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米CPI、11月減速鈍化か 12日発表 S&P500急騰困難

アメリカの11月CPIは物価上昇減速が鈍る見通し。S&P500が急騰した10月CPI発表時の再現は難しそうだ。

出所:ブルームバーグ

アメリカで12日に発表される11月の消費者物価指数(CPI)は上昇率の改善がわずかにとどまると見込まれている。予想通りであれば、米国の物価上昇率を2%まで下げきることの難しさが意識されやすい結果。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ開始のタイミングをめぐる金融市場の見通しが後ずれする可能性がある。1か月前に発表された10月CPIでは、物価上昇の急速なペースダウンが確認されて、S&P500種株価指数が急騰したが、11月CPIでの再現は期待薄だ。

アメリカの11月CPIは総合指数で3.1%上昇の予想

米労働省は12日午前8時30分(日本時間12日午後10時30分)に11月CPIを発表する。ロイターがまとめたエコノミストの事前予想では、11月の総合指数の伸び率は前年同月比3.1%となり、10月の3.2%からの低下はわずかにとどまる見通し。食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は4.0%となり、10月(4.0%)と同じと見込まれている。

総合指数の伸び率は6月に3.0%まで下がった後、原油価格上昇を受けて、2%台までの低下が持ち越されてきた。11月の上昇率低下がわずかにとどまった場合は、FRBが目標とする2%への引き下げには時間がかかるとの見方が広がる可能性もある。また、コア指数の伸び率が予想通りに10月から横ばいとなれば8か月ぶりに物価上昇の鈍化がストップすることになる。

アメリカの消費者物価指数(CPI、総合、コア)の前年同月比伸び率の推移

2024年3月利下げ観測はやや後退

金融市場では、総合指数の伸び率が一時は9.1%に達した厳しい物価上昇が3%台まで低下してきたことを受け、FRBが2024年春にも利下げに転じるとの見方が広がっている。CMEグループのデータによると、2024年3月の連邦公開市場委員会(FOMC)後に政策金利が現状より低くなっていることについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間11日午前8時すぎ時点で、43.8%となっている。ただしこの確率は12月初めには60%に達したこともあり、「3月利下げ」への期待はやや後退している。

こうした中、FRBの早期利下げへ観測を背景に進んできた長期金利(10年物米国債利回り)の低下もどこまで続くかは不透明だ。ニューヨーク債券市場では5日以降、長期金利が4.1%台まで下がっていたが、8日には4.2%台に戻っている。この日に発表された11月の雇用統計は景気の悪化も物価上昇圧力の強まりも感じさせない理想的な結果だったが、早期利下げ観測の確度を高めるには至らなかった。8日のS&P500(SPX)の終値は前日比0.41%高となり6週連続の週次での上昇を達成しているものの、伸び率は徐々に縮まっている。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ


11月14日に10月のCPIが発表された際は、総合指数の伸び率が3.2%となり、9月の3.7%から大幅に減速。長期金利が大きく低下し、S&P500の上昇率は約6か月半ぶりの水準にあたる1.91%を記録した。今回発表される11月CPIの結果が、物価上昇減速の継続を望む投資家の期待から外れれば、年初来高値をつけているS&P500の勢いが失われることも想定されそうだ。


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