円安158円 日銀、国債購入減額決めず 7月利上げ見通しも
日銀の決定会合後、円安は一時、1ドル=158円台に到達。しかし植田氏は7月利上げに含みをもたせ、一方的な円安にはつながっていない。
ドル円相場で円安が一時、急進した。14日の東京市場では1ドル=158円台前半をつける場面もあり、日本政府の為替介入があった4月29日以来の円安水準となった。日本銀行の金融政策決定会合で国債購入減額が決まらなかったことが、円売り材料とみなされた形だ。ただし植田和男総裁は決定会合後の記者会見で円安への警戒にも言及しており、金融市場では7月利上げ見通しも出ている。アメリカの長期金利(10年物米国債利回り)が低下傾向にある事情もあり、一方的な円安進行には歯止めがかかっているようだ。
ドル円相場は日銀の決定会合後、158.25円まで円安に
LSEGによると、ドル円相場(USD/JPY)は14日午後に一時、1ドル=158.25円をつけた。4月29日の高値(160.03円)以来の円安水準だ。日本政府は4月29日と5月1日に為替介入を行い、ドル円相場は151円台まで円高に振れる局面もあったが、約1か月半かけて元の水準に戻ったことになる。
14日の円安のきっかけは日銀が公表した金融政策の決定内容だ。日銀は事前予想通り、政策金利を0.0-0.1%に維持。同時に国債購入の減額については、「次回金融政策決定会合において、今後1-2年程度の具体的な減額計画を決定する」とした。金融市場では今回の決定会合で減額が決まるとの見立てもあったが、7月30、31日の次回会合まで持ち越しになった形だ。実際に国債購入減額が決まれば、長期金利が上昇しやすくなり、円高材料とみなされる可能性があった。
国債購入減額は7月の決定会合で決定
日銀は次回会合までに債券市場参加者からの聞き取りを行い、国債購入減額の規模やペースを決める。日銀が月額6兆円程度で行っている国債購入を減らしていくことで、長期金利の水準が金融市場の資金需要で決まる本来の姿に戻していくことが狙いだ。
植田氏は記者会見で国債購入減額は、金融政策の手段として行うわけではないと説明。日銀が目指す賃上げと物価上昇の好循環の達成については、政策金利と位置付ける短期金利を操作することで行うとの考えを改めて強調した。4月以降の経済指標は日銀の見通しに沿った内容になっているといい、好循環の実現につながっていくかどうかを「もう少し確認していきたい」としている。
日銀の植田総裁は円安を牽制 7月利上げ「ありえる」
ただし植田氏は円安に対する警戒感もみせた。記者会見では「最近の円安の動きは物価の上振れ要因であり、政策運営上、十分注視している」と言及。円安の動向を毎回の決定会合で点検し、「適切に対応していく」とも付け加えた。また国債購入減額計画を決める7月会合での利上げについても、「当然ありえる」としている。
こうした発言は植田氏が円安を牽制したといえ、記者会見中には円安は加速せず。ドル円相場は記者会見後の午後6時台には1ドル=156円台後半まで円高方向に動く場面もあった。こうした中、金融市場では日銀の7月利上げ見通しも出ている。LSEGのデータでは、日銀が7月会合で0.1%幅の利上げを決めることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間14日午後7時現在で33%程度。9月までの利上げの確率は約80%あると見積もられている。
また、ドル円相場での円安に歯止めがかかった背景には、米国の長期金利低下の見通しが出ていることもありそうだ。米国で12日に発表された5月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は市場予想を下回る結果。LSEGによると、ニューヨーク債券市場の長期金利は13日の終値で4.240%となり、3月28日(4.194%)以来の低さとなった。日米の金利差は縮小傾向にあり、円高につながりやすい要因といえそうだ。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
IG証券のFXトレード
- 英国No.1 FXプロバイダー*
- 約100種類の通貨ペアをご用意
* 英国内でのCFDまたはレバレッジ・デリバティブ取引(英国でのみ提供)での取引実績において、FX各社をメイン口座、セカンダリー口座として使用している顧客の割合でIGがトップ(Investment Trends UKレバレッジ取引レポート 2022年6月)
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。