最高値更新が視野に入るS&P500、さらなる株高はエヌビディアの決算次第、目先の見通しと注目のチャート水準
S&P500種株価指数は、7月16日の最高値5,667ポイントの更新を視野に強気相場を維持している。さらなる上値トライの鍵はエヌビディアの決算(2024年5〜7月期)が握る。同社の決算が株高の要因となる場合、次に注目したい上値の水準は?一方、株安の要因となる場合の下値の焦点は?
記事のポイント
・S&P500は7月の最高値更新を視野に強気相場を維持している
・さらなる米株高は、エヌビディアの決算次第となろう
・S&P500のPERは今夏の株安が発生した水準まで上昇している
・エヌビディアの決算が期待を下回る場合は、S&P500の下落を警戒したい
S&P500の上値と下値の水準
上値の水準(レジスタンス)
・5,835:エクステンション100%
・5,800:レジスタンス
・5,700:レジスタンス
・5,667:7月の最高値
下値の水準(サポート)
・5,582:10日線(8/27)
・5,586:リトレースメント23.6%
・5,543:リトレースメント23.6%
・5,495:50日線(8/27)
S&P500、注目の上値水準
多くの機関投資家が運用のベンチマークにするS&P500種株価指数(SPX、以下ではS&P500)は現在、7月16日の最高値5,667ポイント(終値ベース)を視野に強気相場を維持している。
日足のMACDとRSIに反落のサイン(デッドクロス)は確認されていない。一方、10日線と50日線ではゴールデンクロスが確認された。相場の反落局面では、その10日線を維持する状況にある。テクニカルの面でも強気相場にあることが分かる。
S&P500が7月の最高値をブレイクアウトすれば5,700ポイントそして5,800ポイントと、100ポイントのレンジで新たな上値の水準を探ることになろう。
S&P500が5,800ポイント台へ上昇する場合は、フィボナッチ・エクステンション100%の水準5,835ポイントのトライが焦点に浮上しよう。
S&P500:日足 今年4月以降
出所:TradingView
さらなる株高の鍵はエヌビディアの決算に
米半導体大手のエヌビディア(NVDA)が28日の引け後に2024年5〜7月期決算(第2四半期)の決算を発表する。今週26日の米国株レポート「米利下げ期待でナスダック100は節目の水準が視野に、焦点はエヌビディアの決算」で述べたとおり、焦点は第3四半期のガイダンス(業績見通し)となろう。エヌビディアが投資家の期待を上回る事業の成長性(ガイダンス)を示すことができれば、同社の株価は時間外で上昇することが予想される。エヌビディアの上昇は、S&P500(SPX)の最高値更新、そしてさらなる株高のきっかけとなろう。
8月5日に底打ちして以降、S&P500の上昇率は10%に達している。株高をけん引しているのが、エヌビディアなどの主力半導体株が属する情報技術セクターである。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策は、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)を境に、緩和サイクルへ転じるだろう。この点が意識され、アメリカの長期金利は3.8%の水準を割り込む局面が見られた。長期金利が低下基調にあるなかでエヌビディアの株高が重なれば、他の主力半導体株の上昇を促すだろう。半導体セクターの買いは情報技術セクターとS&P500のさらなる上昇を促すだろう。
S&P500セクター別パフォーマンス:8月6日~27日
出所:TradingView
PERは株安が発生した時の水準へ上昇
S&P500(SPX)のPER(株価収益率)は現在26倍と、今夏の株安が発生した7月中旬以来の水準へ到達している。株価は最高値圏で神経戦となっている。この状況でエヌビディアの2Q決算(ガイダンス)が投資家の期待を下回る場合は、「半導体株の売り→情報技術セクターの下落→S&P500の調整相場(反落)」を警戒したい。
S&P500とPER:日足 24年6月以降
出所:TradingView
反落の局面では50日線の維持が焦点に
エヌビディアの決算がS&P500(SPX)の下落要因となる場合は、50日線を目先の下限と想定したい(上の日足チャート、青ラインを参照)。この移動平均線は5,495レベルで推移している(8/27日時点)。50日線のトライは、5,500ポイントの維持を見極める攻防となろう。
S&P500が50日線をトライするシグナルとして、2つのフィボナッチ・リトレースメント23.6%水準の攻防に注目したい(下の1時間足チャートを参照)。ひとつは、8月13日の安値を起点とした5,586レベルである。もうひとつは、8月7日の安値を起点とした5,543レベルである。
エヌビディアの決算以外で50日線のトライそして下方ブレイクする材料として注目したいのが、経済指標である。7月の個人消費支出価格(PCEデフレーター、30日)でインフレの粘着性が確認される一方、来週の8月ISM製造業・非製造業の景況感指数(9月3日と5日)、そして同月の雇用統計(9月6日)がいずれも景気が今後減速する兆候を示す場合は、景気懸念が再び米国株の重しとなろう。さえないエヌビディアの決算(ガイダンス)と景気懸念の再燃が重なれば、S&P500の調整相場は今夏の株安局面のように長くそして深くなる可能性が高まる。50日線を下方ブレイクする場合は、S&P500の下落幅が拡大するシグナルとして警戒したい。
なお、1時間足のストキャスティクスとRSIは現在横ばいで推移している。エヌビディアの決算後に新たな動きが発生するだろう。上述した上下のチャート水準と照らし合わせながら、これらオシレーター指標が買われ過ぎの水準でデッドクロスへ転じる場合は反落、逆に売られ過ぎの水準でゴールデンクロスが確認される場合は、反発を想定したい。
S&P500:1時間足 8月以降
出所:TradingView
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