ドル円 今週の見通し:日銀会合、植田総裁の追加利上げ姿勢が焦点に 第2次トランプ政権が始動、関税政策と米金利の反応に注目
日銀の1月利上げを織り込み先週は円高が進行した。植田和男日銀総裁が示す今後の政策姿勢で今週のドル円は上下に大きく振れるだろう。一方、米ドルは第2次トランプ政権の政策実行スピードが焦点となろう。
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記事の概要
先週の外為市場では円高が進行した。今週の日銀会合で追加の利上げが決定されることを織り込んだ動きである。今週も円高の局面が見られるだろう。しかし、その持続性は植田総裁の追加利上げに対する姿勢で一変する可能性がある。1月20日に第2次トランプ政権が発足、始動する。米メディアによれば、トランプ氏は就任直後から100本程度の大統領令に署名すると言われている。注目は関税政策に対する米金利の反応である。ドル円の週間予想レンジは152.50-159.00。
目次
- 日銀の1月利上げは織り込み済み、焦点は利上げのペース
- 植田総裁の会見次第では一転して円安も
- 第2次トランプ政権が始動、注目は政策実行の進捗度合い 関税と米金利の反応に注目
- ドル円、今週の見通しと注目のテクニカルライン
日銀の1月利上げは織り込み済み、焦点は利上げのペース
先週、日銀の氷見野良三副総裁と植田和男総裁が、今週の日銀金融政策決定会合で追加の利上げを行うかどうかを議論すると述べた。日経新聞は1月17日、金融政策を決める9人の政策委員の過半が追加の利上げを支持する見通しであると報じた。
短期金融市場では、今週の会合で日銀が政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標の引き上げを80%以上の確率で織り込む状況にある。
外為市場でも先週円高が進行し、日銀の追加利上げをかなり織り込んでいる。よって市場の焦点は、3月会合以降の利上げペースに移るだろう。
植田総裁の会見次第では一転して円安も
先週の外為市場では円高が進行し、日銀の1月利上げをかなり織り込んだ。今週も思惑的な円高の局面が見られるだろう。しかし円高の持続性は、植田和男総裁の追加利上げに対する姿勢次第となろう。
円相場の動向:1月13日~17日
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ブルームバーグの為替データで筆者が作成
現在のところ短期金融市場では、年内に日銀が0.75%まで政策金利を引き上げることを予想している。今週の会合で0.25%の利上げを決定し、政策金利を0.5%まで引き上げる場合、想定される残りの利上げ回数は1回となる。
会合後の定例会見で植田和男総裁が追加の利上げについて積極的な姿勢を示し、0.75%以上の水準へ政策金利が引き上げられる可能性が高まる場合、外為市場では円高の進行が予想される。一方、植田総裁が追加の利上げについて慎重に判断する姿勢を強調する場合は、再び円安の圧力が高まる展開を想定しておきたい。
日銀 政策金利の予想推移
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ブルームバーグのデータで筆者が作成 / OISに基づく予想 / 1月17日時点
第2次トランプ政権が始動、注目は政策実行の進捗度合い、まずは関税と米金利の反応が焦点に
米共和党のドナルド・トランプ氏は1月20日、第47代大統領に就任する。米メディアは、就任直後からトランプ氏が米国第一を目的に100本程度の大統領令に署名すると報じている。
第2次トランプ政権の政策実行の進捗度合いに注目したい。トランプ氏が大統領令に署名しても、それがすぐに発動するわけではない。しかし、トランプ政策に反対する閣僚がいた第1次政権と違い、第2次政権はトランプ氏を支持する身内で固められている。トリプルレッドの米議会で主要な政策が通りやすい状況も考えるならば、第1次の時とは違い政策実行のスピードが各段に早まる可能性がある。矢継ぎ早にインフレ再燃の可能性につながる政策が実行される場合は、米金利に再び上昇の圧力が高まることが予想される。
目先、米ドルのトレンドを考えるうえで注目したいのが関税政策の動向と米金利の反応である。トランプ氏は昨年11月25日、就任初日にメキシコとカナダからのすべての輸入品に25%の関税を課す大統領令に署名すると述べた。中国に対しては10%の追加関税を課すとしている。また、すべての国からの輸入品に一律10〜20%の関税を課すことも宣言している。そして今月14日には、関税などの徴収を扱う「対外歳入庁(ERS)」を新設し、関税の引き上げに意欲を見せた。
