米国株、復調へ前進 S&P500が5連騰 物価見通し良好も雇用不安
アメリカのS&P500は7月CPIの結果で上向いた。エヌビディアなどの半導体株も上昇している。ただし雇用などへの不安は続いたままだ。
アメリカの株式市場が復調に向けて前進した。14日のS&P500種株価指数の終値は前日比0.38%高で、5営業日続伸。注目された7月の消費者物価指数(CPI)が予想を下回る伸びとなり、物価上昇鎮静化の見通しが強まったためだ。また、半導体大手NVIDIA(エヌビディア)などの半導体株の値動きも上向き始めている。ただし7月CPIは米連邦準備制度理事会(FRB)の9月利下げへの期待を強めたわけではなく、投資家心理は温まりきってはいない。今後は雇用情勢をめぐる不安が投資家心理を揺さぶることも考えられ、S&P500の値動きが引き続き不安定になることも想定されそうだ。
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アメリカのS&P500は5日連続上昇 最高値から3.74%安
S&P500(SPX)の14日の終値は5455.21。8日からの5営業日続伸の末、7月16日につけた最高値(5667.20)からの下落率は3.74%まで縮まった。最高値からの下落率は8月5日には8.49%に達していたことを踏まえれば、7月中旬以降の混乱からの復調の見通しが強まったといえる。
S&P500の14日の値上がりの要因は、朝方に発表された7月CPIの結果が好材料となったことだ。総合指数の伸び率は前年同月比2.9%で、4か月連続で前月を下回る結果。市場予想の3.0%よりも低く、物価上昇の落ち着きを感じさせた。総合指数の伸び率は2022年6月に9.1%となるなど、米国経済最大の問題となってきただけに7月CPIの結果はS&P500の見通しを明るくしたようだ。また、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は3.2%となり、こちらは市場予想通りの結果だった。
半導体株の見通し改善 エヌビディアは1か月ぶり5日続伸
こうした中、株式市場では半導体株の値上がりも目立ってきた。エヌビディアの株価(NVDA)の14日の終値は前日比1.67%高で、約1か月ぶりの3営業日続伸。ブロードコム(AVGO)や半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(AMAT)はそれぞれ5営業日続伸となった。S&P500構成銘柄ではないものの、英半導体大手のアーム・ホールディングス(ARM)も14日は1.72%高で3営業日続伸となった。これまでの株式市場の混乱は、ドナルド・トランプ前大統領の台湾防衛をめぐる発言を機に半導体株が下落したことが最初のきっかけだっただけに、相場の見通しは改善したといえる。
ただし7月CPIの結果は、株式相場の追い風になると見込まれるFRBの利下げへの期待を高めたわけではない。CMEグループのデータによると、金融市場では9月17、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げが確実視されているが、利下げ幅が0.5%幅になることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間15日午前11時現在で約38%。前日の54%程度から低下した。7月CPIでは物価上昇の根強さの原因となってきた家賃の前月比での伸び率が0.3%となり、6月の0.2%から悪化したことなどが悪材料視されたもようだ。
小売売上高や新規失業保険申請件数がS&P500に影響も
また、米国株式市場では、経済見通しへの懸念も消えていない。日本時間15日午後9時30分に発表される7月の小売売上高や4-10日週の新規失業保険申請件数で、米国経済の弱まりが感じられれば、S&P500にとっては逆風になる可能性がある。この場合はFRBの利下げ見通しが強まるとみられるが、株式市場で投資家心理が上向くことは期待しづらい。
シカゴ・オプション取引所(CBOE)によると、S&P500のオプション取引の動向から算出され投資家の不安度を示すVIX指数(WTI原油)は14日の終値で16.19となり、5日につけた38.57の半分以下となっている。ただし7月上旬までつけていた12台と比べれば投資家の不安は増しているともいえ、悪い経済指標が出た場合の反応が大きくなるとの見通しも成り立ちそうだ。
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