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円高進行150円 日銀利上げ決定 総裁会見で追加利上げ見通し強まる

日銀が31日に利上げを決定。植田総裁は会見で追加利上げの可能性を強調した。ドル円相場は4か月ぶりの円高水準に。

円高進行150円 日銀利上げ決定 総裁会見で追加利上げ見通し強まる 出所:Adobe Images

ドル円相場での円高が加速した。31日の東京市場では前日のニューヨーク市場の終値から2円以上の円高が進行。1ドル=150円台前半をつけ、4か月ぶりの円高水準となった。円高を後押ししたのは、日本銀行が午後に発表した政策金利の引き上げ。さらに植田和男総裁の記者会見も追加利上げの可能性を強調する内容だったことで、ドルを売って円を買う流れが強まった。日本時間の8月1日未明には米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利発表も予定され、FRBの利下げ見通しが強まれば、さらに円高が進む可能性がありそうだ。

【関連記事】円高急進にブレーキ 日銀副総裁が利上げ見通しに冷や水 147円台に(2024年8月7日)

ドル円相場は一時、150.05円 4か月ぶり円高水準

ドル円相場(USD/JPY)は31日夕方に一時、1ドル=150.05円をつけた。前日のニューヨーク市場の終値(152.76円)から2.71円の円高が進んだ形だ。3月19日の安値(149.02円)以来、4か月ぶりの円高水準といえる。ドル円相場は7月3日には161.99円をつける場面もあったことも踏まえれば、1か月足らずで約12円もの円高が進行したことになる。

ドル円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

円高を加速させたのは日銀の金融政策をめぐる見通しの変化だ。日銀は31日までの金融政策決定会合で、政策金利を現状の0.1%から0.25%へと引き上げることを決定。声明文では、日銀の見通し通りに経済や物価の情勢が進展していけば、「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」と強調した。同時に、毎月の国債購入額を四半期ごとに4000億円程度ずつ減額し、2026年1-3月期には3兆円程度とする計画も決めた。

日銀の植田総裁も記者会見で追加利上げ見通しに言及

また、午後3時30分から開かれた植田氏の記者会見でも、日銀が追加利上げを排除していない姿勢が確認された。植田氏は政策金利の水準について、2%を超える物価上昇率を踏まえれば、実質ベースではマイナス金利であると指摘。こうした「非常に低い水準にある金利」を少しずつ引き上げることには、「(将来的に)急激な調整を強いられるリスクを減らす」という利点があると説明した。

そのうえで、植田氏は今後の利上げについても、声明文の内容に沿って、経済・物価情勢が見通し通りに進めば「引き続き金利を上げていくという考えだ」と繰り返した。さらに金融市場で政策金利の天井になるのではと意識されてる0.5%の水準についても、「特に意識していない」と述べた。

賃上げや物価に前向きな動き 円安は「上振れリスク」

日銀の過去の金融政策の変更では利上げを見据えた動きであっても、植田氏の記者会見が利上げに慎重だと受け止められ、ドル円相場が円安に動くケースが目立った。しかし今回は植田氏が記者会見で今後の利上げの可能性をはっきりと強調したことで、円高に拍車がかかったようだ。

また、日銀の金融政策をめぐっては、1ドル=161円台まで進んだ円安を背景に、政府要人から金利引き上げの必要性を示唆する発言が相次いでいた。ただ、植田氏は今回の利上げを決めた背景として、4月以降のデータで賃上げの広がりが確認されたことや、賃上げの影響を受けやすいサービス部門で価格の緩やかな上昇が続いていることの重要性を指摘。そのうえで円安についても輸入物価の上昇を招く、物価にとっての「上振れリスク」だとした。

日米金利差は1年2か月ぶり小ささに FRBの情報発信は?

日銀の利上げ見通しが強まる中、日米の金利差は縮小方向に動いている。LSEGのデータによると、日本と米国の長期金利(10年物国債利回り)の差は日本時間31日午後6時の段階で3.087%ポイント。2023年5月中旬以来の小ささで、足元の円高を後押ししている。

日米の長期金利の差とドル円相場の推移のグラフ

今後のドル円相場の見通しは、FRBの金融政策の方向性でも大きく揺れ動きそうだ。日本時間8月1日午前3時に結果が発表される連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の維持が濃厚とみられれているが、声明文やジェローム・パウエル議長の記者会見で9月利下げの確度が高まれば、ドル円相場での円高圧力が強まると考えられる。


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