円安に150円の壁 日銀も円安警戒モード? 米国の利下げ見通し続く
ドル円相場の円安は日本政府や日銀の円安急進への警戒を背景に150円台には至っていない。FRBの利下げ見通しに変化が出ていないことも影響していそうだ。
ドル円相場で進んできた円安が1ドル=150円の壁を越えられないでいる。ドル円相場は4日以降、149円台をつける場面も目立っているが、さらなる円安加速はみられず。日本政府に加え、日本銀行も円安急進への警戒を強めている様子で、ドル円相場は円安方向に動きづらくなっているようだ。一方、アメリカの物価や労働市場の動向では不透明感が増しているが、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを進めるとの見通しが大きく変化しているわけではない。ドル円相場では今後も、円安にかかるブレーキの強さが意識されることが想定されそうだ。
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ドル円相場は11日は148円台 雇用統計後の円安は勢いづかず
ドル円相場(USD/JPY)は4日発表の9月雇用統計で労働市場の強さが確認されたことで、1ドル=149.00円を記録。8月16日以来、7週ぶりの円安水準となった。その後も10日に149.54円をつけるなどの動きもあったが、150円台への見通しが強まるような円安には至っていない。11日の東京市場では148円台後半で推移している。
日銀も円安急進を警戒? 石破首相らも利上げ牽制を修正
円安にブレーキがかかっている背景には、日本政府や日銀が円安急進に警戒感を示しているとの観測だ。日本政府は4月から7月にかけて為替介入を繰り返したとみられ、ドル円相場での円安をなんとか食い止めた実績がある。
日銀の氷見野良三副総裁は10日、ブルームバーグ東京支局のイベントで英語で講演し、「日本の実質金利はきわめて低い」とする日銀の分析に言及。実質金利は推計方法によって違いがあるとしながらも、「すべてがマイナスであり、マイナス1%以下がほとんどだ」と述べた。日銀は3月に大規模金融緩和を終え、7月31日に政策金利を0.25%まで引き上げたが、物価上昇率の高さを踏まえれば依然として低金利状態といえ、追加利上げの余地があるとの立場を感じさせた。
また、財務省の三村淳財務官も7日に「為替市場の動向は緊張感をもって注視する」と発言。石破茂首相や林芳正官房長官も金融政策は日銀に委ねられているとの立場を繰り返し発信している。石破氏は2日に「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と述べ、円安進行のきっかけをつくったが、軌道修正を図っている形だ。
アメリカの9月CPIは物価上昇加速 家賃は減速
一方、米国の経済情勢をめぐっては、物価上昇鎮静化の見通しが弱まった。10日に発表された9月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は総合指数で前年同月比2.4%。8月の2.5%からは下がったものの、ロイターがまとめた市場予想の2.3%は超えている。また食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は3.3%となり、8月の3.2%を上回った。コア指数の伸び率が前月よりも大きくなるのは、2023年3月以来だ。物価上昇率が下がりきらなければ、FRBは利下げに向かって進みにくくなる。
労働市場はハリケーンの影響などで悪化 利下げ見通し続く
とはいえ、9月CPIでは物価上昇率の低下を阻んできた家賃の上昇率が前年同月比4.9%まで下がり、2022年2月(4.7%)以来の低さとなる好材料もあった。また10日発表の週次の新規失業保険申請件数は、9月29日-10月5日週で25.8万件となり、市場予想の23万件を大きく上回った。フロリダ州などを襲ったハリケーン「ヘリーン」による被害やボーイングなどでのストライキの影響という一時的な要因が考えられるにせよ、労働市場の弱さを示す数字はFRBに利下げを促す材料といえそうだ。
CMEグループのデータによると、金融市場では日本時間11日正午段階で、11月と12月の連邦公開市場委員会(FOMC)ではそれぞれ0.25%幅の利下げが行われると見込まれている。前日から大きな変化はなく、利下げ見通しは維持されている形だ。LSEGによると、米国の長期金利(10年国債利回り)は10日には一時、4.12%まで上昇し、日米金利差を拡大させる円安要因となっているが、今後は長期金利が低下に転じる展開も想定される。
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