円高再加速も 米国7月CPIは利下げ要因か 労働市場見通しに不安
ドル円相場は14日、146円台で推移。アメリカのCPIや小売売上高、失業保険申請件数などの結果次第で円高が再加速する可能性がある。
ドル円相場で円高再加速の可能性がくすぶっている。ドル円相場は1か月で20円もの円高を経た後、7日以降は1ドル=146-147円台で推移。しかしアメリカで14日に発表される7月消費者物価指数(CPI)で物価上昇鎮静化が感じられれば、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測を強める円高要因として働く見通しだ。また、15日発表の7月小売売上高や週次の新規失業保険申請件数で弱さが感じられた場合も、やはり円高要因となると見込まれる。日本銀行は円高の急進にブレーキをかける姿勢も感じさせているが、米国の経済指標を発信源とした円高進行の筋書きは残っていそうだ。
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ドル円相場は146円台半ばで推移 急激な円高には歯止め
ドル円相場(USD/JPY)の13日のニューヨーク市場の終値は1ドル=146.82円で前日比0.37円の円高ドル安。14日の東京市場では正午現在、1ドル=146円台半ばで取引されている。LSEGによると、ドル円相場は7月3日に一時、161.99円をつけた後、日本政府の為替介入や日銀の利上げなどが材料となって円高が進行。8月5日には141.66円をつけた。その後はドルが買い戻され、急激な円高には歯止めがかかっている。
アメリカの7月CPIが弱ければ円高の再加速も
しかし14日午前8時30分(日本時間14日午後9時30分)に発表される7月CPIは総合指数の伸び率が前年同月比3.0%となり、6月から横ばいになる見通し。FRBの利下げ観測を強める結果となれば、ドル円相場では円高圧力として働きそうだ。CMEグループのデータによると、日本時間14日正午現在、9月17、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げについては、0.5%幅となる確率が53%、0.25%幅の確率が48%とみつもられている。
また、15日午前8時30分(日本時間15日午後9時30分)発表の7月小売売上高もドル円相場を動かす可能性がある。ロイターがまとめた市場予想では前月比0.3%増、自動車と部品を除いたベースでは0.1%増が予想されている。市場の見通しを下回る結果となれば、米国経済の弱さが意識される形でFRBの利下げ観測が強まり、やはり円高要因になる可能性がある。
新規失業保険申請件数は再び雇用情勢の見通しを左右か
さらに15日に発表される4-10日週の新規失業保険申請件数にも金融市場の注目が集まりそうだ。FRBはこれまで物価上昇抑制を目指して政策金利を高水準で保ってきたが、ジェローム・パウエル議長は7月以降、物価上昇と同じ程度で労働市場の動向も注視する姿勢を強調している。ロイターのまとめでは、15日発表分の新規失業保険申請件数は23.5万件となる見通し。前週発表分の23.3万件は、市場予想(24万件)を下回って、7月雇用統計で高まった労働市場悪化不安を和らげたが、15日の発表内容次第では改めて雇用悪化が意識され、FRBの利下げ見通しを強めることも考えられる。
日米の長期金利差の3%ポイント割れも再接近
一方、日銀は1ドル=161円台まで進んだ円安を物価上昇要因とみて神経を尖らせてきたが、これ以上の急激な円高を歓迎していない態度も垣間見える。内田真一副総裁は7日の北海道での講演で「金融市場が不安定な状況で利上げをすることはありません」と述べ、日銀の利上げが円高要因として過剰に織り込まれることを牽制した。
ただ、FRBの政策金利は5.25-5.50%という2001年3月以来の高水準で維持されており、今後の利下げ余地は大きい。日米の長期金利(10年物国債利回り)の差は13日終値時点で3.010%ポイントまで低下し、6日以来の3%ポイント割れが近づいており、くすぶり続ける円高圧力を裏付けているといえそうだ。
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