の決算発表が本格化する。23日には電気自動車(EV)大手のテスラ(TSLA)が1-3月期決算を発表。24日にはSNS大手のメタ・プラットフォームズ(META)、25日にはアルファベット(GOOGL)とマイクロソフト(MSFT)の決算発表が予定されている。
これら大手ハイテク企業の人工知能(AI)への投資は半導体需要が拡大するとの期待の裏付けとなってきた。好決算が発表されれば、半導体株への期待も再浮上する可能性がある。ただ、テスラの決算では減収減益が見込まれているうえ、TSMCの決算発表後の株価の値動きを考えれば、各社の発表内容が市場予想を上回っても株価が下落する展開も想定される。中東情勢悪化や半導体市場の成長減速への不安が今後の株式相場の見通しを悪くする中で、S&P500や日経平均がさらに下押しされるリスクもありそうだ。
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