米国株、テスラなど急上昇 S&P500反発 物価見通しは不安
S&P500は11月CPIを受けて3日ぶりに反発。テスラは3年1か月ぶりに最高値を更新した。ただし物価上昇には根強さも感じらている。
アメリカの株式市場で上昇期待が膨らんだ。S&P500種株価指数の11日の終値は3日ぶりの反発。電気自動車(EV)大手のテスラが3年1か月ぶりに最高値を更新するなど、大手ハイテク株の値上がりが原動力となった。11日に発表された11月の消費者物価指数(CPI)が事前予想通りの結果だったことで、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しが強まったことが投資家心理を明るくしている。ただ、11月CPIは物価上昇が10月から加速しており、鎮静化に不安を感じさせる内容であることも否めない。S&P500の今後の見通しは、12日発表の11月の卸売物価指数(PPI)でも試されることになりそうだ。
アメリカのS&P500は3営業日ぶり反発 上昇率は大統領選以来の大きさ
S&P500(SPX)の11日の終値は前日比0.82%高の6084.19。値上がりは3営業日ぶりで、上昇率は大統領選挙翌日にあたる11月6日(2.53%高)以来の大きさとなった。12月6日につけた最高値(6090.27)には届いていないものの、今後の見通しに期待をもたせる上昇だったといえる。
テスラは3年1か月ぶりに最高値を更新 アルファベットやエヌビディアも大幅高
S&P500の値上がりの原動力となったのは大手ハイテク株だ。テスラの株価(TSLA)は前日比5.93%高の424.77ドルとなり、2021年11月4日の409.97ドル以来の最高値更新を果たした。テスラの株価は大統領選挙前までは2023年末比で横ばい程度の値動きだったが、その後の1か月あまりで69%の値上がりをみせている。イーロン・マスクCEOは次期大統領に決まったドナルド・トランプ氏と蜜月関係を築いており、テスラが目指す無人タクシー実用化に向けた規制緩和が進みやすくなるとの見方が出ている。
また、11日の取引ではアルファベットの株価(GOOGL)も4営業日続伸となる前日比5.52%高。2日連続で5%超の値上がりをみせた。アルファベットは9日に超高速の量子計算を実現する技術を発表している。さらに半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)の株価も11日に5営業日ぶりの反発となる3.14%高となっており、中国による独占禁止法をめぐる調査がもたらした株価の見通しへの不安が後退した。
11月CPIは市場予想通り FRBの12月利下げ見通しは99%まで上昇
株式市場のムードの明るさの背景には11月CPIの結果がある。総合指数の伸び率は前年同月比2.7%、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は3.3%で、いずれもブルームバーグがまとめた事前予想通りの結果だった。物価上昇の根強さの要因となっている家賃の伸び率は4.7%となり、前月の4.9%から低下している。
11月CPIにサプライズがなかったことで、金融市場ではFRBが17、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを決めることが確実視されている。CMEグループによると、投資家の動向から算出される利下げ確率は日本時間12日午前11時段階で約99%。前日までの89%程度から、利下げ見通しが強まった。また、株式市場では利下げの確度の高まりが投資家心理を明るくしている。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」とよばれるVIX指数(VIX)の11日の終値は13.58で、前日から0.60ポイント低下した。
物価上昇には根強さも 12日発表の卸売物価指数もS&P500を左右か
ただ、11月CPIは市場予想通りだったとはいえ、物価上昇の根強さも感じられる。総合指数の伸び率は前月の2.6%よりは高くなっており、7月(2.9%)以来の大きさだ。また、食品とエネルギーを除いたモノの物価の伸び率を前月比でみると0.3%となり、2023年5月(0.4%)以来の大きな伸び率となっている。トランプ氏の減税路線や高関税政策が物価上昇圧力となるとみられる中で、モノの物価上昇再燃の兆しが出ていることは物価上昇鎮静化の見通しにとっては悪材料だ。
このためS&P500の今後の見通しをめぐっては、引き続き物価動向が注目されそうだ。労働省が12日午前8時30分(日本時間12日午後10時30分)に発表する11月のPPIで物価上昇の根強さがみられた場合には株式市場の楽観ムードが後退する可能性もある。ブルームバーグがまとめた市場予想では、PPIの前年同月比伸び率は2.6%になる見通しで、結果が上振れるなどすればS&P500の下押し圧力として働くことも考えられそうだ。
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