円安反転157円台 FRB利下げ見通し浸透 6月物価上昇減速で
ドル円相場で円高が急進した。6月CPIが予想を下回る弱さだったためで、FRBの利下げ見通しの浸透が円安の流れを変える可能性がある。
ドル円相場での円安が反転した。11日のニューヨーク市場での取引では一時、1ドル=157円台をつけ、約3週間ぶりの円高水準を記録。1日で4円超の円高が進む値動きとなった。円高の要因はこの日発表されたアメリカの6月の消費者物価指数(CPI)。上昇率が予想を下回り、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月に利下げに踏み切るとの見通しが浸透した。米国の長期金利(10年物米国債利回り)は低下し、日米の金利差は約1年2か月ぶりの小ささとなっている。FRBのジェローム・パウエル議長も利下げに向けた地ならしを始めており、2年以上にわたって続いてきた円安の流れにブレーキがかかる可能性もありそうだ。
ドル円相場は一時、157.41円を記録 3週間ぶり円高水準
ドル円相場(USD/JPY)は11日のニューヨーク市場での取引で一時、1ドル=157.41円をつけた。東京市場の時間帯には161.75円で取引される場面もあったが、1日のうちで4.34円の円高ドル安が進んだことになる。157円台をつけるのは6月20日以来だ。その後は円が改めて売られ、東京市場では12日午前11時すぎの段階で159円台前半まで円安方向に振れている。
アメリカの6月CPIの上昇率は市場予想を下回る小ささ
円高急進のきっかけとなったのは米国の6月CPIの結果だ。総合指数の伸び率は前年同月比3.0%となり、5月の3.3%から低下。2023年6月以来1年ぶりの低さとなった。また食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は3.3%で、こちらも5月(3.4%)から下がり、2021年4月(3.0%)以来の低さとなった。総合指数とコア指数ともに事前予想を下回っている。さらにコア指数から家賃の影響を除いた指数の伸び率は1.8%で、2か月連続で2%を割り込んだ。
FRBの9月利下げ見通しが浸透 年内利下げは2-3回か
こうした物価上昇の減速はFRBの利下げ見通しを強める材料といえる。CMEグループのデータによると、FRBが9月の連邦公開市場委員会(FOMC)までに利下げすることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間の12日午前11時段階で約83%。前日の70%程度から大きく上昇した。また、LSEGのデータでは、金融市場では12月FOMC後の政策金利は4.72%程度と見積もられており、現状の5.25-5.50%から0.25%幅の利下げが2-3回行われることが想定されているようだ。
こうした利下げ期待の浸透は米国の長期金利の動きにも表れている。LSEGによると、ニューヨーク債券市場での11日の長期金利の終値は4.193%で、3月13日(4.192%)以来の低さ。11日終値時点での日米の長期金利差は3.107%ポイントで、2023年5月15日(3.098%ポイント)以来の小ささとなっている。
米国のCPIは4月と5月のデータでも物価上昇減速が確認されていたが、ドル円相場での円安の流れは変わらなかった。それでも今回の6月CPIでドル円相場が円高に振れた背景にはFRBが利下げに向けた情報発信を始めていることがありそうだ。パウエル議長は9日の上院銀行・住宅・都市問題委員会での議会証言で、労働市場の悪化に警戒を示し、利下げが必要になる可能性を示唆していた。
神田真人財務官は為替介入の有無についてコメントせず
また金融市場では12日の円高急進について日本政府の為替介入があったとの観測も出ている。7月末での退任が決まっている財務省の神田真人財務官は12日朝、記者団に対して「為替介入の有無についてはコメントしない」と述べた。
ドル円相場での円安は2022年3月にFRBが利上げを開始したことをきっかけに始まった。その後、2023年4月に日本銀行の植田和男総裁が就任すると、日銀の金融緩和継続見通しから円は他の主要通貨に比べて値下がりの度合いが大きくなっていた。今後、FRBの利下げが始まれば、こうした構図は大きく変化する可能性がある。7月に入ってから続いた1ドル=161円台の円安は37年半ぶりという異例の水準だっただけに、米国の6月CPIを機に相場の今後の見通しが変わっていくことも考えられそうだ。
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