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円安圧力高まる 米国物価懸念 日銀のサプライズ利上げの見通しは?

ドル円相場は米国の物価上昇の根強さを受けて、152円台後半まで円安が進行。ただ、円安は日本経済の波乱要因で、日銀を利上げに向かわせる材料でもある。

円安圧力高まる 米国物価懸念 日銀のサプライズ利上げの見通しは? 出所:ブルームバーグ

ドル円相場で円安圧力が高まっている。12日のニューヨーク市場の終値は1ドル=152円台後半で、2週間半ぶりの円安水準。アメリカの11月の卸売物価指数(PPI)が市場予想を超える強さだったことが要因となった。米連邦準備制度理事会(FRB)の17、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げはほぼ確実視されているが、2025年の利下げペースは鈍化しそうだ。一方、金融市場では日本銀行の18、19日の金融政策決定会合での利上げ見通しが後退しており、やはり円安材料になっている。ただ、円安進行は日本経済の波乱要因ともなりえるだけに、日銀の「サプライズ利上げ」がドル円相場の今後の見通しを揺らす可能性もある。

ドル円相場は152円台後半 4日連続で円安進行

ドル円相場(USD/JPY)の12日のニューヨーク市場の終値は、前日比0.18円の円安となる1ドル=152.63円。4営業日連続の円安進行で、11月26日(153.08円)以来の水準となった。ドル円相場は韓国で尹錫悦大統領が「非常戒厳」を宣言した12月3日に148.65円をつける場面もあったが、1週間あまりで約4円の円安が進んだ。

ドル円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

アメリカの11月PPIは予想を超える伸び 物価上昇鎮静化の見通しは悪化

12日の円安の背景になったのは米労働省が発表した11月PPIだ。総合指数の伸び率は前年同月比3.0%で、ブルームバーグがまとめた市場予想の2.6%を上回った。伸び率は2023年2月の4.7%以来の大きさだ。11日に発表された11月の消費者物価指数(CPI)も上昇率が前月から伸びており、米国の物価上昇鎮静化の見通しを暗くしている。

アメリカの卸売物価指数(PPI)の伸び率の推移

FRBの12月利下げ見通しは崩れず 2025年の利下げペースは緩やかか

こうした中でも、金融市場ではFRBが18日までのFOMCで0.25%の利下げに踏み切るとの見通しは崩れていない。CMEグループのデータによると、投資家の動向から算出される利下げ確率は、日本時間13日午前11時段階で96%となっている。

ただ、米国の金融市場では長期金利(10年物米国債利回り)が上昇しており、金利の先高感もみられる。ブルームバーグによると、12日のニューヨーク債券市場の長期金利(10年物米国債利回り)の終値は4.329%となり、11月22日(4.401%)以来の高さとなった。FRBが次回FOMCで利下げに踏み切れば、3会合連続で政策金利を合計1%ポイント下げることになるが、2025年の利下げペースは緩やかになる見通しだ。

米国の長期金利上昇を受けて日米の金利差は拡大している。ブルームバーグによると、12日終値時点での日米の長期金利差は3.286%ポイント。やはり11月22日(3.321%ポイント)以来の大きさで、円安の要因となっている。

日米の長期金利差とドル円レートの推移のグラフ

日銀の12月利上げ見通しは後退 円安進行がサプライズを呼ぶ可能性も

また、このところの円安には、金融市場で日銀が19日までの決定会合で利上げに踏み切る見通しが後退していることも影響している。ブルームバーグによると、19日の利上げ確率は16%程度で、6日午前の61%程度から大きく低下した。ロイターは12日、関係筋の話として、「海外経済や賃上げ動向をもう少し見極めた上で利上げしても問題ないとの声がある」と報じた。

とはいえ、円安進行は輸入物価を通じた国内物価上昇の要因で、日銀の利上げ見通しを強める材料でもある。日銀が13日に発表した短観(全国企業短期経済観測調査)では、企業が2024年度下期に想定するドル円レートは1ドル=146.15円とされており、円安が現状以上に大きく進めば企業活動にとって波乱要因となる。

日銀が19日までの決定会合に際して、利上げに慎重とみなされれば、ドル円相場が一気に円安に動くおそれもぬぐえず、日銀が市場の想定を裏切る形での「サプライズ利上げ」に踏み切る可能性もある。ドル円相場の今後の見通しは日銀の判断が大きく左右することになりそうだ。


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