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円高進行155円台 日米金利差4か月ぶり小ささ 日銀利上げは7月か

4日のドル円相場は155円台まで円高が進行。米国の長期金利低下に加え、日銀の利上げ時期をめぐる観測が前倒しされていることも影響した。

円高見通し強まる 日米金利差4か月ぶり小ささ 日銀利上げは7月か 出所:ゲッティ

ドル円相場で円高が急進した。4日の東京市場は一時、1ドル=155円台をつける円高水準。これに先立つ3日のニューヨーク市場の終値は前日比1円超の円高で取引を終えており、根強い円安の流れにブレーキがかかっている。3日に発表された米国の製造業の景況感悪化が米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しを強め、日米の金利差が4か月ぶりの小ささまで縮小したことが材料視された。また、円高進行の背景には、金融市場が見込む日本銀行の利上げ時期が前倒しされている事情もある。金融市場では日銀の7月利上げが有力視され始めており、今後、さらにFRBの利下げの可能性も高まっていけば、ドル円相場が円高に振れやすい状況が強まりそうだ。

ドル円相場は4日午後に155円台後半まで円高

LSEGのデータによると、4日のドル円相場(USD/JPY)では午後になって1ドル=155円台後半をつける場面もあった。前日のニューヨーク市場の終値で前日比1.21円の円高が進んだ流れを引き継いだ結果だ。ドル円相場で1円超の円高が進むのは、アメリカで4月消費者物価指数(CPI)が発表され、物価上昇率の低下が確認された5月15日以来。ドル円相場は4月CPI発表後もじわじわと円安が進んできたが、このところは流れの変化も感じさせている。

ドル円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

3日の円高急進のきっかけは米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した5月の製造業景況感指数。2か月連続で前月から景況感が悪化し、市場予想も下回る結果だったことから、FRBが利下げに向かうとの見通しが強まった。米国の長期金利(10年物米国債利回り)は3日のニューヨーク債券市場の終値で4.402%まで低下。日本の長期金利との差は3.336%ポイントとなり、2月1日(3.166%ポイント)以来の小ささとなった。

日米の長期金利の差とドル円相場の推移のグラフ

日銀の利上げ時期の見通しは7月まで前倒し

円高進行の背景には日本銀行が早期に利上げに踏み切るとの観測もありそうだ。LSEGのデータによると、利上げ幅を0.1%と仮定した場合、金融市場では7月の金融政策決定会合での利上げが最有力視されている。投資家の動向から算出される確率は、日本時間4日午後3時段階で76%。日銀首脳からは円安是正の意図を感じさせる利上げに前向きな発言が相次いでおり、金融市場での円高観測を強めているようだ。

第一生命経済研究所の藤代宏一氏は4日付のレポートで、「利上げ時期の予想を10月から7月に前倒しする」とした。日銀首脳らの発言を踏まえれば、物価や賃金の動向を見極めようとする日銀の慎重姿勢はさほど強くないとみられるためだといい、6月13、14日の金融政策決定会合では「利上げの予告に近い情報発信があるのではないか」としている。

米国では4日にも4月の雇用動態調査(JOLTS)が発表されるなど、米国経済の動向を占う経済指標が相次いで発表される。米国経済の今後の見通しを不安視させる結果が出れば、FRBの利下げ観測の強まりが日米金利差を縮小させ、ドル円相場での円高圧力として働く筋書きも考えられそうだ。


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