S&P500、2か月ぶり最高値更新 さらなる高みか反落か?利下げで景気懸念の再燃を警戒
S&P500種株価指数は17日の取引時間中に、7月の過去最高値を更新する局面が見られた。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利下げが有力視されている。利下げが好感される場合、S&P500は新たな高値圏の攻防へシフトしよう。一方、今回のFOMCでは2つの株安要因にも注目したい。
記事のポイント
・最高値圏での攻防を維持するS&P500種株価指数
・FRBの利下げが好感される場合、S&P500は新たな高値を目指すだろう
・しかし、利下げの判断が景気懸念の再燃につながる可能性もある
・S&P500、注目のチャート水準について
S&P500、注目のチャート水準
上値の水準(レジスタンス)
・5,731:エクステンション61.8%
・5,700:レジスタンスの水準
・5,670:9月17日取引時間中の高値
下値の水準(サポート)
・5,575:21日線(9/17)、38.3%戻し
・5,544:10日線(9/17)、半値戻し
・5,507:61.8%戻し
利下げで米国株が下落する2つのシナリオ
シナリオ1:利下げ幅が25ベーシスポイント(0.25%)のケース
各市場の参加者は米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果に注目している。9月16日のIG米国株レポート「米国株の週間展望 焦点はFOMC 高まるFRBの大幅利下げ期待 マグニフィセントセブンに買い戻し、ナスダック100の見通し」で述べたとおり、今回のFOMCで注視すべきは、利下げの幅にある。
利下げはアメリカ金利の低下要因である。アメリカ金利の低下は米国株、特にグロース株の上昇要因になり得る。この点についても16日の米国株レポートで述べた。
よって今回は、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが決定される場合、それが株安となるケースを考えてみたい。
今回のFOMCでは、2つの株安要因に注目したい。ひとつは、利下げ幅が25ベーシスポイント(0.25%)となる場合である。
CMEのFedWatch ツールでは、50ベーシスポイント(bps、0.5%)の大幅利下げの確率が60%台まで上昇している。OISに基づく予想でも政策金利が5.0%前後まで引き下げられることが完全に織り込まれている。
ゆえにアメリカの株式市場に参戦している投資家も、50bpsの大幅利下げを強く意識する状況にある。大幅利下げの期待が高まるなかで利下げ幅が25bpsとなれば、市場参加者の期待を裏切ることになる。
9月の米連邦公開市場委員会(FOMC) 利下げ確率
出所:CMEのFedWatchツール / 18日 14時時点
シナリオ2:パウエル会見で景気懸念が再燃するケース
もうひとつ警戒すべきことがある。それが景気懸念の再燃である。
米連邦準備制度理事会(FRB)が50bpsの大幅利下げに踏み切れば、アメリカの株式市場は株高で反応する可能性が高い。しかし、最初の利下げが50bpとなる場合、それは景気後退が間近に迫っていること、そしてパウエルFRBがそれを避けるために焦っている印象を市場参加者に与える要因になり得る。
FOMCの後、パウエルFRB議長が定例会見に臨む。パウエル議長は、労働市場の冷え込みについて警戒感を示している。失業率と景気の関係についてサームルールの経験則に従うならば、アメリカ経済は景気後退に向かっている可能性が示唆されている。
米国の失業率とサームルール景気後退指標
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 過去1年間
仮に9月のFOMCで50bpsの利下げが決定される場合、パウエルFRB議長がその理由として、労働市場の急速な冷え込みとそれに伴う景気後退入りの可能性が高まることを挙げる場合、利下げよりも景気懸念の方が市場参加者に意識される可能性がある。
よって、50bpsの大幅利下げが米株高の要因となっても、パウエル会見次第では、一転して米株安へ転じるシナリオを考えておきたい。
S&P500は新たな高値圏が視野に
多くの機関投資家が運用のベンチマークにしているS&P500種株価指数(以下ではS&P500)は、17日の取引時間中に高値5670.81まで上昇し、7月16日の最高値5,669.67(取引時間中の最高値)を突破する局面が見られた(下の日足チャート、赤矢印を参照)。
9月のFOMCイベントが米株高の要因となる場合、S&P500は終値ベースで過去最高値を更新することが予想される(終値ベースでの過去最高値は7月16日の5667.20ポイント、昨日の終値は5634.58ポイント)。
S&P500のトレンドを日足チャートで確認すると、5,400ポイントがサポート水準として鮮明となり、10日線と21日線を完全に上方ブレイクしている。そしてMACDではゴールデンクロス確認された(下の日足チャート、緑矢印を参照)。RSIは横ばい推移へ転じているが、デッドクロスは確認されていない。テクニカルの面でもS&P500の地合いの強さがうかがえる。
本日、S&P500が5,670ポイント以上の攻防へシフトする場合、テクニカルの面で注目したいのが、8月5日から9月6日にかけて付けた重要な高安で算出されるフィボナッチ・エクステンション61.8%の水準5,731レベルのトライである。
S&P500が5,700ポイントを突破し、かつこの水準を維持する場合は、5,731レベルをトライするシグナルと捉えたい。
S&P500のチャート:日足 2024年7月以降
出所:TradingView
S&P500、下落局面での注目ポイント
一方、上で述べた米株安の要因でS&P500が下落する場合は、5,670レベルが強烈なレジスタンスの水準として、今後意識される展開が予想される。
このケースでは、サポート水準として明確になった5,400ポイントが目先の下限となろう(上の日足チャート、黒矢印を参照)。S&P500が5,500ポイント台のテクニカルラインをことごとく下方ブレイクすれば、5,400ポイントを目指す展開を想定しておきたい。
5,500ポイント台で注目すべきテクニカルラインは、10日線と21日線である(上の日足チャートを参照)。
21日線が推移する水準は、9月11日の安値と9月17日の高値の38.2%水準(5,570レベル)にあたる(下の15分足チャート、緑ラインを参照)。5,600ポイント(フィボナッチ・リトレースメント23.6%水準5,608)の下方ブレイクは、21nihicseをトライするシグナルと捉えたい。
一方、10日線は半値戻しの水準(5,538レベル)にあたる(下の15分足チャート、青ラインを参照)。まずは、これら2つの移動平均線(フィボナッチ・リトレースメントの水準)の攻防に注目したい。
S&P500が10日線(半値戻しの水準)を完全に下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準5,507の攻防を意識したい。この水準の攻防では、5,500ポイントの維持を見極めることが重要な焦点となろう。
分足(本レポートでは15分足を採用)のストキャスティクスとRSIで相場の動向を追い、これらが売られ過ぎの水準でゴールデンクロスへ転じる場合、特に上で取り上げたサポート水準をS&P500がトライする局面でゴールデンクロスが確認される場合は、短期の買い戻しを仕掛けるタイミングをはかりたい。
S&P500のチャート:15分足 9月11日以降
出所:TradingView
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