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ドル円に再波乱も 4日雇用統計 石破発言後の円安見通しの行方は?

ドル円相場は3日に147円台まで円安が進行。石破首相の利上げに慎重な発言が材料視されたが、4日の9月雇用統計で再波乱が起きる可能性もある。

ドル円に再波乱も 4日雇用統計 石破発言後の円安見通しの行方は? 出所:Adobe Images

ドル円相場が円安方向に急進した。3日の東京市場では一時、1ドル=147円台を付ける場面もあり、前日の143円台から4円近い円安が進行した形だ。きっかけは2日夜に石破茂首相が日本銀行の追加利上げに慎重な見方を示したこと。9月27日の自民党総裁選挙後に後退した円安見通しが再燃したといえる。ただ、日銀にとって円安進行は物価上昇を招く懸念材料のひとつ。円安進行が続けば、いずれは日銀が利上げを迫られて円高材料になる可能性もぬぐえない。また、アメリカで4日に発表される9月雇用統計は前回や前々回の雇用統計と同様に円高材料とみなされる可能性もあり、ドル円相場に再び波乱が起きることも想定される。

【関連記事】円安急進149円台 米国利下げ見通し弱まる 為替介入への警戒浮上(2024年10月7日)

ドル円相場は一時、147.24円 石破氏が追加利上げに慎重発言

ドル円相場(USD/JPY)は3日午前10時ごろに一時、1ドル=147.24円をつけた。LSEGによると、2日午前には143.42円をつける場面もあったことを考えれば、1日で3.82円もの円安が進行したといえる。

ドル円相場の日足チャートと主な出来事の推移のグラフ

円安の引き金を引いたのは石破氏の発言。石破氏は2日夜、日銀の植田和男総裁との会談後、記者団に対して「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と述べた。この発言が伝わると、ドル円相場では円安見通しが拡大。それまで1ドル=144円前半だったドル円相場が一気に円安方向へと動き出した。

ドル円相場では9月27日の自民党総裁選の結果判明直前、日銀の追加利上げを牽制した高市早苗氏が勝利するとの期待から、1ドル=146.49円まで円安が進行。しかし実際には石破氏が勝利したことで、一気に142円台まで円高に動いた。今回は首相になった石破氏が日銀の利上げを牽制した形となり、ドル円相場での円安の勢いは27日の円安進行時よりもさらに強いものとなった。

円安進行は日銀の追加利上げを後押しする可能性も

ただ、円安進行は日銀にとって輸入物価の上昇を通じて物価の今後の見通しを悪くする懸念材料だ。植田氏は20日の金融政策決定会合後の記者会見で追加利上げの必要性を判断するための「時間的な余裕がある」と述べて追加利上げから距離をとったが、その根拠は、9月16日には1ドル=139.56円まで円高が進むなどして、物価上振れリスクが減少したことにあった。改めてドル円相場で円安が進めば、物価上昇圧力が日銀の利上げを後押しするとの見通しも成り立ち、円高材料として意識されることも想定される。

また、日銀が1日に発表した9月短観(全国企業短期経済観測調査)では日本企業の事業計画の前提となる想定為替レートは、10月から始まる2024年度下半期で1ドル=144.31円とされた。実際のドル円相場がこの水準から離れれば離れるほど、日本企業の業績に生じるブレが大きくなり、日本経済の波乱要因として働きそうだ。

ドル円相場の見通しにはアメリカの9月雇用統計も影響か

こうした中、ドル円相場の今後の見通しに関しては、米国で4日午前8時30分(日本時間4日午後9時30分)に発表される9月雇用統計が円高材料になる可能性がある。ロイターがまとめた市場予想は失業率などの注目指標が横ばいになる見通し。しかし結果が予想よりも悪くなれば、米国経済の軟着陸(ソフトランディング)が難しくなり、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げペースが速くなることも考えられる。今後、日米の金利差の縮小が加速していけば、ドル円相場での円高見通しは強まる。

日米の長期金利差とドル円相場の推移のグラフ

米国の雇用統計をめぐっては、8月分のデータが発表された9月6日はニューヨーク市場の終値ベースで1.17円の円高が進行。さらに7月分のデータが発表された8月2日は失業率悪化が材料視され、キャリートレードの巻き戻しを引き起こした。1日には1ドル=150.89円を付ける場面もあったドル円相場は5日には141.66円まで円高に振れた。自民党総裁選や石破氏の発言で大きく揺れたドル円相場は、9月雇用統計で改めて激しい値動きを示すことも想定される。


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