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日銀、利上げ時期の見通しは? 高まる円安圧力 国債買い入れ減額も

日銀の13、14日の決定会合は利上げへの姿勢が焦点。国債買い入れの減額も取り沙汰されるが、円安圧力を弱めるには力不足の可能性がある。

日銀、利上げ時期の見通しは? 高まる円安圧力 国債買い入れ減額も 出所:ゲッティ

日本銀行の金融政策をめぐる不透明感がドル円相場で円安圧力を高めている。日銀が13、14日に開く金融政策決定会合は、植田和男総裁の記者会見などで利上げに向けた姿勢が感じられるかが焦点。ただ、物価上昇継続の見通しがつかない中で、利上げのハードルは高く、ドル円相場ではこのところ1ドル=157円台まで円安が進んでいる。こうした事情を背景に、金融市場では、日銀が円安圧力緩和のため、国債の買い入れ額を減額する方向性を示すとの見方も目立つ。とはいえ、ドル円相場は日銀の思惑を裏切る値動きを示すことも多く、国債買い入れ減額では円安の流れを止められない可能性もありそうだ。

日銀の決定会合は政策金利が維持される見通し

日銀は14日の決定会合2日目の議論が終了次第、結果を公表。午後3時30分からは植田氏が会見を行う。LSEGのデータによると、政策金利が現状の0.1%で維持されることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間12日午前11時の段階で89%。0.1%利上げの確率も11%程度あると見積もられているが、現状維持が濃厚とみられているようだ。

このため14日の焦点は日銀の今後の金融政策の見通しだといえ、声明文や植田氏の会見で利上げの可能性が示されるかに注目が集まる。植田氏は4月26日の決定会合後の会見で、利上げに踏み切る際には「多様な影響を考慮する」必要があるとし、慎重に判断する姿勢を強調していた。また、5月24日発表の4月の消費者物価指数(CPI)ではサービス物価の上昇が減速しており、物価上昇が安定的に継続していくかには不透明感もある。

日本の消費者物価指数(モノ、サービス、総合)の伸び率の推移のグラフ

ドル円相場では157円台までじわじわと円安が進行

こうした中、足元のドル円相場(USD/JPY)ではじわじわと円安が進んでいる。LSEGによると、12日は1ドル=157円台前半で推移しており、4日の安値(154.53円)との比較では3円近い円安水準となっている。

ドル円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

一方、日本政府は急激な円安進行に神経を尖らせており、4月29日と5月1日には為替介入も行った。このため、日銀が利上げの方向性は示さないまでも、円安けん制の意味を込めたメッセージを打ち出す可能性もある。植田氏は5月27日の日銀主催の国際イベントで、日本の物価上昇の見通しが上向いてきたと指摘。内田真一副総裁も同じイベントでの講演で、今後は政策金利の水準が高くなっていくとの考えに言及している。

日銀の国債買い入れ減額では円高は進まないとの見方も

また、今回の決定会合では国債買い入れ額の減少が決まるとの見方もある。日銀は3月の決定会合で大規模金融緩和策の終了を決め、長期金利(10年物国債利回り)の変動幅の制限は止めたものの、声明文では、国債買い入れはこれまでと同じ規模(6兆円程度)で続けると明記。しかし植田氏は6月6日の参院財政金融委員会では「今後、大規模な金融緩和からの出口を進めていく中で減額することが適当だ」とも述べている。

こうした日銀による国債買い入れ額の減少は国債価格の下落見通しを強め、長期金利の上昇要因となりえる。ドル円相場では円高圧力とみなされる材料だ。ただしドル円相場では、日銀が大規模金融緩和策の終了を決めた際など、利上げ方向の政策変更を行った後に円安が進むケースも多い。三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩氏は11日付のレポートで、国債買い入れ減額について「早晩何らかの決定が示される可能性が高い」と指摘。同時に「日銀は引き続き慎重な舵取りで緩和の修正を進めると思われる」とし、長期金利や円の急騰につながる可能性は低いと分析している。

また、12日にはアメリカの連邦準備制度理事会(FRB)が今後の金融政策の見通しを示す予定。日銀の決定会合前にFRBの利下げ観測が後退していれば、米国の長期金利上昇が日米の金利差を広げる可能性がある。この場合は、日銀が円安阻止を狙った情報発信を行ったとしても、効果が大きく削がれることが想定されそうだ。

日米の長期金利差とドル円相場の推移のグラフ

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