米国株に勢い戻る S&P500が7割戻し 半導体株も見通し改善
S&P500は週次で3.93%高。5週ぶりの値上がりを果たした。今後の見通しは雇用関連の経済指標やFRBの動向に左右されそうだ。
アメリカの株式市場に勢いが戻ってきた。S&P500種株価指数の16日の終値は1週間前比で3.93%高。5週ぶりの反発で、7月中旬の最高値からの下落分の7割超を取り戻した。人工知能(AI)ブームに沸いてきたNVIDIA(エヌビディア)などの半導体株も回復し、見通しが良くなっている。米国経済の堅調さを示す経済指標が相次いで発表されたことが要因で、経済のソフトランディング(軟着陸)への期待が高まったようだ。ただし高止まりしてきた米国の長期金利が経済活動を冷やす効果が出るのはこれからともみられ、今後も雇用関連の経済指標や連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策をめぐる思惑などで相場が動く可能性がある。
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アメリカのS&P500は5週ぶり上昇 大幅下落の76%回復
S&P500(SPX)の16日の終値は前日比では0.20%高。7営業日連続の上昇の末、5週ぶりの週次での値上がりを果たした。週次の上昇率はFRBの利上げ停止が好材料視された2023年10月30日-11月3日週(5.85%高)以来の大きさ。S&P500は7月16日の最高値(5667.20)から8月5日の直近の安値(5186.33)まで約481ポイント下落していたが、16日の終値はこの下落分の76.5%を取り戻す水準となった。
7月CPIや小売売上高などが追い風 軟着陸見通し強まる
S&P500が勢いづいた背景には米国経済が失速を免れるとの期待が高まったことがある。14日に発表された7月消費者物価指数(CPI)は伸び率が市場予想を下回り、物価上昇鎮静化への期待が高まった。また15日発表の7月小売売上高や週次の失業保険関連統計は米国経済の堅調さを示す内容。こうした経済指標は、物価上昇の抑制と経済成長の維持が両立されるソフトランディングの見通しを強める内容といえ、S&P500の追い風になった。
ただし米国経済の見通しに対する不安が完全に消えたわけではない。7月CPIでは物価上昇鎮静化の足を引っ張ってきた家賃の前月比での伸び率が0.33%となり、前月の0.24%から加速。家賃の伸び率は前年同月比では5.05%という高水準なだけに、今後の物価減速にブレーキがかかる懸念も意識された。CMEグループのデータによると、FRBの9月17、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げが通常よりも大きい0.5%幅になることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間17日午前の段階で25%となっており、CPI発表前の54%程度から後退している。
FRBのパウエル議長のジャクソン・ホール講演に注目
またFRBの政策金利は2023年7月以降、5.25-5.50%という2001年3月以来の高水準で維持されてきた。長期金利(10年物米国債利回り)は3.8%台まで下がってはいるが、依然として、今回の利上げ局面を除けば、2010年以来の高水準だ。高止まりしてきた長期金利が経済活動を冷やした結果が今後、企業業績や雇用の悪化として現れるおそれはぬぐえない。
このためS&P500の今後の見通しは、引き続き雇用情勢にかかわる経済指標で左右されることが考えられる。また、FRBの金融政策の方向性は、21日に公表される7月FOMCの議事要旨でも明らかになり、相場を動かす可能性がある。また、ジェローム・パウエル議長は米国東部時間23日午前10時(日本時間23日午後11時)から、ワイオミング州ジャクソン・ホールに主要中央銀行幹部らが集まる毎夏恒例のイベントでスピーチする予定で、注目が集まりそうだ。
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