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日銀会合、焦点は利上げペース 植田総裁の会見で円安再燃も ドル円急変動を警戒

日銀会合の焦点は今後の利上げペースにある。市場参加者の耳目は、植田総裁の会見に集中するだろう。会見内容が“ハト派”的と受け止められる場合は、円安の再燃とドル円の急上昇を警戒したい。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

記事の概要

今日の会合で日銀は追加の利上げを決定する公算が大きい。外為市場も日銀の利上げを織り込んでいる。よって、焦点は今後の利上げペースとなろう。現時点で短期金融市場は、年内に日銀が0.75%までの利上げを織り込む状況にある。市場参加者のなかには1%までの利上げを予想する向きもある。会合後の定例会見で植田総裁の会見に注目したい。追加の利上げに慎重な姿勢を示す場合は円安の再燃で、ドル円は急上昇する可能性がある。


目次


日銀追加利上げへ、焦点は今後の利上げペースに

今週20日に行われたトランプ米大統領の就任演説後、各市場では特に大きな波乱は起きなかった。今年の春闘で持続的な賃上げが予想されていることも考えるならば、今日の決定会合で日銀は0.25%の追加利上げを行う公算が大きい。

日銀の追加利上げについては、外為市場もすでに織り込んでいる。よって焦点は、今後の利上げペースにある。市場参加者は、経済・物価情勢の展望(展望レポート)と植田和男総裁の定例会見から次の利上げの時期、そして利上げのペースを探ろうとするだろう。

本レポート掲載時点で、短期金融市場では日銀が年内に少なくとも0.75%までの利上げを行うことを織り込んでいる。市場参加者の中には、1%までの利上げを予想する向きもある。植田総裁の会見で利上げペースに対する思惑が上方に振れる場合は円高、下方に振れる場合は円安の再燃を想定したい。

日銀 政策金利の予想推移

日銀 政策金利の予想推移

ブルームバーグのデータで作成 / OISに基づく予想 / 1月24日 午前9時時点

植田総裁の会見次第で円安再燃も

ブルームバーグは23日、食料品価格の上昇や円安進行などを理由に最新の展望リポートでは物価見通しの上方修正が見込まれること、そして26年度にかけて2%程度で推移する予想が維持される公算が大きいと報じた。

なお、本日発表された昨年12月の全国消費者物価指数(CPI)は前年同期比で3.3%と、市場予想の3.4%を上回った。昨年11月の2.9%から伸びが加速した。コア指数も同比3.0%と、11月の2.7%から上昇した。コアコア指数は同比2.4%で横ばい。市場予想とも一致した。

2022年前半以降、総合指数とコア指数は物価目標の2%を上回る状況が続いている。コアコア指数は同年の後半以降、2%を上回る状況にある。

国内 消費者物価指数(CPI):月次 2022年1月~2024年12月

国内 消費者物価指数(CPI):月次 2022年1月~2024年12月

ブルームバーグのデータで筆者が作成

日本のインフレ率は恒常的に物価目標の2%を上回る状況が続いている。人手不足で賃金の上昇圧力が強まりやすい状況も考えるならば、物価見通しの上方修正に沿って、植田総裁は会合後の定例会見で賃金と物価の好循環の確度が高まっていること、それが個人消費に好影響を及ぼすことについて自信を示すか?が注目される。今後の追加利上げについて積極的な言動がある(市場がそう受け取る言動がある)場合は、円高を想定しておきたい。

一方、追加の利上げの判断するために追加のデータ収集と精査が必要とし植田総裁が慎重姿勢を強調する場合は、円安の再燃を警戒したい。米債市場では、長期ゾーン利回りに再び上昇の圧力が高まっている。この状況で円安再燃となれば、ドル円(USD/JPY)は急上昇する可能性があろう。


ドル円、今日の見通しと注目のテクニカルライン

植田総裁の会見が“ハト派”ならば急上昇を警戒
今日のドル円(USD/JPY)は、植田総裁の会見で上下に大きく振れる展開が予想される。昨年12月の日銀イベントでは、3円以上円安へ振れた。今回の会見で植田総裁の姿勢が “ハト派”と市場で受け止められる場合は、19日のIG為替レポートで述べた予想レンジの上限159.00を視野に、ドル円の上昇幅が急拡大する可能性がある。159.00を目指すサインとして、以下にまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。

・まずは10日線の攻防に注目したい。この移動平均線は22日と23日に相場の上昇を止めた。植田総裁の会見が“ハト派”的と受け止められる場合は、この移動平均線を難なく上方ブレイクし、157円台の攻防が予想される

・フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準157.91レベルは、158円台への上昇を見極める重要ラインである。このテクニカルラインを一気に上方ブレイクすれば、今月14日の高値158.20のトライが焦点に浮上しよう。158.20をも難なく上方ブレイクする場合は、159.00を視野に上昇幅の拡大を想定したい

・一方、植田総裁の会見が“タカ派”的と市場で受け止められる場合は、ドル円が上昇しても10日線や157.00レベルで上値が抑制される展開が予想される

レジスタンスライン
・159.00:予想レンジの上限
・158.20:1月14日の高値(1時間足)
・157.91:フィボナッチ・リトレースメント76.4%(1時間足)
・157.30:フィボナッチ・リトレースメント61.8%(1時間足)
・157.00:レジスタンスライン(1時間足)
・156.28:10日線(日足)

下値の焦点は短期サポートラインの維持
日足のMACD はデッドクロスへ転じゼロラインが視野に入る。モメンタムはゼロラインを下回る状況が続き強気地合いがじわり後退していることを暗示している。植田総裁が追加の利上げについて積極的なサインを発信すれば、円高優勢の展開(ドル円の下落)が予想される。
19日のIG為替レポートでは今週の予想レンジの下限を152.50とした。しかし、今週に入り米金利が再び反発していることを考えるならば、75日線が推移している154.00を新たなレンジの下限と想定したい。このラインをトライするサインとして、以下でまとめたサポートラインの攻防に注目したい。

・最初の焦点は、現在サポートラインとして意識されている50日線の維持となろう。この移動平均線は今日現在、154.90台で推移している。今月17日以降、サポートラインとして意識される局面が見られる155.00とともにサポートゾーンを形成すれば、地合いの強さを市場参加者に印象付けよう

・ドル円が154円台へ反落する場合は、75日線のトライを意識したい。昨年9月16日の安値を基点とした短期サポートラインの下方ブレイクは、75日線をトライするサインと捉えたい

・逆にドル円の下落が短期サポートラインで止まる場合は、上昇トレンドを維持するサインとなろう

サポートライン
・155.00:サポートライン(1時間足)
・154.93:50日線(日足)
・154.80:短期サポートライン(日足)
・154.08:75日線、予想レンジの下限(日足)


ドル円のチャート

1時間足:1月10日以降

1時間足:1月10日以降

出所:TradingView

日足:2024年9月以降

日足:2024年9月以降

出所:TradingView


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