パウエルFRB議長「利下げ急がず」 大幅利下げ観測後退も米国株は強気地合いを維持 ナスダック100の見通し
パウエルFRB議長は30日、時間をかけて利下げ政策を進めていくことを指摘した。パウエル議長の発言を受け11月の大幅利下げ期待が後退。米債市場では利回りが上昇した。しかし、ダウ平均とS&P500は最高値を更新し強気地合いを維持している。ナスダック100も10日線でサポートされた。ナスダック100、目先の見通しと注目のチャート水準は?
記事のポイント
・パウエルFRB議長「利下げ急がず」
・11月FOMCでの連続大幅利下げ期待が後退、米長期金利が上昇
・それでも強気地合いを維持する米国株、ダウとS&P500は最高値を更新
・ナスダック100、目先の見通しと注目のチャート水準
ナスダック100のチャートポイント
上値の水準(レジスタンス)
・20,895:フィボナッチ・エクステンション100%
・20,690:7月10日高値
・20,585:7月15日高値
・20,273:9月26日高値
下値の水準(サポート)
・19,836:10日線(9/30日時点)
・19,739:9月24日安値
・19,600:フィボナッチ・リトレースメント23.6%
パウエルFRB議長「利下げ急がず」
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は9月30日、米南部テネシー州で全米企業エコノミスト協会(NABE)の年次総会に登壇した。今後の利下げについて「時間をかけて引き下げていく」、「利下げを急ぐ必要はない」と強調した。
CMEのFedWatch ツールよれば、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の0.5%利下げ確率が50%台から30%台まで低下している。大幅利下げ期待の後退を受け30日の米債市場では、金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りが反発した。10年債利回り(長期金利)も同じく反発した。
11月の連邦公開市場委員会(FOMC)利下げ確率
出所:CMEのFedWatchツール / 日本時間 1日午前7時時点
それでも最高値を更新する米国株
30日のアメリカ株式市場では、大幅利下げ期待の後退を受け主要な株価指数の上昇が抑制された。しかし、景気のソフトランディング期待に支えられ、9月30日のダウ平均は前週末比17.15(0.04%)高の42,330.15ドルで終え、連日で最高値を更新した。S&P500種株価指数(S&P500)も週末比24.31(0.42%)高の5,762.48ポイントと、最高値を更新した。
アメリカ株価指数の騰落率:9月30日
ブルームバーグのデータで筆者が作成
ダウとS&P500を追撃するナスダック100
最高値を更新し続けるダウ平均とS&P500に比べ、ハイテク株比率の高いナスダック100には出遅れ感がある。しかし9月の下旬以降、米長期金利が反発基調へ転じながらも調整の下落幅は限定的である。昨日は10日線でサポートされた(下のチャート、青ラインを参照)。MACDとRSIにナスダック100が下落相場へ転じるサインは見られない。
ナスダック100のチャート:日足 2024年7月以降
出所:TradingView
また、8月の急落局面で一時40ポイントまで急上昇する局面が見られたVXN指数(ナスダック100のボラティリティ指数)は現在、20ポイント前後で推移している。プットコールレシオ(OI)は1.30付近で大きな変動は見られない。エヌビディア(NVDA)など主力の半導体株とマグニフィセントセブンに買戻しが入る状況も考えるならば、ナスダック100は最高値を更新し続けるダウ平均とS&P500を追撃するトレンドにある。
VXN指数とプットコールレシオの動向:年初来
ブルームバーグのデータで筆者が作成
ナスダック100、短期の見通し
今日以降の米国株は、経済指標が材料視されよう。今日は9月のISM製造業景気指数が発表される。9月29日のIG為替レポート「ドル円の週間展望 焦点は石破ショックの持続性、米ISMと雇用統計次第で140円割れも」で述べたとおり、この指標は今夏にアメリカ経済の先行き懸念を高めた一因となった。市場予想を下回る場合は、調整の売り要因になり得る。
また、今日は8月の米雇用動態調査(JOLTS)求人件数も発表される。ブルームバーグがまとめた市場予想は767.3万件と前月から横ばいの見通しにある。2022年以降、求人件数は減少傾向にある。予想外に求人件数が落ち込む場合は、労働市場の冷え込みに対する懸念を高める要因となろう。さえない雇用指標も米国株の調整売り要因として警戒しておきたい。
JOLTS求人件数:2021年以降
ブルームバーグのデータで筆者が作成
さえない経済指標でナスダック100の調整売りが続く場合は、上で述べた10日線の下方ブレイクを想定しておきたい。
ナスダック100が10日線を完全に下方ブレイクすれば、次の焦点はサポートラインへ転換する可能性がある19,600ポイントの攻防となろう。この水準は、フィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準にあたる(下の4時間足チャートを参照)。テクニカルの面でも19,600ポイントを重要なサポート水準と想定しておきたい。9月24日の安値19,739レベルの下方ブレイクは、19,600をトライするサインと捉えたい。
4時間足のMACDはデッドクロスへ転じている(下のチャート、黒矢印を参照)。このままゼロラインを視野に低下し続け、かつRSIでもデッドクロスが確認される場合は、19,600ポイントのトライを意識したい。
今週以降、ナスダック100が19,600ポイントをも下方ブレイクすれば、短期サポートラインの維持が焦点として浮上しよう(下の4時間チャートを参照)。21日線の下方ブレイクは、短期サポートラインをトライするサインと捉えたい。
一方、強い経済指標が材料視されナスダック100が上値をトライする場合は、3つの高値水準-20,273(9月26日高値)、20,585(7月15日高値)そして20,690(7月10日高値、過去最高値)の攻防が焦点となろう。
今週以降、最後の20,690レベルを突破する場合は、フィボナッチ・エクステンション100%の水準20,895レベルを視野に上昇幅が拡大する可能性が高まろう(下の4時間足チャート、赤ラインを参照)。
ナスダック100のチャート:4時間足 7月以降
出所:TradingView
再掲 ナスダック100のチャートポイント
上値の水準(レジスタンス)
・20,895:フィボナッチ・エクステンション100%
・20,690:7月10日高値
・20,585:7月15日高値
・20,273:9月26日高値
下値の水準(サポート)
・19,836:10日線(9/30日時点)
・19,739:9月24日安値
・19,600:フィボナッチ・リトレースメント23.6%
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