米国株、見通しに波乱も S&P500週次続落 半導体株にも決算余波
アメリカのS&P500は約3か月ぶりの週次続落。30日以降は重要決算とFOMCが控えており、波乱が起こる可能性がありそうだ。
アメリカの株式市場に波乱再来の予感が漂っている。S&P500種株価指数の26日の終値は1週間前比で0.83%安。前日比でみれば反発だったものの、約3か月ぶりの週次続落となった。テスラなどの決算発表への不満がもたらした余波は、大手ハイテク株だけでなく、半導体株にも波及している。30日以降に控える、マイクロソフトをはじめとする重要決算発表を前に投資家の不安は収まりきっていない。さらに30、31日には米連邦準備制度理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)も予定されており、S&P500の今後の見通しは不安定といえそうだ。
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S&P500は3か月ぶりの週次続落 テスラなど決算が影響
S&P500(SPX)の26日の終値は5459.10。前日比1.11%高で4日ぶりの反発だったが、直前の3日続落で記録した2.97%安との比較では半分に満たない上昇で終わった。2週続落は3か月前の決算シーズンにあたる4月15-19日週までの3週続落以来だ。16日につけた最高値(5667.20)からの下落率は3.67%となった。
S&P500の混乱を引き起こしたのは23日の取引時間終了後に発表されたテスラ(TSLA)とアルファベット(GOOGL)の2024年4-6月期決算だ。いずれも利益をめぐる不安が投資家心理を悪化させ、翌24日の大手ハイテク株の急落につながった。26日終値での週次下落率は、テスラは8.11%安、アルファベットは6.00%安となっている。
アメリカの半導体株も大幅下落 30日以降は重要決算続々
また大手ハイテク企業の業績への不満は、人工知能(AI)普及が需要増につながると期待されている半導体株の見通しも悪くした。NVIDIA(エヌビディア、NVDA)は週次で4.13%安の不振。アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)は7.65%安、ブロードコム(AVGO)は3.64%安だった。S&P500構成銘柄ではないものの、英半導体大手アーム・ホールディングズ(ARM)の株価も8.81%安となっている。半導体株は前週も、米大統領選挙の共和党候補、ドナルド・トランプ前大統領の発言で大きく下落したばかりで、2週連続でショックに見舞われた形だ。
ただ、S&P500をめぐる波乱はこれで終わらない可能性がある。30日にはマイクロソフト(MSFT)の決算発表があるほか、31日にはメタ・プラットフォームズ(META)、8月1日にはアップル(AAPL)とアマゾン・コム(AMZN)の決算発表が控えているためだ。アームの決算発表も31日に行われ、半導体株の見通しを左右する可能性がある。
FOMC後のパウエル議長の会見もS&P500を左右か
さらに30、31日にはFOMCという重要日程もある。金融市場では利下げは見送られるとの見方が濃厚だが、声明文やジェローム・パウエル議長の記者会見で示される金融政策の見通しがS&P500を動かすことが考えられる。
FRBが目指す物価上昇率2%に向けた歩みは緩やかに進んでいる。26日に発表された6月の個人消費支出(PCE)物価指数は、総合指数の伸び率が2.5%で、5月の2.6%から低下。一方、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は5月と同じ2.6%で、ロイターがまとめた市場予想の2.5%を上回った。また25日に発表された4-6月期GDPの実質成長率は市場予想を大きく上回る前期比年率換算2.8%となり、改めて物価上昇圧力の根強さも予感させている。
こうした中、パウエル氏が9月利下げに前向きな見通しを示せば、長期金利(10年物米国債利回り)下落を期待させる株式市場にとっての好材料となる。ただし金利水準低下は大手ハイテク株から中小型株への資金シフトを促す側面もあり、S&P500の上昇の足を引っ張ることも想定されそうだ。
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