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S&P500勢い揺らぐ ハイテク株上昇一服 中小型株は見通しに光

アメリカの株式市場はハイテク株の上昇が一服。中小型株の急上昇は希望の光だが、S&P500の見通しはハイテク企業の決算が左右しそうだ。

S&P500勢い揺らぐ ハイテク株上昇一服 中小型株は見通しに光 出所:Adobe Images

アメリカの株式相場で上昇の勢いが揺らいだ。S&P500種株価指数の12日の終値は1週間前比で0.87%高。しかし大手ハイテク株の上昇には一服感も出ており、米国経済の先行きの不透明さが影響している可能性がある。一方、大手ハイテク株と入れ替わる形で、5月以降に不振だった中小型株は上昇が急加速。新たな相場の牽引役になるとの見方は投資家にとって希望の光だ。とはいえ、S&P500における大手ハイテク株の影響力は大きく、今後の見通しは各社の2024年4-6月期決算発表の内容にかかってくる。

S&P500は週次0.87%高 ハイテク大手は値下がり

S&P500(SPX)の12日の終値は5615.35。電気自動車(EV)大手のテスラ(TSLA)やアップル(AAPL)の上昇が牽引役となった前週に続き、2週連続での値上がりとなった。10日につけた5633.91は2024年に入ってから37回目の最高値更新だ。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

しかし、米国の株式相場を引っ張ってきた大手ハイテク株の上昇には一服感が出た。マグニフィセント・セブンと呼ばれる大手ハイテク株7銘柄のうち、週次で上昇したのは2.71%高の半導体大手NIVIDA(エヌビディア、NVDA)と1.86%高のアップルのみ。SNS大手のメタ・プラットフォームズ(META)は7.60%安と沈んだほか、10日まで11連騰を果たしたテスラも週次では1.31%安だった。

テスラ、アップル、エヌビディア、アップル、マイクロソフト、アルファベット、メタ・プラットフォームズの株価の推移のグラフ

アメリカの長期金利は低下 経済の先行きには不透明感も

大手ハイテク株の上昇にブレーキをかけたのは11日の値動だ。この日発表された6月の消費者物価指数(CPI)は3か月連続で物価上昇減速が確認される内容。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しは強まり、長期金利の低下が株式市場の追い風となるはずだった。しかし11日はテスラが前日比8.44%安、エヌビディアが5.57%安となるなど、マグニフィセント・セブンがそろって値下がり。S&P500は0.88%安となった。

思わぬ下落の背景には米国経済の見通しの不確かさがありそうだ。5日に発表された6月の雇用統計では失業率が2年7か月ぶりの高さまで上昇。FRBのジェローム・パウエル議長は9日の議会証言で、労働市場がこれ以上冷え込んでいくことに警戒感を示した。大手ハイテク各社は経済の先行き不透明感が強まる中で決算発表シーズンを迎える形で、投資家は上値を追いにくくなっているようにもみえる。

FRBの9月利下げの確率は88% 年内3回の見通しも

しかしそれでもFRBの利下げ予想の強まりは株式相場にとっては好材料だ。CMEグループによると、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げについて投資家の動向から算出される確率は日本時間13日午前の段階で約88%。年内に3回の利下げがあることについても55%程度の確率が見積もられている。金利水準が下がれば、株式の投資先としての魅力は相対的に高くなる。

こうした見方は大手ハイテク株以外の値動きからも感じられる。米国の中小型株で構成されるラッセル2000株価指数(RUT)は6月CPIが発表された11日に3.57%高を記録。12日までの週次でも6.00%高と跳ね上がった。ラッセル2000は5月中旬以降、エヌビディアの好決算で勢いづいたS&P500とは対照的に、失速気味の値動きだっただけに、買い戻しの流れが生まれているようだ。中小型株企業は大手ハイテク企業に比べて変動金利での資金調達が多く、金利水準低下の恩恵を受けやすいとされる。

S&P500とラッセル2000の推移のグラフ

とはいえ、S&P500は時価総額が大きい大手ハイテク企業の値動きの影響を受けやすい。このため今後の見通しは、各社の決算発表の内容に左右されそうだ。18日には半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC、TSM)の2024年4-6月期決算発表が予定され、今後の業績や半導体市況に関する予想がエヌビディアなどの半導体株を動かす可能性がある。その後は23日のテスラとアルファベット(GOOGL)の決算発表が控えており、投資家心理を揺さぶることも想定される。


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