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ドル円161円台 為替介入なく突入、37年半ぶり 米国物価で波乱も

ドル円相場は1986年以来の161円台。財務官の交代人事も発表された。5月PCE物価が上振れれば、さらなる円安の見通しも。

ドル円161円台 為替介入なく突入、37年半ぶり 米国物価で波乱も 出所:Adobe Images

28日の東京市場のドル円相場が1ドル=161円台に突入した。1986年12月24日以来、37年半ぶりの円安水準だ。FX市場では日本政府による為替介入が警戒されてきたが、直近の160円台突入から2日後で次の節目に踏み入れた。さらにその後、日本政府で為替介入の指揮を執る財務省財務官の交代人事が発表され、ドル円相場の値動きは不安定になっている。日本時間28日夜に発表される、アメリカの5月個人消費支出(PCE)物価指数の結果がサプライズになれば、さらに波乱が起きるとの見通しも成り立ちそうだ。

ドル円相場は37年半ぶりに161円台に突入

28日のドル円相場(USD/JPY)は朝方は1ドル=160.70円程度で推移。午前9時50分ごろに円売りの勢いが急激に増し、一気に161.13円まで円安ドル高が進んだ。1986年12月24日の高値(161.37円)以来の水準だ。

ドル円相場の推移と主な出来事のグラフ

ドル円相場は1月初めは140円台で取引されたが、4月29日には160円台に突入。日本政府による為替介入とみられる値動きを経て、5月初めに151円台まで円高が進んだ後、改めて円安の流れが強まっていた。6月26日には約2か月ぶりに160円台に突入し、その2日後に161円台に踏み入れた形だ。

神田真人財務官の交代人事も発表 為替介入を陣頭指揮

またドル円相場では161円台突入後の午前10時40分すぎには、金融市場に財務省の神田真人財務官の交代人事が伝わった。財務官は為替介入の陣頭指揮を担い、神田氏はこれまで円安急進を牽制する発言でドル円相場に影響を与えてきた。ドル円相場は報道の10分前には161.27円まで円安に振れており、発表後は160円台後半まで円高が進む場面もあった。

ただし、28日のFX市場では目立った円安材料が出たわけではない。27日のニューヨーク債券市場では長期金利の終値が4.288%まで下がり、2日ぶりに4.2%台に復帰。さらに日本の総務省が28日午前8時30分に発表した東京都区部の6月消費者物価指数(CPI)の中旬速報値は、生鮮食品とエネルギーを除く総合指数(コアコア指数)の伸び率が前年同月比1.8%となり、5月の1.7%を上回った。LSEGによると、日銀が7月30、31日の金融政策決定会合で0.1%幅の利上げを行う確率は、日本時間28日午前11時30分の段階で約66%。1週間前にあたる21日午後の約39%から、利上げ見通しが大きく強まっている。

アメリカの5月PCE物価指数が上振れれば、円安要因に

2024年に入ってからの円安進行は、当初は年内6回が見込まれていた米国の連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が大きく後退したことが要因のひとつ。このため米国の商務省が日本時間の28日午後9時30分に発表する、5月PCE物価指数で物価上昇の根強さが感じられた場合は、利下げ観測がさらに後退し、円安要因になる可能性がある。金融市場の予想では、物価上昇率は低下する見通しだが、上振れのサプライズになればドル円相場に波乱が起こることも想定される。

一方、日本政府による為替介入への警戒は引き続き、円安進行にブレーキをかける要因といえる。神田氏の退任と三村淳・次期財務官の就任は7月31日付で、金融市場の注目は引き続き日本政府の動向にも集まる見通しだ。


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