円安進行、150円の壁突破 アメリカ景気に強さ 利下げ予想緩む
ドル円相場の円安は米国の9月小売売上高などを受けて150円の壁を突破。一方、1か月で10円の円安進行に日本政府も神経を尖らせている。
ドル円相場で円安が進行した。17日のニューヨーク市場の終値は1ドル=150円台となり、約2か月半ぶりの円安水準。アメリカで発表された9月小売売上高などの結果が米国経済の底堅さを示し、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げペースが緩まるとの見通しが強まったためだ。ただ、1か月で10円超の円安に日本政府は神経を尖らせており、為替介入への警戒は一本調子での円安に引き続きブレーキをかけている。11月上旬の連邦公開市場委員会(FOMC)までには日米で衆議院選挙や大統領選挙を含めた重要日程が目白押しとなっていることもあり、今後も神経質な値動きが続きそうだ。
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ドル円相場は150円を突破 1か月で10円の円安進行
ドル円相場(USD/JPY)は17日のニューヨーク市場での終値で1ドル=150.20円となり、前日比0.58円の円安水準だった。LSEGによると、終値で150円台をつけるのは7月30日(152.76円)以来。ドル円相場は9月16日に139.56円まで円高に振れたが、その後約1か月で10円以上の円安が進んだ形だ。
9月小売売上高は堅調な結果 失業保険申請件数は予想割れ
17日の円安を後押ししたのは米国経済の底堅さだ。米商務省が発表した9月の小売売上高の伸び率は前月比0.4%で、ロイターがまとめた市場予想の0.3%を上回る結果。自動車・部品を除いたベースでは0.5%となり、やはり市場予想(0.1%)を超えた。衣料品店や食料品店が大きな伸びを示しており、米国の個人消費の強さを感じさせている。
一方、米労働省が発表した週次の失業保険関連統計では、6-12日週の新規失業保険申請件数が24.1万件となり、市場予想の26.0万件を下回った。前週と同様にハリケーンによる被害などの影響で件数の水準は高いが、懸念されていたほどの悪影響は確認されなかったことになる。
FRBの年内0.5%幅利下げの確率は74%まで縮小
これらの米国経済の強さを示す経済指標は、FRBの利下げペースが遅くなるとの見通しにつながった。CMEグループのデータによると、11月と12月のFOMCで合計0.5%幅の利下げが行われることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間18日正午段階で約74%。17日朝の85%程度から後退している。引き続き、0.25%ずつの利下げが有力視されているとはいえ、その確度は弱くなっている状態だ。
こうした中、日米の金利差は高止まりの状態が続く。LSEGのデータでは日米の長期金利(10年物国債利回り)の差は17日終値時点で3.131%ポイント。9月雇用統計が労働市場の強さを印象付けた4日以降はほぼ3.1%ポイント台で推移している。米国の長期金利はFRBが4年半ぶりの利下げを決めた9月18日は3.687%だったが、17日終値では4.096%まで上がっている。
今後のドル円相場の見通しは為替介入への警戒と重要イベントが左右
ただしドル円相場では円安加速にブレーキをかける動きも出ている日本の総務省が18日午前8時30分に発表した9月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指数で2.1%となり、8月の2.0%から物価上昇が加速。日本銀行による追加利上げの理由になりうる変化となった。一方、9月CPIでは総合指数の伸び率と、生鮮食品のみを除いたコア指数の伸び率が前月から大きく下がり、それぞれ2.5%と2.4%になったが、政府による電気・ガス料金への補助の再開で押し下げられたとみられる。
また1か月で10円の円安進行は企業活動の見通しを悪くする波乱要因で、日本政府の為替介入の可能性を高めている。財務省の三村淳財務官は18日朝、記者団に対し、ドル円相場の値動きについて「足元ではやや一方向、あるいは急速な動きもみられる」と指摘。「投機的な動きを含めて為替市場動向を高い緊張感を持って注視していきたい」と述べた。これらの動きを受けて、18日のドル円相場は午前8時30分の1ドル=150.20円程度から、午前10時20分ごろには149.90円程度まで円高方向に動いた。
今後の金融市場では、ドル円相場の見通しを大きく左右する重要イベントが相次ぐ。FRBの11月6、7日のFOMCまでの間には、米国の2024年7-9月期GDP速報値、9月個人消費支出(PCE)物価指数、10月雇用統計の発表に加え、日本銀行の金融政策決定会合や、日本の衆議院選挙、米国大統領選といった重要イベントも控えている。ドル円相場の動きが激しくなれば、日本政府の為替介入を呼び込むとの予想も成り立ち、当面は神経質な値動きになる可能性がありそうだ。
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