米10年債利回り(長期金利)はすでに4.8%程度まで上昇し、関税強化によるインフレ再燃の可能性をひとまず織り込む状況にある。しかし、タカ派のウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事が利下げに言及しても、長期金利は4.6%付近で下げ止まっている。「関税の強化→インフレ再燃の可能性」の織り込み度合いが甘い可能性があり、今週は「米金利の反発→米ドル高」を警戒したい。
今週の外為市場が再び米ドル高へ転じ、かつ昨年12月の時と同じく植田和男総裁が会見で追加利上げに慎重(ハト派的)と市場で受け止められる場合は、ドル円の上昇幅が拡大しよう。
ドル円、今週の見通しと注目のテクニカルライン
米ドル高と植田総裁のハト派姿勢が重なれば159円が視野に
今週のドル円(USD/JPY)の予想レンジは152.50-159.00。日銀会合を前に円買いが続く可能性がある。しかし、1月の利上げはすでに織り込まれている。調整の米ドル売りが一服するなか、植田和男総裁が追加利上げで慎重な姿勢を示唆する場合は、予想レンジの上限159.00の攻防が焦点に浮上する可能性があろう。
・日足のMACDはデッドクロスへ転じているが、モメンタムの低下は止まっている(日足、黒矢印を参照)。調整の米ドル売りも一服している。これらの状況を考えるならば、現在レジスタンスラインとして意識されている156.35レベルを上方ブレイクする場合は157.00のトライを想定したい。このラインは、直近高安の半値戻しの水準にあたる(1時間足を参照)。157円台の攻防では、10日線の突破が焦点となろう(日足、緑ラインを参照)。157.00とともにレジスタンスゾーンを形成する展開も想定しておきたい
・ドル円が10日線を上方ブレイクする場合は、158.00のトライが焦点となろう。そのきっかけになり得るのが今週後半の米経済指標、週間の新規失業保険申請件数と1月の購買担当者景気指数(PMI)である。強い米経済指標だけでなく追加利上げに対する植田総裁の慎重姿勢も重なれば、先週相場の上昇を止めた158.20レベルのレジスタンスラインを突破し、1月10日の高値158.88をトライする展開を想定したい(1時間足を参照)
・ドル円が158.90レベルを難なく突破する場合は、予想レンジの上限159.00をトライするサインとなろう
レジスタンスラインまとめ
・159.00:予想レンジの上限
・158.88:1月10日高値(日足、1時間足)
・158.20:レジスタンスライン(1時間足)
・157.95:フィボナッチ・リトレースメント76.4%(1時間足)
・157.17:10日線(日足)
・156.92:半値戻し(1時間足)
・156.35:レジスタンスラインへ転換する可能性あり(1時間足)
植田総裁、追加利上げに積極的なら152円半ばまでの下落を想定
日銀会合後の定例会見で植田和男総裁が追加の利上げに積極的な姿勢を示す場合は、円高が進行する可能性がある。このケースでは、瞬間的に152円半ばまでドル円が下落する可能性を想定しておきたい。
・現在は、50日線がサポートラインとして意識されている。今週も円高が続く場合は、この移動平均線の攻防が焦点となろう
・ドル円が50日線を下方ブレイクする場合は、154円の維持が焦点となろう。このテクニカルラインを挟んでフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準(昨年9月16日の安値が基点)と半値戻しの水準(昨年12月3日の安値が基点)が展開している
・今週の日銀イベントが円高の要因となれば、瞬間的に152円半ばへ下落する展開を想定しておきたい。152.55レベルは半値戻しの水準にあたる。このテクニカルラインを視野に89日線が上昇している。152.50レベルを週間予想レンジの下限と想定したい
サポートラインまとめ
・154.87:50日線(日足)
・154.32:フィボナッチ・リトレースメント23.6%(日足)
・153.76:半値戻し(日足)
・153.00:サポートライン
・152.55:フィボナッチ・リトレースメント61.8%(日足)
ドル円のチャート
日足:2024年9月以降
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出所:TradingView
1時間足:1月10日以降
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出所:TradingView
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