円高再進行、一時150円台 日銀利上げ見通し要因 雇用統計で円安も
ドル円相場は一時150円台をつけ、1週間で4円超の円高。日本経済の強さを示すデータが背景だ。米国の雇用統計やトランプ氏の発言も注目される。
ドル円相場で円高が改めて勢いづいている。7日の東京市場では約2か月ぶりの円高水準にあたる1ドル=150円台後半をつけ、1週間で4円超の円高進行となった。日本経済の強さを示すデータが日本銀行の追加利上げ見通しを深めていることに加え、アメリカの長期金利(10年物米国債利回り)が低下していることも円高材料となっている。一方、7日に発表される米国の1月雇用統計で過熱感が出れば、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが難しくなるとの見方が、円安材料になることも考えられる。また日本時間8日未明に予定されている初の日米首脳会談も材料視される可能性があり、ドル円相場の今後の見通しをめぐっては、神経質な値動きも想定される。
ドル円相場は一時、150.96円 1週間で4円超の円高進行
ドル円相場(USD/JPY)は日本時間7日午前の取引で一時、1ドル=150.96円をつけ、前日のニューヨーク市場の終値から0.45円の円高となった。ブルームバーグによると、2024年12月10日につけた150.90円以来の円高水準だ。ドル円相場は前週末の1月31日には155.19円をつけていたが、5営業日足らずで4.23円の円高が進んだことになる。
日本の消費支出が急増 米財務長官は長期金利低下を目指す方針
7日の円高進行の要因は、日本の経済動向だ。朝方に発表された12月の家計調査では、2人以上世帯の消費支出が実質ベースで前年同月比2.7%上昇。11月の0.4%減から跳ね上がった。
また、これに先立つ6日のニューヨーク市場では、米国のスコット・ベッセント財務長官の発言も円高材料となった。ベッセント氏はブルームバーグテレビでのインタビューで、長期金利は住宅ローン金利や長期的な投資活動に影響を与える「重要な指標だ」と強調。トランプ政権として長期金利低下につながる政策をとるとの見通し示し、金融市場では長期金利が4.41%まで低下した。ベッセント氏は同時に、1月29日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを見送ったFRBに対する批判は避け、ジェローム・パウエル議長との良好な関係もアピールしている。
日本の実質賃金は2か月連続で上昇 政策金利「1%程度」発言も
ドル円相場では、これ以前にも円高材料が積み重なっていた。5日に発表された12月の毎月勤労統計(速報値)では実質賃金の前年同月比伸び率が0.6%となり、11月の確報値(0.5%)に続く、2か月連続での上昇。ブルームバーグによると、日本の長期金利は5日の取引で一時、1.296%をつけ、2011年4月15日につけた1.303%以来、13年10か月ぶりの高水準となった。
さらに6日には日銀の田村直樹審議委員が長野県での講演で、政策金利の水準について「1%程度まで」引き上げていくことが物価上振れリスクを抑えるために必要だと発言。政策金利を0.5%としている日銀の追加利上げ見通しを深めた。ブルームバーグによると、金融市場では日銀が7月の金融政策決定会合までに利上げに踏み切る確率は78%程度とみられており、さらに12月までにもう一段階の利上げがあるとの見通しも出ている。
日米金利差は2か月ぶりの小ささ 円は他通貨との比較でも強さ
日米の経済状況は日米金利差の縮小につながっている。ブルームバーグによると、日米の長期金利の差は5日終値時点で3.138%ポイントまで縮まり、2024年12月上旬以来、約2か月ぶりの低い水準となった。
ドル円相場の今後の見通しには雇用統計やトランプ氏の言動が影響
一方、ドル円相場の今後の見通しに対しては、米国で7日午前8時30分(日本時間7日午後10時30分)に発表される12月雇用統計の結果も影響しそうだ。金融市場では非農業部門の就業者数の増加が前月比17.0万人増となるといった、堅調な結果が出ると予想されているが、結果が上振れた場合には、FRBの利下げ見通しを弱める円安要因となる可能性もある。
さらにドル円相場をめぐっては、ドナルド・トランプ大統領の言動も不確定要因だ。訪米中の石破茂首相は日本時間の8日未明にホワイトハウスでトランプ氏との会談や昼食会に臨む予定。その後に行われる共同記者会見などでの、トランプ氏の発言に注目が集まる。
トランプ氏は大統領選挙を戦っていた2024年7月、円安や人民元安を問題視する発言で円高材料を提供したことがある。トランプ氏の発言や、SNSへの投稿でドル円相場の水準について批判的な言及があれば、金融市場が円高再加速で反応する可能性がある。逆にトランプ氏からドル円相場について目立った発言がなければ、円高見通しが和らぐことも想定されそうだ。
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