円高急進一時151円台 日銀利上げ見通し拡大 決定会合後の流れは?
日銀の決定会合での利上げ確率は6割超まで上昇。ただし植田和男総裁の情報発信次第で円高の流れが変わる可能性もある。
ドル円相場で円高が急進した。25日には一時、1ドル=151円台をつける場面もあり、2週間で10円もの円高が進んだ形だ。背景にあるのは日本銀行が30、31日の金融政策決定会合で利上げするとの思惑の拡大。金融市場では6割超の利上げ確率が見積もられている。ただし25日に発表されたアメリカの2024年4-6月期GDPは物価上昇圧力の根強さを感じさせ、ドル高要因といえる内容。また、過去の日銀の決定会合では、利上げ方向の動きが発表されても円安になることが多く、今後の見通しは植田和男総裁の情報発信に左右される側面もありそうだ。
円高は一時、151円を記録 日銀決定会合前に思惑
ドル円相場(USD/JPY)は日本時間の25日午後5時すぎに一時、151.93円をつけた。11日には161.75円をつけていたことを考えれば、2週間で約10円の円高が進んだことになる。直近の1週間の値動きでみても、18日の高値(157.39円)から5円以上の円高進行だ。26日の東京市場では153円台まで円が売られている。
日銀の利上げ確率は64%に トランプ氏らの発言も影響
円高の背景にあるのは日銀が利上げするとの見方の拡大だ。LSEGのデータによると、7月末の決定会合での0.1%幅の利上げについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間26日午前11時の段階で約64%。1週間前の40%から、利上げ見通しが大きく強まった。
ドル円相場をめぐっては、自民党の茂木敏充幹事長が22日に「金融政策を正常化する方向で着実に政策を進める」という方向性を打ち出すことが重要だ発言。円安是正の意図があると受け止められた。米国大統領選挙の共和党候補となったドナルド・トランプ前大統領や河野太郎デジタル相の発言も円高材料になっており、日銀に利上げを求める圧力が強まっているともいえそうだ。また、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長からも7月に入って、利下げに軸足を置いた発言が出ており、やはり円高要因といえる。
アメリカの4-6月期GDPに強さ PCE物価も予想超え
ただし米国の経済動向をめぐっては強さも感じられている。25日に発表された4-6月期GDPは実質成長率が前期比年率換算で2.8%となり、1-3月期の1.4%から急加速。ロイターがまとめた市場予想の2.0%も大きく上回った。個人消費の伸び率は2.3%で、やはり1-3月期の1.5%から加速している。消費の強さは物価上昇圧力の強まりとして、FRBに利上げを促す材料になりえる。
実際、GDPとあわせて発表された4-6月期の個人消費支出(PCE)物価指数の食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は前期比年率で2.9%。1-3月期の3.7%からは減速したが、市場予想の2.7%を上回った。26日午前8時30分(日本時間26日午後9時30分)に発表される6月単月のPCE物価指数の結果にも注目が集まりそうだ。ロイターがまとめた事前予想では、コア指数の前年同月比での伸び率は2.5%になる見通しだ。
日銀の植田和男総裁の決定会合後の情報発信は?
こうした経済情勢の中、日米の長期金利(10年物国債利回り)の差はドル円相場の動きほどは縮まっていない。LSEGのデータによると、日米の長期金利差は25日時点で3.186%ポイントで、7月8日以降はほぼ3.1%ポイント台で推移している。とはいえ、ドル円相場は4月下旬以降、日米金利差縮小にも関わらず円安が進んできたことを踏まえれば、足元のドル円相場で進む円高は、こうした逆行現象が巻き戻されていると説明できる。
今後のドル円相場をめぐっては、7月31日に日銀とFRBが相次いで政策金利を発表するという重要日程が控える。なかでも日銀の決定会合では、大規模金融緩和の終了といった利上げを見据えた動きがあった場合でも、植田和男総裁の記者会見が利上げに慎重な「ハト派」とみなされ、円安材料になるケースが目立つ。植田氏が金融市場の見通し通りに利上げに前向きな態度を示すかどうかで、現在の円高の流れが続くかどうかが変わってきそうだ。
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